ゆな之譚
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 00:32 UTC 版)
「Ghost of Tsushima」の記事における「ゆな之譚」の解説
いち(英:Ichi) 豊玉地方の大綱で宿屋を切り盛りしている女。第1幕「ゆな之譚」と第4幕「意趣返し」に登場する。 ゆなやたかと同じ時期に蝮の兄弟の下人として扱き使われていた、少し年上の姉的存在であった。ゆなは、いちから生きる術を教わったと言う。 三兄弟の集落を脱出できたのはいちが提案したからであったが、3人で逃げようとしていた時、ゆなは、後ろを走るいちがつまづいて悲鳴を挙げたのに振り返らずに走り去っていた。それ以来、ゆなは、いちを見殺しにしたも同然だと自分を責めており、また、いちのほうもゆなを許してはいなかった。 今は元朝の百戸長アルタンの部隊に大綱一円が占領されてしまっており、民は彼らに逆らえない状況にある。とは言え、人売りどもを退治してアルタンの釣り餌にするという案を出したのは、いちであった。境井仁とゆなが人売りどもとアルタンを討伐した後、一応は労いの言葉を吐くいちであったが、最後まで二人には否定的態度を変えることなく、冥人の戦い方についても、「次に殺されるのは自分の番かも知れないと思っている奴だっている」と辛辣な一言を残して去ってゆく。仁にしてみれば、冥人の戦いの真意をどうしても分かってくれず、いたずらに怖れたり恨みに思ったりする人々が出てきてしまうことは覚悟していても、その現実を真正面から見せられた形になった。また、人売りどもを成敗してアルタンの釣り餌にした一件の後だけに、知らず知らずのうちに外道に堕ちてはいないかと心配になり、改めて己を見詰め直す機会になった。ゆなの励まし方は、「外道に堕ちてても、あんたには正義がある」というものであった。 蝮の兄弟(まむしのきょうだい|英:Mamushi brothers) 人売りの三兄弟。吉蔵(きちぞう|英:Kichizo )、万蔵(まんぞう|英:Manzo )、太蔵(たいぞう|英:Taizo )。第2幕「穏やかな死」で登場。 扱き使っている下人たちに残虐の限りを尽くしている。鑓川の町から逃げてきた直後の幼いころのゆなとたかも、かくまってもらえると信じてやってきた大綱で彼らに騙されて捕らえられており、理不尽な仕打ちによって虫けらのように殺されていった人々を目にし、自分たちも酷く虐げられていた。そのせいでゆな達は三兄弟の根城である集落に近付けないほどの心的外傷(トラウマ)を植え付けられている。ゆなは、吉蔵からは暴力を振るわれ、万蔵と太蔵についてはそれぞれ「臭い息」と「手付き」を悪い思い出として挙げているので、いかがわしいことをされていたと察しが付く。 昔から変わらず、大綱の近くにある集落を根城にしており、境井仁が「まるで砦だ」と言うほど用心深く壁を巡らせて、中で行われていることを覆い隠している。しかも今では元朝の百戸長アルタンの手下になっており、根城には元朝の守衛が常駐していた。逃亡を図った者の死骸を串刺しにして根城の周辺一帯に晒しておくなど、元朝流の残酷な見せしめの方法も彼らは憶えてしまっていた。日ごろ強気なゆなも、記憶の中で地獄そのものであった根城の中にはどうして踏み込めなかった。そこで、さらなる悪事を企てている彼らのことを冥人の手で成敗してくれるよう、ゆなは仁に請い願う。これまで重ねてきた悪行に見合った最期を彼らに迎えさせてやってくれと、絞り出すように震える声で彼女は言った。三兄弟の所業に比べればあまりに慈悲深い突然の死であったが、闇に乗じた冥人の技で三兄弟は次々と屠られてゆく。そしてその後、アルタンを釣り出す餌とすべく3つの生首はまとめて串刺しにされ、元朝の者どもの前に晒された。 黒犬(くろいぬ|英:The Black Wolf 昔から蝮の兄弟と手を組んで人売りをやってきた悪漢。路頭に迷っていた幼い頃のゆなとたかを騙して捕らえ、下人として扱き使う怖ろしい蝮の兄弟に売り付けた者。第3幕「黒犬」で登場。 見るからに良い身なりをした、裏社会の長者というような雰囲気を持つ。 三兄弟と同様、今では元朝の百戸長アルタンの手下になっている。今は大綱より西へ進んだ先にある入り江近くに設けられた元朝の野営地にいる。蝮の兄弟が冥人に始末されたと知った黒犬は、船で逃走を図る。しかし、冥人こと境井仁とゆなに追い付かれ、詰め寄られる。窮した黒犬は、ゆなが心の奥に仕舞い込んでいた弟たかへの負い目を口にすることで、逃れる隙を見付けようとする。ゆなはそれに構わず、報復の刃で黒犬を貫いた。ややあって、ゆなは黒犬が最後に発した言葉の意味を打ち明ける。攫われようとしていた時に、弟が先に眠らされ、自分はまだ起きていて抗うことができたのに、黒犬が怖くて動かれず、ただ見ているしかなかったということであった。仁は、黒犬を成敗したことで、その時のたかのような護られるべき子を救うことができたはずだと、寄り添う言葉を口にし、ゆなを慰めた。
※この「ゆな之譚」の解説は、「Ghost of Tsushima」の解説の一部です。
「ゆな之譚」を含む「Ghost of Tsushima」の記事については、「Ghost of Tsushima」の概要を参照ください。
- ゆな之譚のページへのリンク