『マリー・ド・メディシスの生涯』とは? わかりやすく解説

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『マリー・ド・メディシスの生涯』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 08:04 UTC 版)

マリー・ド・メディシスの生涯」の記事における「『マリー・ド・メディシスの生涯』」の解説

『マリー・ド・メディシスの生涯』は、マリーの公宮だったリュクサンブール宮殿待合室の壁に、マリー生涯時系列順に時計回り飾られていた。現在『マリー・ド・メディシスの生涯』を所蔵しているパリルーヴル美術館でも、同じく時系列順で展示されており、描かれている時期としてはマリー幼年時代フランス王妃時代アンリ4世死別後の摂政時代大別できる。すべての絵画の縦寸は同じだが、横寸は飾られていたリュクサンブール宮殿部屋の形に合わせてさまざまである24点絵画のうち16点が、高さ4メートル、横3メートルの壁に飾られており、3点大きな絵画が高さ4メートル、横7メートルの壁に飾られていた。 『マリー・ド・メディシスの生涯』が飾られていたリュクサンブール宮殿待合室出入り口は、南東角に設けられていた。この出入り口から見ると『サン=ドニの戴冠』と『アンリ4世神格化摂政就任宣言がもっとも目立つ位置掛けられていた。出入り口切られた壁にはマリー幼少時代描いた絵画と、マリーアンリ4世結婚描いた絵画掛けられていた。4点もの絵画2人結婚題材として描かれているが、アンリ4世結婚したときのマリー27歳という「高齢」であり、当時女性初婚年齢としては極めて珍しかったからだともいわれている。24点連作のうち、前半作品は北と西の壁掛けられており、マリー戴冠で終わる。出入り口向かい側の壁には、後半作品となるアンリ4世暗殺政権引継絵画や、未亡人となったマリー摂政宣言絵画掛けられていた。連作後半作品マリーフランス統治権掌握して物議を醸した時期絵画から始まっている。マリーとその息子フランス王位を継いだルイ13世との衝突和解などが、マリーからの要望連作後半主題として描かれのである歴史的観点からすると当時フランス政局下で、このような主題絵画を描くことは大きな混乱巻き起こす可能性があった。ルーベンスにとってもフランス宮廷たちから怒りを買うようなことはまった本意ではなかった。そこでルーベンスは『マリー・ド・メディシスの生涯』の連作後半を、古代神話の世界仮託して描くことにした。神話画に描かれる悪徳美徳意味する寓意象徴、あるいは宗教的な比喩多用することにより、現実世界生じた事件曖昧に表現して隠そうとしたのである。「歴史的真実」に対すこのようなルーベンス姿勢は、恣意的誤っており、不誠実だとられる可能性もある。しかしながら現代的意義からすると歴史家ジャーナリストも『マリー・ド・メディシスの生涯』は歴史的事実描写ではなく歴史的な出来事詩的世界変容した美術作品であると見なしている。 ルーベンスが『マリー・ド・メディシスの生涯』で採用した物語表現手法源流は、古代ローマ・ギリシア時代書かれた、理想的王権優れた政体への「称賛文 (en:Panegyric)」にある。このような称賛文は、世継ぎ王子の誕生などといった政治的に重要な出来事に際して書かれることが多く為政者権威高め、その血統称える目的使用された。称賛文の正式な構成称賛対象である人物の祖先から始まり生誕教育、そして独り立ちしてからの生活と、その生涯時系列順に詳細に解説していく流れになっているルーベンスが『マリー・ド・メディシスの生涯』で採用した構成は、これら古代称賛文を絵画として再現したものなのである。 『マリー・ド・メディシスの生涯』の価格はおよそ24,000ギルダーだった。その総表面積292平方メートルであるため、1平方メートル当たり約82ギルダー(約1,512ドル)になる。

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