『公爵令嬢メリー』- ピャチゴールスクとカフカース鉱泉
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「現代の英雄」の記事における「『公爵令嬢メリー』- ピャチゴールスクとカフカース鉱泉」の解説
『公爵令嬢メリー』のピャチゴールスクの描写も丁寧である。緑なす山々がすぐ近くに迫った市街地、起伏に富んだ地形、洞窟や石灰岩質の崖、鉱泉井戸、葡萄の木や菩提樹の並木道など、カフカ―ス連峰北側の鉱泉地特有の地相が正確に、かつ初夏の空気が伝わって来るかのように爽やかに書かれ、200年後の今日でもそのままピャチゴールスクの案内に使えそうな筆致である。 物語後半のキスロヴォーツクも、ピャチゴールスクから僅か33kmのカフカース鉱泉の町で、名物「ナルザン水」にも言及されているが、最後の決闘の場面(人の立ち寄らない峡谷の崖の上で行われる)にクライマックスを置くという構造上、町の地理的描写はかなり淡泊である。 物語の冒頭で、ペチョーリンはピャチゴールスクのマシューク山(ロシア語版、英語版)の南麓に部屋を借りているが、実生活のレールモントフも『公爵令嬢メリー』発表の翌年、1841年7月に、マシューク山麓の決闘で落命している。しかも相手が軍友という状況も、『メリー』の設定そのままである。この作品は、ピャチゴールスクの入念な描写と共に、結果として、詩人の最期を予言する作品となった。
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