ヒトパピローマウイルス
【概要】 扁平上皮細胞に感染するDNAウイルス。パピローマとは乳頭腫。ヒト・パピローマウイルス(HPV)の感染はタイプによって疣(いぼ)、尖圭コンジローマ、陰茎癌、子宮頚癌、肛門癌を起こす。HPVは多くの人が特に性行為によって感染する。ほとんどのHPV感染は一時的なもので免疫機構によって数年以内に排除されるが、持続感染によってわずかな人が癌に進行する。
【詳しく】 HPVのタイプは100種類以上あり、約70タイプは表皮に感染する。約30タイプが生殖器に接触感染する。危険性が低いタイプは6,11,42,43,44で、持続感染するとコンジローマを起こす。危険性が高いタイプは16,18,31,33,35,39,45,51,58,59,68で、持続感染により子宮頚部細胞の異常(=異形成)を起こし、一部が時間がたつと頚癌になることがある。HPV感染の有無はHPV検査で知ることができ(保険未収載)、異形成や頚癌は細胞診検査でわかる。HPVワクチンは開発中。 HIV感染者の浸潤性子宮頚癌は免疫不全によって進行が早いので、エイズ指標疾患のひとつとされている。肛門癌の多発も注目されているが指標疾患には加えられていない。
ヒトパピローマウイルス
ヒトパピローマウイルス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/10 07:33 UTC 版)
ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)は、パピローマウイルス科に属するウイルスの一つ。ヒト乳頭腫ウイルス(ヒトにゅうとうしゅウイルス)とも言われる。パピローマまたは乳頭腫と呼ばれる疣を形成することから名付けられた。百数十種類以上の型があり、型によって、手足・顔などにできるイボ、陰部にできる性感染症の尖圭コンジローマ、また子宮頚癌に関りがある。
- ^ a b Westrich, Joseph A.; Warren, Cody J.; Pyeon, Dohun; et al. (2017). “Evasion of host immune defenses by human papillomavirus”. Virus Research 231: 21-33. doi:10.1016/j.virusres.2016.11.023. PMC 5325784. PMID 27890631 .
- ^ a b Cason J, Kaye JN, Jewers RJ, etal (November 1995). “Perinatal infection and persistence of human papillomavirus types 16 and 18 in infants”. J. Med. Virol. 47 (3): 209-18. PMID 8551271.
- ^ a b Mund, K.; Han, C.; Daum, R.; et al. (1997). “Detection of Human Papillomavirus Type 16 DNA and of Antibodies to Human Papillomavirus Type 16 Proteins in Children”. Intervirology 40 (4): 232-237. doi:10.1159/000150552. PMID 9612724.
- ^ a b Kojima, A; Maeda, H; Kurahashi, N; et al. (2003). “Human papillomaviruses in the normal oral cavity of children in Japan”. Oral Oncology 39 (8): 821-828. doi:10.1016/S1368-8375(03)00100-3. PMID 13679205.
- ^ a b c d e f g 日本性感染症学会「性感染症 診断・治療 ガイドライン2016」(pdf)『日本性感染症学会誌』第27巻1 Supplement、2016年11月。
- ^ a b 柊元巌、森清一郎、長島真美『ヒトパピローマウイルス感染症 (pdf)』(レポート)、国立感染症研究所、2012年9月。2018年3月10日閲覧。
- ^ a b クリニチップHPV pmda
- ^ HPV DNA「キアゲン」HC II pmda
- ^ 子宮頸がんと検診 子宮頸がん検診における細胞診とHPV検査併用の有用性に関する研究班HP
- ^ 笹川寿之「ヒトパピローマウイルス (HPV) ワクチンの現状と課題」(pdf)『Modern Media』第55巻、2009年、269-275頁、NAID 80020752537。
- ^ 今野良「Chapter1 HPV感染と子宮頸癌」『知っておきたい子宮頸がん診療ハンドブック』(pdf)中外医学社、2012年、1-5頁。ISBN 978-4-498-06062-3 。
- ^ Kreimer, Aimée R.; Bhatia, Rohini K.; Messeguer, Andrea L.; et al. (2010). “Oral Human Papillomavirus in Healthy Individuals: A Systematic Review of the Literature”. Sexually Transmitted Diseases (6): 1. doi:10.1097/OLQ.0b013e3181c94a3b. PMID 20081557.
- ^ 『ウイルスの臨床検査』《臨床検査MOOK No.28》p.243. 金原出版、1988年、ISBN 978-4307643283。
- ^ ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種への公費助成に関する要望書 (PDF) 日本産科婦人科学会、2010年
- ^ Ault, Kevin A. (2007). “Effect of prophylactic human papillomavirus L1 virus-like-particle vaccine on risk of cervical intraepithelial neoplasia grade 2, grade 3, and adenocarcinoma in situ: a combined analysis of four randomised clinical trials”. The Lancet 369 (9576): 1861-1868. doi:10.1016/S0140-6736(07)60852-6. PMID 17544766.
- ^ Nick Mulcahy (2016年10月24日). “GSK’s HPV Vaccine, Cervarix, No Longer Available in US”. Medscape 2018年3月10日閲覧。
- ^ 松本光司「2) 子宮頸癌制圧のためのHPVワクチン(クリニカルカンファレンス1 婦人科がんとTR,生涯研修プログラム,第60回日本産科婦人科学会学術講演会)」『日本産科婦人科學會雜誌』第60巻第2号、2008年、404頁、NAID 110006804731。
- ^ a b HanleySharon、今野良「HPVワクチン-40歳代女性を含むCatch-up vaccination」『産科と婦人科』第77巻第9号、2010年9月、1016-1022頁、NAID 40017265898。
- ^ “HPV“治療”ワクチンを米社が開発、第I相臨床試験結果発表”. Medical Tribune (2012年10月16日). 2014年9月2日閲覧。
- ^ “ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がん予防ワクチン)”. 厚生労働省. 2014年9月2日閲覧。
- 1 ヒトパピローマウイルスとは
- 2 ヒトパピローマウイルスの概要
- 3 感染方法
- 4 ワクチン
- 5 出典
ヒトパピローマウイルス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 14:02 UTC 版)
ヒトパピローマウイルスの16型と18型が、世界の子宮頸癌の原因の75%を占め、31型と45型では10%を占める。 日本では子宮頸癌の人々の87.4%に、あらゆる型のHPVの感染が確認されている。信頼性の高いPCR/シークエンス法による調査では、16型18型は子宮頸癌のほぼ50%から検出されている。好発部位は扁平上皮化発生領域であり扁平上皮化癌が約90%である。子宮頸部扁平上皮癌はヒトパピローマウイルスという腫瘍ウイルスの感染が原因で引き起こされる。 HPVには100以上もの種類があり、皮膚感染型と粘膜感染型の2種類に大別される。子宮頸癌は、粘膜感染型HPVの中でも高リスク型HPVと呼ばれている性交渉によって感染する一部のHPVが長期間感染することによって引き起こされる。が、性交経験がなくても発症はある。 高リスク型に分類されるHPVの型は16, 18, 31, 33, 35, 39, 45, 51, 52, 56, 58, 59, 68, 73, 82である。 HPVに感染しても多くの場合は、免疫によってHPVが体内から排除される。HPV感染の大半は2年以内に自然消失するが、免疫が誘導されにくいため、何度でも感染する。約10%の人では感染が長期化(持続感染化)する。HPVが持続感染化するとその一部で子宮頸部の細胞に異常(異形成)を生じ、さらに平均で10年以上の歳月の後、ごく一部(感染者の1%以下)が異形成から子宮頸癌に進行する。 HPVによって引き起こされる他の疾患としては、尖圭コンジローマ、疣贅がある。このほかHPV感染者とのオーラルセックスなどに起因して口腔癌のリスクを高めるとの報告がある。
※この「ヒトパピローマウイルス」の解説は、「子宮頸癌」の解説の一部です。
「ヒトパピローマウイルス」を含む「子宮頸癌」の記事については、「子宮頸癌」の概要を参照ください。
ヒトパピローマウイルス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 09:10 UTC 版)
「がんワクチン」の記事における「ヒトパピローマウイルス」の解説
詳細は「子宮頸がんワクチン」を参照 ヒトパピローマウイルス (HPV) は数多くの種類あるが、そのうち、一部の株に予防効果を発揮する。HPVの一部の種類は、子宮頸癌、陰唇癌、尖圭コンジローマなどの病原体であることも知られているため、該当年齢時期の女性は本ワクチン接種によるメリットがあると考えられている。日本では、グラクソ・スミスクラインと、万有製薬(メルクの100%子会社)が2007年12月にそれぞれ承認申請を行い、2009年10月に、グラクソ・スミスクラインの子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」が日本で承認された。
※この「ヒトパピローマウイルス」の解説は、「がんワクチン」の解説の一部です。
「ヒトパピローマウイルス」を含む「がんワクチン」の記事については、「がんワクチン」の概要を参照ください。
固有名詞の分類
DNAウイルス | アフリカ豚コレラウイルス ヒトパピローマウイルス パルボウイルス 単純ヘルペスウイルス B型肝炎ウイルス |
- ヒトパピローマウイルスのページへのリンク