ビールの製造工程(図)
ビールの製造工程(酵母)
酵母は麦汁の糖を食べてアルコールと炭酸ガスを生成させる微生物。ビールの香味成分をつくる大切な役目もはたします。 酵母には、下面発酵酵母と上面発酵酵母のニ種類がありますが、日本で主に使われるのは、6〜15℃と比較的低い温度で発酵させ、味が穏やかですっきりしたビールをつくりだす下面発酵酵母です。発酵後期に沈殿することから、この名があります。 一方、上面酵母を使用したものは、18〜25℃と比較的高い温度で発酵させ、フルーティな香味成分を多くつくりだします。発酵中に浮上し、発酵液の表面に酵母の層を形成するところから、この名があります。 イギリスでは現在でもこのタイプが主流です。 酵母は、酒類はもちろん、パン、チーズなど数多くの食品づくりに欠かせないものですが、その存在が認められたのは、顕微鏡が発明された17世紀後半になってからでした。さらに、酵母の働きそのものが理解されるようになったのは19世紀に入ってからのことです。それまでは、酵母という概念はなく、単に残ったオリを繰り返し麦汁に添加するという経験的な作業工程として受け継がれていました。 酵母は麦汁に含まれる糖、アミノ酸などを栄養源として、アルコール、炭酸ガス、エステルなどの香気成分をつくりだします。ひとくちに「酵母」といってもその種類は非常に多く、いろいろな特徴をもった酵母が存在します。したがって、ビールづくりに適した酵母をいかに選び、ビールの種類に適した香気成分のバランスをいかにコントロールするか、また、酵母が消費せずに残す糖の量や未熟成成分をいかにコントロールするかが重要になります。 |
ビールの製造工程(発酵)
オリ分離の済んだ清澄な麦汁を5〜10℃に冷却し、酵母を加えて低温で発酵させます。酵母は発酵中に4〜5倍に増殖し、発酵過程で麦汁中の糖分のほとんどをアルコールと炭酸ガスに分解し、香味・香気成分も生成します。7〜10日ほどで発酵が終わると、麦汁はアルコール分約5%の「若ビール」になります。 |
ビールの製造工程(ろ過)
ろ過の目的は、濁りを完全に除き、清澄なビールにすること。役目を終えた酵母を取り除くと同時に、うまみの成分は完全に通過させるのです。熟成を終えて最高においしくなったビールを容器に詰めて製品にする前に、オリや役目を終えた酵母を完全に取り除きます。この工程では、徹底した衛生管理をすることで、品質の高い「生ビール」を生み出します。 |
ビールの製造工程(仕込み)
仕込みは、原料を酵母が発酵しやすい形(糖、アミノ酸など)にまで分解します。 粉砕した麦芽に副原料や温水を加え混ぜ合わせます。適当な時間、適当な温度に保つと麦芽の酵素の働きで、デンプン質が糖分に変わります。この糖化が終了した液をろ過して、ホップを加え、煮沸します。ホップを加えることで麦汁にビール特有の香りと苦味がつき、煮沸により麦芽の酵素の働きを止め、麦汁を濃縮して所定の濃度にします。煮沸終了後、沈殿したホップ粕やオリを取り除きます。 |
ビールの製造工程(製麦)
厳選した大麦を水に浸し、ほどよく発芽したところを温風にて乾燥させます。乾燥により、成長が止まり保存性が増すほか、香ばしい香りや麦わら色の色彩などができます。 また麦芽の中には、デンプンを糖に変える酵素などが生まれます。 |
ビールの製造工程(貯酒)
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