『ユーリヒでの勝利』
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「マリー・ド・メディシスの生涯」の記事における「『ユーリヒでの勝利』」の解説
『ユーリヒでの勝利』は、マリーが摂政時代に経験した唯一の軍事行動を描いた作品で、ユーリヒでのフランス軍の勝利を主題としている。フランスにとってユーリヒは極めて重要な軍事的拠点だった。この場所でのフランスの勝利は栄光に満ちたものだとして『マリー・ド・メディシスの生涯』の主題に選ばれ、様々な寓意、象徴でマリーの英雄的資質と勝利を賛美した作品として描かれている。 マリーは指揮杖を持つ右腕を高く掲げ、画面上部には勝利の象徴である月桂樹の冠を、マリーにかぶせようとしている勝利の女神ヴィクトリアが描かれている。ヴィクトリアは画面右の遠景に見える帝国の鷲の象徴でもある。鷲は力の劣る他の鳥たちを大空から一掃する力を持っている。この作品以前の『マリー・ド・メディシスの生涯』では、マリーは女性らしさを意味する象徴物と共に描かれていたが、『ユーリヒでの勝利』には不屈の勇気の象徴であるライオンが描かれている。画面左に描かれている宝物を手にした女性像は、寛大、高潔を擬人化した女性である。この女性が手にしている宝物には、マリーが大切にしていた真珠の飾り紐も描かれている。画面右に描かれているトランペットを吹く人物像は「名声」の擬人化で、激しく吹かれるそのトランペットの先からは煙が出ている。『ユーリヒでの勝利』は極めて華美な作品で、崩壊した都市を背景に勝ち誇るマリーが描かれている。白い軍馬に騎乗したマリーは、生前のアンリ4世のように戦場で相手を打ち負かしたことを誇示しているのである。
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