420
「420」とは、隠語で大麻のことを意味する表現。
「420」とは・「420」の意味
大麻(マリファナ)にはガンジャ・ハシュシュ・チョコ・グラスなどの隠語が多く、「420(フォートゥエンティ、またはナンバー・フォートゥエンティ)」もその中のひとつ。大麻は世界的に見ても非合法としている国が多く、合法としている国はカナダ・ウルグアイ・南アフリカなど数カ国しかない。そのためSNSなどで使われる隠語(スラング)の種類も多く、摘発やアカウントの凍結を防ぐため、近年では「野菜」などの新たな隠語も誕生している。日本においては大阪府岸和田市の市内局番に420があることから、「岸和田」が隠語として使用されていたこともある。「420」は、1970年代から使われているアメリカ発祥の隠語と言われている。アメリカでは既存の社会秩序や価値観を否定する「ヒッピームーブメント」が1960年代に流行し、多くの人々が薬物による精神の高揚と解放を求めていた。当時は大麻が最も手軽に入手できる薬物だったため若者を中心に大流行し、1960年代の終わりには既に「420」の隠語が使われていたとされている。
「420」の由来にはいくつかあるが、発祥の地・アメリカで最有力とされているのは「1970年代の初期に、カリフォルニア州サンラフェルにある高校の一部の生徒が、毎日放課後の4時20分に大麻を吸うために校内にある銅像の前に集まっていた」という説である。ただ、この話には後日談があり、2017年にアメリカのメディア「ハフポスト」が当時の生徒にインタビューした結果は、「実際に吸っていたわけではないが、大麻に関連して集まっていたのは事実」とのコメントであった。
この他にもアメリカの警察が大麻関連の事件を無線連絡するときに使用する暗号が「420」であるなどいくつかの説がある。なお、現在では世界各国で「4月20日はマリファナの日」として、合法化を求めるキャンペーンやイベントが開催されている一方、「忌み数字」としてナンバー420の客室を設けないホテルも多い。
また、大麻と音楽にも深いつながりがあり、大麻に関する思いや大麻を吸ってから聴くことを想定して作られた楽曲も数多く存在する。代表的なのはラップやレゲエで、歌詞の中に「420」を含めた隠語やスラングが含まれている曲や、ストレートに「大麻は合法化するべき」と歌っている楽曲もある。レゲエの大御所であるボブ・マーリーにも「Ganja Gun」という楽曲がある。
なお、大麻が人体に及ぼす影響として脳に対する抑制作用があり、体内に入れることで幻覚作用や酩酊感をもたらすことが確認されている。依存性も高く、乱用することで学習能力の低下や精神障害などの健康被害を引き起こすこともある。日本においては「大麻取締法」により厳しく規制されており、所持や使用、栽培などに関して細かく罰則が決められている。
しかし、その一方で医療分野における効果があることも事実である。大麻には「カンナビノイド」という化合物が含まれており、WHO(世界保健機関)でもカンナビノイドがアルツハイマー病やパーキンソン病、クローン病や糖尿病合併症などのさまざまな疾患や疼痛緩和に効果があるとしている。既にアメリカではほとんどの州で医療用大麻が合法化されており、2018年にはカンナビノイドを主成分としたてんかん治療薬も認可を受けている。
現在の日本の大麻取締法では「大麻から製造された医薬品は使用できない」と定義されているが、近年になり医療側からの要請により「医療大麻」の解禁の議論が進んでいる。今後は厚生労働省を中心とした調査・検討から閣議決定、国会への改正法案提出という流れになるが、実現までには相当の時間が必要と考えられている。
「420」の読み方
「420」はそのまま「フォートゥエンティ」と読むか、「ナンバー・フォートゥエンティ」と読む。- ナンバー・フォートゥエンティのページへのリンク