ジェミニ3号
名称:ジェミニ3号(Gemini 3)
小分類:ジェミニ計画
打ち上げ国名・機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ年月日:1965年3月23日
帰還年月日:1965年3月23日
打ち上げロケット:タイタンII
宇宙飛行士:バージル・I・グリソム/ジョン・W・ヤング
飛行時間:4時間53分
国際標識番号:1965024A
ジェミニ3号はジェミニ計画で初めての有人宇宙飛行を行ない、地球周回軌道を3周回しました。マーキュリー計画が終わってから約1年と10ヵ月ぶりの有人飛行でした。
ジェミニ計画は、すでに始まっていたアポロ計画のための準備計画で、月へ人間を送るのに必要な宇宙でのさまざまな技術を完成させるのが目的でした。そのため、ジェミニ3号から初めて宇宙船にコンピュータが搭載されるようになりました。2人乗りの宇宙船になったのも、このときからです。
バージル・グリソムとジョン・W・ヤングの2人はコンピュータを使って軌道修正計算を行ない、ジェミニ宇宙船を高い軌道から低い軌道に移すなどの実験をみごとに成功させました。この実験は当時、ソ連もまだ行ったことのないものでした。
1.宇宙船はどんな形をして、どのような性能を持っているの?
ジェミニ宇宙船は搭乗カプセルと機械船から構成され、円錐形をしています。機械船は電力や酸素などをカプセルに供給する役目のもので、実験装置を収める場所でもありました。2つをあわせた全長は5.6m、最大直径3.1m、重量3.2tです。逆推進エンジンや姿勢制御エンジンがついていました。
2.ロケットはどんな形をして、どのような性能を持っているの?
タイタンIIは大陸間弾道ミサイルを改良した多段式ロケットで、全長33.2m、直径3.1m、重量185tです。
3.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
打ち上げから約2分30秒後にタイタンIIの第1段が切り離され、地球周回軌道に入ると第2段が切り離されます。地球に戻るときは、機械船が切り離され、搭乗カプセルだけで大気圏に再突入しました。
4.宇宙飛行の目的は?
ジェミニ計画で初めての有人飛行と、軌道修正の実験です。
5.宇宙でどんな活動をし、どのような成果をおさめたの?
コンピュータを使った軌道修正に成功しました。
※参考文献:アラン・シェパード,ディーク・スレイトン著/ムーンショット(集英社)、竹内均・監修/Newton Collction II 宇宙開発(教育社)、野田昌宏・編著/NASA これがアメリカ航空宇宙局だ(CBS・ソニー出版)、松井孝典・著/「宇宙誌」(徳間書店)
ジェミニ3号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/07 23:27 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動ジェミニ3号 | |||||
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徽章
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ミッションの情報 | |||||
ミッション名 | ジェミニ3号 | ||||
宇宙船 | The Molly Brown | ||||
質量 | 3,236.9キログラム (7,136 lb) | ||||
乗員数 | 2名 | ||||
コールサイン | Molly Brown | ||||
打上げ機 | タイタンII GLV #62-12558 | ||||
発射台 | ケープカナベラル空軍基地LC-19発射台 | ||||
打上げ日時 | 1965年3月23日, 14:24:00 UTC | ||||
着陸または着水日時 | 1965年3月23日, 19:16:31 UTC 北緯22度26分 西経70度51分 / 北緯22.433度 西経70.850度 | ||||
ミッション期間 | 04:52:31 | ||||
周回数 | 3周 | ||||
遠地点 | 224.2キロメートル (121.1 nmi) | ||||
近地点 | 161.2キロメートル (87.0 nmi) | ||||
公転周期 | 88.3 分. | ||||
軌道傾斜角 | 32.6° | ||||
航行距離 | 128,748キロメートル (80,000 mi) | ||||
乗員写真 | |||||
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左がヤング、右がグリソム | |||||
年表 | |||||
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ジェミニ3号(Gemini3)はアメリカ合衆国の有人宇宙飛行であるジェミニ計画で打ち上げられた宇宙船およびその宇宙飛行計画。ジェミニ宇宙船としては3番目のものであり、1965年3月23日打上げ。前のジェミニ1号およびジェミニ2号は無人試験機であったが、ジェミニ3号はジェミニ計画としては初めて有人で打ち上げられた。
概要
ジェミニ1号および2号によって基本性能が確かめられたジェミニ宇宙船は、ジェミニ3号において、初めてジェミニ計画としては有人打ち上げを行なうこととなった。コールサインはかつてグリソムの搭乗したマーキュリー・レッドストーン4号の失敗を繰り返さないようにモーリー・ブラウン(不沈のモーリー・ブラウン,The Unsinkable Molly Brown タイタニック号の沈没に遭遇した女性がモデルのミュージカルより)が付けられた。ジェミニ3号においては、宇宙船の軌道姿勢制御システムのスラスターを用いた軌道変更試験などが主任務であった。
1965年3月23日14:24:00UTCにケープカナベラル空軍基地LC-19発射台より、タイタンII GLVによって打ち上げられた。南東方向へ向けて打ち上げられ、打上げ後約5分半で軌道投入されている。軌道上の試験では、スラスターに若干の不調が見られたものの、特に問題は無く、3周の軌道周回を行っている。当初軌道は遠地点224.2km近地点161.2km周期88.3分であったものが、軌道変更により169km-158km(87.8分)となり、その後の変更で近地点72kmまで降下し、逆噴射を用いなくとも大気圏再突入が行なえる状態であった。飛行時間は4時間52分。
宇宙食も計画の一部であったが、ヤングは無断で宇宙船内にサンドイッチを持ち込み食事した。無重力下で浮遊するパンくずが機器の故障に繋がる恐れがあり、この行為は非難された一方で、食事が飛行士の士気に大いに関わるという主張も認められ、宇宙食のメニューの大幅な改善へと繋がっている。
フロリダ半島沖の西大西洋に着水している。着水地点は予定より約110km離れていた。着水時は姿勢がやや不安定であり回収作業には時間が掛かったが、乗員はアメリカ海軍の航空母艦イントレピッド搭載のヘリコプターによって回収された。アメリカ国防総省もジェミニ3号の支援についており、人員10,185名と航空機126機、艦艇27隻が投入された。現在、ジェミニ3号はグリソムの故郷のインディアナ州スプリング・ミル州立公園のグリソム記念館で展示されている。
搭乗員
予備搭乗員
- 船長:ウォーリー・シラー
- パイロット:トーマス・スタッフォード
当初計画搭乗員
- 船長:アラン・シェパード
- パイロット:トーマス・スタッフォード
シェパードの内耳疾患により1964年後半に交代
外部リンク
- NASAによるジェミニ計画概説
- On the Shoulders of Titans: A History of Project Gemini
- NASA Gemini 3 press kit - March 17, 1965
- Astronaut John W. Young
- Gemini3 page on A Field Guide To American Spacecraft
- JAXAによる解説
- Gemini 3 and the Misfortune of Al Shepard (Part 1) 2014年3月22日 AmericaSpace.com
- Gemini 3 and the Fortune of John Young (Part 2) 2014年3月23日 AmericaSpace.com
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