カルチュア・コンビニエンス・クラブによる運営
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「武雄市図書館・歴史資料館」の記事における「カルチュア・コンビニエンス・クラブによる運営」の解説
2012年5月4日、武雄市は書籍・音楽ソフト・映像ソフトのレンタル・販売店大手チェーン「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下CCC)を、当館の指定管理者にすることを発表した。 民営の書店である代官山蔦屋書店を手本にすることが特徴で、蔵書数20万冊、年中無休とし、開館時間を9時から21時に拡大するなど、サービス向上を図るとした。当時の武雄市長であった樋渡啓祐が東京の代官山蔦屋書店に感銘を受け、CCC社との連携を思いついたという。若年層に普及しているTカードでのポイント付与により、若者の図書館利用を促す狙いもあった。 「樋渡啓祐#ツタヤ図書館問題」も参照 最大の話題となったのは、図書館の貸出カードにCCC社が展開する「Tカード」を採用したことである。 地方自治体が運営する市立の公共図書館において、個人の思想・信条や嗜好などが反映される図書貸出履歴が、一民間企業のビッグデータとして活用されることを危惧する指摘があった。これに対し、樋渡は「貸出情報は個人情報には当たらないというのは僕の持論」と延べ、「図書館の自由に関する宣言」についても「一般社会には何ら法規性はない」と述べた。 構想発表当初は、図書館利用カードをTカードへ完全移行する計画であったが、一部の市民らが個人情報の流出を恐れるなど反発があり、結果としてTカードまたは新たに発行する「図書利用カード」いずれかの選択制に変更された。 Tカードの場合には図書貸出時にTポイントを付与する。貸出カードの有効期限は、Tカード・図書利用カードのいずれも発行日から3年。 市によると、事前の利用者登録およびカード更新では、約3400名中95%の利用者がTカードを選択した。このため、大半の利用者の図書貸出履歴が一民間企業にビッグデータとして蓄積される、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}日本初(世界初)の[要出典]公設公共図書館となった。図書館流通センターをはじめ、公共図書館民間委託の先行各社にはそのような事例はない。 「図書館の自由に関する宣言」は、戦後日本の公共図書館における倫理綱領として機能してきたが、司書など図書館関係者向けのものであり、広く一般に知られていたわけではなかった。しかし武雄市図書館のTポイント導入を期に議論が起こることとなり、図書館情報学研究者の岡部晋典はこれを評して「近現代図書館史の一つのターニングポイントにもなりえる」と書いている。 さらに同年8月14日には、図書館にスターバックスコーヒーを出店することも発表。図書館内の座席では館内で購入した飲料や、持ち込んだ水筒(スターバックス店内には持ち込み不可)に入れた飲料などを飲みながら、蔵書を閲覧できるようにした(食事は不可)。 CCC社長(当時)増田宗昭は、2013年8月27日の講演において、武雄市図書館を「名前は図書館だが、本のレンタル屋だ」と表現した(ウェブサイトに掲載後、該当部分の文言を修正している)。資料収蔵や図書貸出の場といった従来の図書館像にしばられない「新・図書館構想」を掲げ、CCCが初めて企画・運営に取り組んだ図書館となった。 樋渡は、この事例を全国的に「新しい図書館のロールモデル(手本例)」にする意向を繰り返し表明した。なお、2013年には宮城県多賀城市が新図書館の建設に際しCCCとの連携を発表。同年には神奈川県海老名市がCCCと図書館流通センターの共同事業体を海老名市立図書館の指定管理者に選定している。 2012年11月1日から2013年3月31日まで、リニューアルに向け蔵書の自動貸出機への対応や館内改修のため休館。2013年4月1日よりリニューアルオープンした。 公共図書館としての機能と民間書店としての機能が混在した、CCCを指定管理者とする公共図書館では、無料の飲み水が提供されなくなったことに関して、婦人会で「千円図書館」だと話題になったことが、2013年(平成25年)6月10日の武雄市議会本会議の一般質問で紹介されている。また、武雄市図書館の利用状況を調査した慶応義塾大学文学部教授の糸賀雅児は「図書館というより公設民営のブックカフェ」と評した。 指定契約制度移行後の職員の身分は以下のとおり。給与水準はCCC基準ではなく従前の市職員の基準と同等とし、新たに通勤手当が支給されるようになった。 館長:市の嘱託職員→CCCの契約社員。給与はCCCから支給。歴史資料館(指定管理対象外)館長を兼務し、市の嘱託職員としての身分も持つ。 市の正職員の司書→配置転換 市の嘱託職員の司書→CCCの職員 2016年4月からは、3月に退職した武雄市職員(こども教育部長)が館長に就任した。
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