センサーの探知論とは?

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センサーの探知論

読み方せんさーのたんちろん
【英】:detection theory of sensor

概要

センサー探知モデルは,「センサー検出エネルギー伝達モデル」,「信号検知モデル」,「探知認識モデル」等からなるが, これらは各種センサー工学, 環境物理学, 信号処理理論, 人間工学等の学際的研究分野である. 探索理論では, これらの結果は「距離対探知確率」で出力されることを想定し, その知識基づいて探索オペレーションにおける「目標物発見」を定式化し, 「効率的探索法」を解明するのが探索理論役割である.

詳説

 探索者センサーによって目標物存在検出するが, 探索理論が扱う探知探索では, 目標物位置情報(方位及び/又は距離)を与えセンサーが用いられる. センサーには見逃し(第1種の過誤)と虚探知 (第2種の過誤)が避けられないが, センサーの探知論では主に前者問題にする.


 目標物,環境,センサー条件が決まればセンサー探知能力定まるが, センサーから同一距離にある目標物でも, 信号の短周期変動人間見逃しのために探知確率現象となる. ゆえにセンサー瞬間的探知能力距離対探知確率曲線 (detection probability vs. range curve) b(r)\, で表わされる. 通常,目標物近傍では目標信号が強いので探知確率は高く, 遠方では低下する. またセンサーによる目標空間走査は, 時間的連続的場合離散的場合があり, それによって探知確率 b(r)\, 表現異なる. 即ち連続的場合探知確率密度(瞬間探知率), 離散的場合は1回のべっ見の探知確率(べっ見探知確率) で表わされる. センサーの距離対探知確率はこれらの総称である. また距離対探知確率関数発見法則(detection law)と呼ぶことがある. 定距離発見法則 [1] は, 探知レンジ R\, 以内では確率 p_0\, 探知し (p_0 = 1\, (完全定距離法則), p_0<1\, (不完全定距離法則)), R\, 外では探知しない場合を言い, また 逆n乗発見法則(inverse n\, th power detection law) [2] は, b(r)\Delta t=(k/r)^n \Delta t\, 与えられる場合を言う. 目視探索ではこの式の n = 3\, 場合3乗法則 (inverse cube detection law) が現実良く合うと言われている. ただし発見法則という術語は, マクロ探索努力配分問題では目標空間上のある地点目標物がいるとき, この点の探索努力量と目標探知確率の関係を指す言葉として使われることもある. またセンサー有効探知距離(effective detection range) とは, 上述距離対探知確率曲線下の面積である. ただし長レンジセンサーでは, 目標空間期待探索面積等し面積をもつ定距離センサー探知レンジ R\, 有効探知距離を定義する場合がある.


 上述した距離対探知確率及び有効探知距離は, センサー目標物の距離が r\, のときの瞬間的探知能力であるが, 通常の探索では目標物探索者動き廻り相対距離は時々刻々変化する. 2次元空間探索者から見た時点 t\, 目標位置(x(t),y(t))\, , センサー発見法則b(r), (r\, 相対距離 )\, とすれば, 相対径路 C = \left\{ { (x(t),y(t)),t_1 \leq t \leq t_n }\ \right\}\, 上を動く目標物探知確率 P(C)\, は, 各時点探知独立性仮定すれば次式で表される.



P(C) \, = 1 - \exp \left( \sum_{i=1}^n \log \left\{ 1-b 
\left( \sqrt{ x(t_i)^2+y(t_i)^2} \right) \right\} \right), 
\, 離散時点探索

= 1 - \exp \left(- \int_{t_1}^{t_n} b \left( \sqrt{ x(t)^2+y(t)^2} \right) 
{\mbox{d}}t \right), 
\, 連続時間探索


上式の指数のべきを探知ポテンシャル(sighting potential) F(C)\, という.



F(C) \, = - \sum_{i=1}^n \log \left\{ 1-b \left( \sqrt{x(t_i)^2+y(t_i)^2} \right) 
\right\}, 
\,  離散時点探索

= \int_{t_1}^{t_n} b \left( \sqrt{x(t)^2+y(t)^2} \right) {\mbox{d}}t,
\,  連続時間探索


 従って走査連続性に関係なく, P(C) =1- \exp (- F(C))\, 書くことができる. また相対径路 C\, C_1,C_2\, からなる場合, 上式から F(C)=F(C_1)+F(C_2)\, となり, 探知ポテンシャル加法性成り立つ. これを用いて多数折線からなる径路上の探知や,複数探索者による総合的目標探知確率求められる.


 通常, センサー探知可能距離は探索径路長に比して小さく, また目標物探索者変針変速頻繁ではない. ゆえに1回の遭遇の有効(探知可能)な相対径路直線と見なし, 横距離(最近接点距離) x\, を通る(無限)直線径路上を相対速度 w\, 通過する目標物考え, その目標物対す探知確率 PL(x)\, を横距離探知確率又は横距離曲線(lateral range curve)と呼ぶ. また横距離曲線下の面積(図形尺度係数)を有効探索幅(effective sweep width)という.


 長レンジセンサーでは1回の有効な遭遇径路長いので, 目標物探索者変針変速センサー寿命切れ, 探索条件時間変化等のために横距離曲線適用できない. その場合は目標物の1回の暴露状態(目標条件やその継続時間,針路,速度等)を定義し, 相対距離 r\, の点で暴露状態をとる目標物対す暴露目標探知確率(exposure detection probability) P(r)\, 考える. またこのときの有効探索幅P(r)\, 対する完全定距離法則換算有効探知距離で表す. 前述の距離対探知確率有効探知距離瞬間的探知能力を表すのに対して, 横距離探知確率有効探索幅, 暴露目標探知確率は,1回の遭遇センサー探知能力を示す.


 上述センサー探知能力は, 探索の場では必ずしも探索者探索能力を表さない. 同一センサー搭載した高速低速ビークルでは, 高速ビークルの方が探索能力大きいからである. このように探索者運動力を考慮した探索システム能力を示す尺度として, 有効探索率(effective sweep rate)が用いられる. この量は探索者単位時間目標空間走査する期待面積で定義される.


 これまでセンサー及び探索システム能力定量的表現を述べたが, 探索濃密さを表す尺度として, カバレッジファクター(coverage factor)が用いられる. この量は探索間中目標空間内の延べ探索面積期待値を, 目標存在領域面積で除した値で定義される. 即ち目標存在領域重複なくしらみつぶし探しとすれば, 何回探したことになるかを表す値である. ここでは探索径路, 目標物行動等の要因無視しているので, 特殊な場合を除き探索オペレーション評価尺度目標探知確率等と直接結びつけることはできないが, カバレッジファクター増加すれば目標探知確率増加する.


 センサーはシステム・ノイズ等のために虚探知避けられない. この特性虚探知率で表されるが, これは探知認識段階探索者単位時間(又は1回のべっ見)当り虚探知起す確率を示す. センサー工学分野では信号検知レベル誤り確率を誤警報率という. 虚探知のある探索では広域探索によって目標情報(コンタクトという)を得た後, コンタクト真偽確認のために精査(目標識別という)を行う2段階探索が行われる.



参考文献

[1] B. O. Koopman, Search and Screening, OEG Report No.56, 1946.

[2] K. Iida, "Inverse Nth Power Detection Law for Washburn's Lateral Range Curve," Journal of the Operations Research Society of Japan, 36 (1993), 90-101.



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