『公女の教育』
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「マリー・ド・メディシスの生涯」の記事における「『公女の教育』」の解説
『公女の教育』にはマリーが勉強する姿が描かれている。マリーの教育を担当しているのはアポロン、ミネルヴァ、メルクリウスの3柱の神々である。アポロンは芸術、ミネルヴァは知恵をつかさどる神で、メルクリウスは神々の伝令であり、巧みに言葉を操る雄弁さで知られる神である。神々からマリーへの贈り物である杖カドゥケウスを差し出すメルクリウスが極めて印象的に描かれている。メルクリウスはマリーに雄弁と美の女神から託された美しさを授けていると一般に解釈されている。しかしながら、連作『マリー・ド・メディシスの生涯』のうち6点の作品に描かれているカドゥケウスは平和と調和の象徴でもある。マリーが平和裏にフランスを統治したことの予兆としての役割も与えられているのである。 村娘風の純朴な衣服を身に着けたマリーに、3柱の神々が教育を与えるという構成は、マリーが将来フランス王妃として直面するであろう、様々な苦難や試練に対する備えをしている情景を描いている作品だと解釈されている。また、3柱の神々はマリーに「理性に裏打ちされた自由な心」を授け、「良心」とは何かの知識を与え、そして神々と王妃との聖なる関係性を啓示するという、より重要な役割を果たしていると言われている。この作品は聖なる存在と俗界の存在との関係を、華美なバロック様式で演劇風に描いている。神々は静謐な象徴としてではなく、積極的にマリーを教育する者として表現されている。画面右側には裸身の三美神エウプロシュネ、アグライア、タレイアが描かれ、マリーに美しさを与えている。
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