ジェミニ9-A号
名称:ジェミニ9-A号(Gemini 9-A)
小分類:ジェミニ計画
打ち上げ国名・機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ年月日:1966年6月3日
帰還年月日:1966年6月6日
打ち上げロケット:タイタンII
宇宙飛行士:トーマス・P・スタフォード/ユージン・A・サーナン
飛行時間:72時間21分
国際標識番号:1966047A
ジェミニ9-A号では、ジェミニ計画で2度目の船外活動が行われ、このとき初めて、船外活動が非常に難しい作業であることが明らかになりました。
アメリカ人として2人目の船外活動をしたのはユージン・サーナンです。彼は、新たに開発されたAMU(宇宙飛行士操縦ユニット)を身につけて、宇宙空間を自由自在に飛行する予定でした。AMUは機械船に積んであり、搭乗カプセルの外に出て取りに行かなければなりません。そこまで行くのに数分ですむと思われていましたが、実際はたいへん困難な作業でした。なめらかな船体に、手袋をした手で必死につかまらなければならず、たえず足をすべらせ、1時間近くもかかりました。AMUを装着するのにも時間がかかり、流れ出た汗でヘルメットのバイザーが曇って凍りつき、視界がきかなくなりました。AMUで飛行する実験はとうとう中止になってしまいました。2時間9分におよぶ船外活動は、とてもつらいものでした。
1.宇宙船はどんな形をして、どのような性能を持っているの?
ジェミニ宇宙船は搭乗カプセルと機械船から構成され、円錐形をしています。機械船は電力や酸素などをカプセルに供給する役目のもので、実験装置を収める場所でもありました。2つをあわせた全長は5.6m、最大直径3.1m、重量3.5tです。逆推進エンジンや姿勢制御エンジンがついていました。
2.ロケットはどんな形をして、どのような性能を持っているの?
タイタンIIは大陸間弾道ミサイルを改良した多段式ロケットで、全長33.2m、直径3.1m、重量185tです。
3.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
打ち上げから約2分30秒後にタイタンIIの第1段が切り離され、地球周回軌道に入ると第2段が切り離されます。地球に戻るときは、機械船が切り離され、搭乗カプセルだけで大気圏に再突入しました。
4.宇宙飛行の目的は?
AMU(宇宙飛行士操縦ユニット)を使っての船外活動です。
5.宇宙でどんな活動をし、どのような成果をおさめたの?
船外活動が非常に難しい作業であることがわかり、AMU(宇宙飛行士操縦ユニット)を使って船外活動する実験が中止になりました。
※参考文献:アラン・シェパード,ディーク・スレイトン著/ムーンショット(集英社)、竹内均・監修/Newton Collction II 宇宙開発(教育社)、松井孝典・著/「宇宙誌」(徳間書店)、野田昌宏・編著/NASA これがアメリカ航空宇宙局だ(CBS・ソニー出版)
ジェミニ9-A号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/09 10:26 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動ジェミニ9-A号 | |||||
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徽章
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ミッションの情報 | |||||
ミッション名 | ジェミニ9-A号 | ||||
宇宙船 | ジェミニ9-A号 | ||||
質量 | 3,750キログラム (8,300 lb) | ||||
乗員数 | 2名 | ||||
コールサイン | Gemini 9A | ||||
打上げ機 | タイタンII GLV #62-12564 | ||||
発射台 | ケープカナベラル空軍基地LC-19発射台 | ||||
打上げ日時 | 1966年6月3日 13:39:33 UTC | ||||
着陸または着水日時 | 1966年6月6日 14:00:23 UTC 北緯27度52分 西経75度0.4分 / 北緯27.867度 西経75.0067度 |
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ミッション期間 | 3日00時間20分50秒 | ||||
周回数 | 47周 | ||||
遠地点 | 266.9キロメートル (144.1 nmi) (1周目) | ||||
近地点 | 158.8キロメートル (85.7 nmi) (1周目) | ||||
公転周期 | 88.78 分 (1周目) | ||||
軌道傾斜角 | 28.91° | ||||
乗員写真 | |||||
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(L-R) Stafford, Cernan | |||||
年表 | |||||
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ジェミニ9-A号 (英: Gemini 9AもしくはGemini IX-A) は、アメリカ合衆国の有人宇宙飛行であるジェミニ計画で打ち上げられた宇宙船およびその宇宙飛行計画。ジェミニ宇宙船としては9番目のものであり、1966年6月3日に打ち上げられた。
概要
ジェミニ9号の目的は、軌道上においてドッキングを成功させることにあった。しかし、ドッキング対象となるはずだったアジェナ標的機(GATV-5004)は、1966年5月17日にケープカナベラル空軍基地LC-14発射台よりアトラス・ロケットを用いて打ち上げられたものの、軌道投入に失敗し、ジェミニ9号の打ち上げも中止された。
GATV-5004の代わりに、ATDA #02186を打ち上げ、ドッキング試験を行うことになり、ミッション名もジェミニ9-A号に変更された。ATDAは、アジェナ標的機のうち、ドッキングポートを中心とした部分であり、ロケットエンジンや燃料タンクは省略された。ATDAは、1966年6月1日に打ち上げられた。ジェミニ9-A号も6月1日に打ち上げられる予定であったが、発射3分前に機器の不調により打上げ中止となった。結局、1966年6月3日にケープカナベラル空軍基地LC-19発射台より打ち上げられた。
打ち上げ49分後から、ATDA接近のための軌道修正を開始し、3時間20分後に93kmの地点にまで接近した。ATDAは、軌道投入されたものの、モニタリング信号によれば、シュラウド(ペイロードフェアリング)が開ききっていないことが示されていた。ジェミニ9-A号が接近し目視した結果、モニタリング信号通り、シュラウドが開ききっていないことが確認され、ドッキングは不可能の状態であった。ATDAのシュラウドは、半分 口をあけた状態にあり、その様子は「怒ったワニ(angry alligator)」と形容された。船外活動により、シュラウドを開放することも検討されたが、爆発ボルトが危険なこともあり、その作業は行なわれなかった。ドッキング試験は中止し、ランデブー試験のみが行われた。
飛行3日目に、船外活動試験を実施することとなった。ユージン・サーナンが船外に出て、推進/機械部に搭載された宇宙飛行士機動ユニット(Astronaut Maneuvering Unit,AMU)を装着し、船外活動を行うというものであった。しかし、無重力下の宇宙空間での移動は困難を極めた。宇宙服は動きづらかったのみならず、汗による湯気でバイザーが曇り、視界が確保されなかった。このため、AMUのところまで移動するのに1時間を費やした。飛行士の疲労や視界不良のため、AMUによる船外活動は中止となり、ユージン・サーナンは再び1時間をかけて船内に戻った。なお、このAMUは空軍システム軍団が開発したものであった。
周回45週目に逆噴射を行い、大気圏再突入を開始した。再突入動作は非常に順調であり、フロリダ半島沖の大西洋に展開していた航空母艦ワスプから700mの地点に着水した。アメリカ国防総省もジェミニ9-A号の支援についており、人員11,301名と航空機92機、艦艇15隻が投入された。
ジェミニ9-A号は、フロリダ州ケープカナベラルにあるケネディ宇宙センターにて保管展示されている。
搭乗員
- 船長:トーマス・スタッフォード
- パイロット:ユージン・サーナン
予備搭乗員
- 船長:ジム・ラヴェル
- パイロット:エドウィン・オルドリン
外部リンク
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