『マリーとアンリ4世のリヨンでの対面』
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「マリー・ド・メディシスの生涯」の記事における「『マリーとアンリ4世のリヨンでの対面』」の解説
『マリーとアンリ4世のリヨンでの対面』は、代理結婚式後にマリーとアンリ4世が最初に出会ったときの情景を寓意画として描いている。画面上半分にはマリーとアンリ4世がローマ神話のユノとユピテルに仮託して表現されている。マリーはユノ(ギリシア神話のヘラ)を象徴する孔雀とチャリオット、アンリ4世はユピテル(ギリシア神話のゼウス)を象徴する燃えさかる雷と鷲と、それぞれの神の象徴物と共に描かれている。重ねられた両者の右手は結婚の象徴である。互いに描かれている場面に相応しい古代の衣装を身にまとい、その頭上では結婚の神ヒュメナイオスが二人を祝福している。左上には調和と平和の象徴たる虹が掛けられ、画面下部には2頭のライオンが大きく描かれ、その左には丘がある都市が見える。ライオンはチャリオットを牽いており、チャリオットに乗っているのは、銃眼のある胸壁を模った冠が象徴するように、擬人化されたリヨンである(ライオン (Lions) はリヨン (Lyons) のもじり)。ルーベンスはマリーとアンリ4世との出会いを極めて慎重に描く必要があった。当時のアンリ4世には深く寵愛する愛人がいたといわれていたためだった。事実、アンリ4世の愛人関係の影響で、マリーはリヨン到着から一週間近く経つ深夜までアンリ4世と会うことが出来なかった。ルーベンスがアンリ4世を多情な神ユピテルとして描いたのも、このような背景があったためである。ルーベンスはマリーとアンリ4世を画面上部にともに描くことによって、2人の高貴な地位を雄弁に描き出している。
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