セクスプロイテーション、ピンク映画の勃興とポルノ解禁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 15:37 UTC 版)
「鬼畜系」の記事における「セクスプロイテーション、ピンク映画の勃興とポルノ解禁」の解説
詳細は「セクスプロイテーション」、「ピンク映画」、および「ポルノ映画」を参照 1960年代のアメリカではセクスプロイテーション映画と呼ばれる、独立系映画制作会社による低予算の、お色気女優が性的搾取されるシチュエーションを扱うジャンルが隆盛し、日本でも同様にピンク映画が流行した。『Olga's Girls』(1964年)などSM行為を含むエロ映画もこの頃に多数制作されている。1969年のデンマークを皮切りに、(擬似ではなく)本物の性交を行うポルノ映画が合法となった(ポルノ解禁)。ポルノが合法になる以前からも、スタッグフィルムと呼ばれる非合法のポルノ映画が地下で流通しており、SMポルノ映画もこの頃から制作されていた。デンマークのColor Climax Corporation(1967年〜)は、すぐさま獣姦、飲尿、さらに法律の不備をついて児童ポルノなど様々なジャンルのポルノを制作した。スカトロ行為を行うポルノ動画がいつ頃から登場したかは定かではないが、『HARD GAMES – Klistier Exzess (Anita Feller)』(1980年)やVeronica Moserなどは確認できる初期の例である。1980年代にはイギリスでアニマル・ファームという獣姦ジャンルのポルノ動画がいくつも作成された。中には、ウナギを挿入するものもあった。現在では、動物の権利の観点から、獣姦ポルノは法律で禁止されている国もある。日本のカルト的エログロAVでは、V&Rプランニング、平野勝之、井口昇、天野大吉、穴留玉狂、アロマ企画などが後に登場した。 一方、日本国内では1960年代よりテレビの普及に伴い、映画館の観客動員数が減少し、これに対抗した大手以外の独立系映画会社が「テレビでは出来ないこと」としてピンク映画の製作に舵を切り始め、隆盛を極めていた。これに目を付けた東映が『網走番外地』シリーズで知られる映画監督の石井輝男と『くノ一忍法』『893愚連隊』『日本暗殺秘録』で知られる中島貞夫を抜擢し、日本の大手映画会社としては初となるポルノ映画『大奥㊙物語』(監督・中島貞夫)および『徳川女系図』(監督・石井輝男)を製作した。これに手応えを感じた東映と石井は本作より「異常性愛路線」を前面に打ち出し、作中にサドマゾ、拷問、処刑などグロテスクな描写を次々に取り入れ、エログロとサディズムの極限を追求した成人映画を立て続けに製作し、和製モンドの一ジャンルを築き上げた。これら一連の作品によって石井輝男は国内におけるカルトムービーのパイオニアとしてみなされている。 異常性愛路線は、1968年公開の『徳川女系図』の大ヒットを嚆矢として『徳川女刑罰史』『異常性愛記録 ハレンチ』『徳川いれずみ師 責め地獄』『明治大正昭和 猟奇女犯罪史』(阿部定が出演)とシリーズを重ねるごとに、その過激さを加速度的にエスカレートさせていくが、1969年の『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』の興行的失敗、併映作『㊙劇画 浮世絵千一夜』の警視庁から東映と映倫に対するわいせつシーンの削除要請、そして警察庁による取り締まり強化宣言などによって60年代末に終焉を迎えることとなる。 その後、エログロ路線が下火になる中、1971年に東京テレビ動画(後の日本テレビ動画)は谷岡ヤスジ原作の劇場用アニメ映画『ヤスジのポルノラマ やっちまえ!!』を製作。本作はそれまで子供向けであると言われたアニメの世界にエログロやバイオレンス表現を大胆に取り入れ、強姦や獣姦、幼児姦に近親相姦といったハードコア要素を存分に詰め込んだアブノーマルな世界観に仕上がっており、今日では伝説的なカルトムービーとして一部で再評価されている。しかし、公開前に映倫からのクレームで11カ所がカットされ、主人公がメスゴリラと姦通した後、割腹自殺を遂げるラストシーンは前年の三島事件を連想させるとのことで全面的に撮り直された。そのうえ公開後は全く客が入らず、2週続映が1週で打ち切られ、ほとんどの批評誌からも酷評されるなど興行は大失敗に終わり、本作を最後に東京テレビ動画は解散を余儀なくされた。その後、1984年にワンダーキッズが中島史雄の三流劇画を原作とした成人向けOVA『雪の紅化粧/少女薔薇刑』を公開するまで国産アダルトアニメは12年半にわたり姿を消すこととなった。
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