アビシニア危機
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「第二次エチオピア戦争」の記事における「アビシニア危機」の解説
詳細は「アビシニア危機(英語版)」を参照 1935年1月3日、エチオピアはイタリアの侵略を国際連盟に提訴した。7月24日、イギリスはイタリアに対してエチオピア侵略に対する警告を行い、「もはや同盟国ではない」と通告した。8月にはイギリスの本国艦隊がジブラルタルに派遣され、イタリア政界にはイギリスとの戦争を恐れる声が高まった。しかしフランスは戦争に消極的であり、イギリスもフランスの協力無しには戦争に踏み切ろうとはしなかった。この間、イタリアはエリトリアとソマリランドの軍をエチオピア国境に集結させ始めた。8月16日からはパリにおいてイタリア・イギリス・フランス三国の代表が会談を行った。この席でイギリス・フランス側は、エチオピアの独立自体は変わらないとしながらも、国境線の変更やイタリアによる事実上の委任統治を認めるなどの宥和的な提案を行ったが、ムッソリーニはあくまでエチオピアの軍事占領にこだわったために会談は決裂した。イギリス艦隊はマルタに向かい、マルタが攻撃された場合には直ちに戦争に突入することが決定された。国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世はエチオピア侵攻に反対していたが、ムッソリーニは戦争の方針を変えなかった。この問題は国際連盟の討議の対象となったが、9月6日には英仏・ポーランド・トルコ・スペインによって構成される第三国委員会が平和的解決の模索を行うことになった。しかし9月10日にイギリスとフランスの代表は会談を行い、イタリアに対しては軍事制裁やスエズ運河封鎖などの強硬措置は執らず、国際連盟の枠組み内で戦争を抑止する方針をとることが合意された。9月11日にイギリスのサミュエル・ホーア外相がエチオピアの独立を支持する演説を行い、各国の連盟代表の熱烈な歓声を受けた。9月18日、五国委員会はエチオピアの独立を連盟が保障するかわりに指導下に置き、イタリアが望む国境線変更を行う代償として、英仏がイギリス領ソマリランドおよびフランス領ソマリランドから若干の領土をエチオピアに割譲するという調停案を出した。イタリア政界内部でも提案の受け入れを求める声が高まったが、ムッソリーニは「20万の軍隊を東アフリカに遠足に出したとでもいえというのか」と考慮すらしようとせず、9月21日に正式に拒否の決定を行った。この時点で英伊間の緊張は最高潮に高まったが、ここでイタリアが戦争の範囲をエチオピアに限り、英仏の権益を侵害しないという意図を伝達し、英仏もこれを容認したために、地中海における戦争の事態は回避された。 英仏がイタリアの抑止に動かないことが明らかになり、攻撃がもはや避けられない事態となるや、エチオピア皇帝ハイレ・セラシエは、国家総動員を命令し、50万人の新兵を集めたが、彼らの多くは、槍や弓矢といった原始的な武器しか持っていなかった。
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アビシニア危機
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1935年にアビシニア問題が悪化すると、バルボは英軍の参戦を危惧してエジプトとスーダンを攻撃する為の戦力を準備した。ムッソリーニが明確にエチオピアを征服する意図を明らかにすると、イタリアとイギリスの関係は実際に緊張した状態に入っていた。アビシニア問題に絡んでイギリスの権益と軍隊に対する防衛策として、イギリスは地中海海軍とエジプト駐留軍の増強を始めた。更にスエズ運河が封鎖されればそもそもエチオピアに陸軍を送り込めなくなると考えたバルボはリビアの戦力増強に努めた。こうした動きの背景にはムッソリーニに対して圧力を掛ける狙いもあった。 3個師団と700機の航空機が援軍として到来すると、バルボは著名な地理学者ラシロ・アルマシー(en:Laszlo Almasy)からエジプトとスーダンに進むことの実現可能性に関して調査を依頼したと言われる。1935年9月1日時点で地理的状況を把握した上で適切な軍配置を終了したバルボは、イギリス軍に対する奇襲攻撃を計画した。この時、イギリス情報部は怠慢から全くバルボの動きを把握せず、前線部隊に展開した英軍部隊は油断しきった状態にあった。しかしイギリスとの戦争を無謀と判断したムッソリーニは、ロンドンにバルボの部隊配置を教える事でバルボの行動を中止に追い込んだ。 その後、イタリア政府とイギリス政府の話し合いの結果として両国間でイタロ・アングロ協定(英伊協定)が締結され、一先ずアビシニア危機は遠ざかる事になった。
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