数学の年表 数学の年表の概要

数学の年表

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/07 14:44 UTC 版)

年表

先史時代

紀元前10世紀以前

  • 紀元前70,000年頃 — 南アフリカ人が、黄土岩に刻み跡をつけることにより幾何学的パターンで装飾する[1]
  • 紀元前35,000年~紀元前20,000年頃 — アフリカとフランスで、時間を計量するための初期の先史的な試みが行われる[2][3][4]
  • 紀元前20,000年頃 — ナイル川流域のイシャンゴの骨より、素数掛け算を示唆する刻み跡が残される。
  • 紀元前3400年頃 — メソポタミア文明において、シュメール人命数法度量衡を人類で初めて発明する。
  • 紀元前3100年頃 — エジプト文明において、初期の十進法が新たな記号を用いて不確かながら行われるようになる[5]
  • 紀元前2800年頃 — インド亜大陸インダス文明において、インダス文明の度量衡に基づく10進法による比率が用いられたほか、その最小単位を長さ1.704mm、重さ28gとする。
  • 紀元前2700年 — エジプト文明において正確な測量の始まりとなる作業が行われる。
  • 紀元前2400年 — エジプト文明において天文暦が作成された。この暦は数学的な規則性の高さから中世においても使用されていた。
  • 紀元前2000年頃 — メソポタミア文明において、バビロニア人60進法を用いた数記法を使用、円周率Πの値を3.125とし人類初の概算値を求める。
  • 紀元前2000年頃 — スコットランドの石球、多面体の対称性をすべて含んだ様々な対称性を持つ石球が作成される。
  • 紀元前1800年 — モスクワ数学パピルス切頭体の体積を求める問題とその解法が記述される。
  • 紀元前1800年頃 — ベルリンパピルス6619英語版に2次方程式とその解法が記述される[5]
  • 紀元前1650年 — アーメスが紀元前1850年頃から失われた数学文書を筆写してリンド数学パピルスを作り、円周率πの近似値を3.16と定めている。また円積問題にも初めて取り組んでおり、余接を用いている他1次連立方程式を解くための知識も示している。
  • 紀元前1046年~紀元前256年 — 最古の中国の数学書である周髀算経が書かれる。

古代

紀元前10~1世紀

  • 紀元前1000年頃 — 分数古代エジプト人により利用される。しかし、単位分数のみ使用され(分子が1の分数)、補間数表が他の分数の値を近似するために用いられた[6]
  • 紀元前10~5世紀頃 — インドの哲学者ヤージュニャヴァルキヤが自身の著書「Shatapatha Brahmana」の中で太陽と月の運行について記述し、太陽と月の運行が一致する現象が95年周期であると記述する。
  • 紀元前8世紀頃 — ヒンドゥー教の4つのヴェーダの一つであるヤジュル・ヴェーダ無限に関する初期の概念が現れる。この書籍では「もし無限から一部を取り除いたり加えたとしても、変化後もまた無限である」と述べられている。
  • 紀元前800年 — バウダーヤナ英語版がバウダーヤナ・シュルバ・スートラヴェーダ語の幾何学文書)を記す。この書籍には2次方程式が記述されており、2の平方根を計算し、10進数5桁まで正しい値を求めている。
  • 紀元前6世紀前半 — タレスが自身の名のついた様々な定理を発見する。
  • 紀元前600年頃 — ヴェーダシュルバ・スートラサンスクリットにおける祭壇の作り方を述べた書物)でピタゴラスの三角形を使用する。この書籍には複数の幾何学的な証明が含まれている他、円周率Πを3.16と概算している。
  • 紀元前5~1世紀頃 — 通常の3次の魔方陣を扱った河図洛書が中国で作成される。
  • 紀元前530年 — ピタゴラス幾何学の命題と竪琴の琴線の振動を研究する。ピタゴラスとその弟子達は2の平方根から無理数も発見した。
  • 紀元前500年頃 — インドの文法学者パーニニがアシュターディヤーイーを書きあげる。この書籍では演算の計算順序、変換漸化式の使用法が述べられている。この書籍はサンスクリットの文法をシステム化することを目的としていた。
  • 紀元前5世紀 — ヒポクラテスが円積問題に取り組む中で三日月形の図形を利用する。
  • 紀元前5世紀 — ヴェーダ・サンスクリット幾何学の書籍「アーパスタンバ・シュルバ・スートラ」の著者であるアーパスタンバ英語版が円積問題に取り組んで2の平方根を計算、10進数5桁まで正しい値を求める。
  • 紀元前400年頃 — インドのジャイナ教の数学者が「Surya Prajinapti」を著す。この書籍ではあらゆる数を可算、非可算、無限の3つに分類している。また、無限を5つの異なる種類に分類している。1~2方向の無限、面積の無限、あらゆる場所での無限、永久無限である。
  • 紀元前4世紀 — インドの数学書で0の概念を意味するサンスクリット語の単語「Shunya」が使用される。
  • 紀元前370年 — エウドクソス面積を決定する方法として取り尽くし法について述べる。
  • 紀元前350年 — アリストテレスオルガノンにおいて論理的な理由について議論する。
  • 紀元前330年 — 中国幾何学の初期の書籍であるMo Jingが編纂される。
  • 紀元前300年 — インドのジャイナ教数学者が「バーガバティ・スートラ」を著す。この書籍には組合せに関する初期の情報が含まれている。
  • 紀元前300年 — エウクレイデス(ユークリッド)が原論の中で幾何学を公理系として研究、素数が無限に存在することを証明しユークリッドの互除法を発見する。ユークリッドは「反射光」における反射の様子を述べ、算術の基本定理素因数分解の一意性)を証明した。
  • 紀元前300年頃 — ブラーフミー数字(現代一般的に使用されている10進法の基礎となる記数法)がインドで普及する。
  • 紀元前300年 — メソポタミア文明において、バビロニア人が初期の計算機であるアバカス(中東地域のそろばん)を発明する。
  • 紀元前300年頃 — インドの数学者ピンガラが「Chhandah-shastra」を著し、人類で初めて0を数記法に取り入れる(当時は0を点で表していた)。また、二進法の記述を行い、フィボナッチ数パスカルの三角形も人類で初めて使用する。
  • 紀元前202年~紀元前186年 — 中国のの時代に算術書籍である算数書が編纂される。
  • 紀元前260年 — アルキメデス円周率Πの値が3 + 1/7(約3.1429)と3 + 10/71(約3.1408)の間にあることを証明する。円の半径の2乗に円周率Πを乗じた値が円の面積に等しいこと、放物線と直線で囲まれる面積がその交点2点と直線と平行な接線が接触する1点を頂点とする三角形の面積の4/3倍になることを証明した。アルキメデスは3の平方根に対しても非常に正確な値を与えている。
  • 紀元前250年頃 — 後期オルメカ文明が新世界において、プトレマイオスに先立つこと数世紀前に0の概念(shell glyph)の使用を始めていた。0を参照のこと。
  • 紀元前240年 — エラトステネスエラトステネスの篩を発見する。
  • 紀元前225年 — ペルガのアポロニウスが「円錐曲線」を著し、楕円放物線双曲線に名称をつける。
  • 紀元前206年~紀元後8年 — 算木が中国で発明される。
  • 紀元前150年 — インドのジャイナ教の数学者が「シュタナンガ・スートラ」を著す。この書籍では数論の定理、数学の解法、幾何学、分数、一次方程式、二次方程式三次方程式の解法と、置換の組み合わせについて扱っていた。
  • 紀元前150年 — ガウスの消去法が中国の書籍九章算術に世界で初めて現れる。
  • 紀元前150年 — ホーナー法が中国の書籍九章算術に世界で初めて現れる。
  • 紀元前150年 — 負の数が中国の書籍九章算術に世界で初めて現れる。
  • 紀元前140年 — ヒッパルコス三角法の基礎を作る。
  • 紀元前50年 — ブラーフミー数字の後継記数法としてのインド数字10進法で初めて位取り記数法を使用した記数法)がインドで発展を始める。
  • 紀元前1世紀 — インドの天文学者ラガダが「Vedanga Jyotisha」を著す。この書籍は天文学について取り扱っており、太陽と月の運行に関するルールについて記述している他、天文学の記述に際し幾何学と三角法を使用している。

1~10世紀


  1. ^ Art Prehistory, Sean Henahan, January 10, 2002.
  2. ^ How Menstruation Created Mathematics, Tacoma Community College, archive link
  3. ^ OLDEST Mathematical Object is in Swaziland
  4. ^ an old Mathematical Object
  5. ^ a b Egyptian Mathematical Papyri - Mathematicians of the African Diaspora
  6. ^ Carl B. Boyer, A History of Mathematics, 2nd Ed.
  7. ^ Victor J. Katz (1998). History of Mathematics: An Introduction, p. 255–259. Addison-Wesley. ISBN 0-321-01618-1.
  8. ^ F. Woepcke (1853). Extrait du Fakhri, traité d'Algèbre par Abou Bekr Mohammed Ben Alhacan Alkarkhi. Paris.
  9. ^ O'Connor, John J.; Robertson, Edmund F., “Abu l'Hasan Ali ibn Ahmad Al-Nasawi”, MacTutor History of Mathematics archive, University of St Andrews, https://mathshistory.st-andrews.ac.uk/Biographies/Al-Nasawi/ .
  10. ^ a b c Arabic mathematics, MacTutor History of Mathematics archive, University of St Andrews, Scotland
  11. ^ a b Various AP Lists and Statistics
  12. ^ D. J. Korteweg and G. deVries, "On the Change of Form of Long Waves Advancing in a Rectangular Canal, and on a New Type of Long Stationary Waves," Phil. Mag., 39 (1895) 4. doi:10.1080/14786449508620739
  13. ^ Paul Benacerraf and Hilary Putnam, Cambridge U.P., Philosophy of Mathematics: Selected Readings, ISBN 0-521-29648-X
  14. ^ L. E. J. Brouwer, Über Abbildungen von Mannigfaltigkeiten] Math. Ann. 71 (1911), 97. doi:10.1007/BF01456931
  15. ^ Viggo Brun, "La série 1/5+1/7+1/11+1/13+1/17+1/19+1/29+1/31+1/41+1/43+1/59+1/61+..., où les dénominateurs sont nombres premiers jumeaux est convergente ou finie," Bulletin des Sciences Mathématiques 43 (1919) 100, 124.
  16. ^ J. v. Neumann, "Zur Theorie der Gesellschaftsspiele," Math. Ann. 100 (1928) 295. doi:10.1007/BF01448847
  17. ^ K. Gödel, "Über formal unentscheidbare Sätze der Principia Mathematica und verwandter Systeme, I." Monatshefte für Mathematik und Physik 38 (1931) 173.
  18. ^ E. Fermi, J. Pasta and S.Ulam, "Studies of nonlinear problems. I." Los Alamos Report LA-1940 (1955)
  19. ^ Irving S. Reed and Gustave Solomon, "Polynomial Codes over Certain Finite Fields," Journal of the Society for Industrial and Applied Mathematics (SIAM) 8 (1960) 300. doi:10.1137/0108018
  20. ^ N.J. Zabusky and M. D. Kruskal, "Interaction of "Solitons" in a Collisionless Plasma and the Recurrence of Initial States," Phy. Rev. Lett. 15 (1965) 240. doi:10.1103/PhysRevLett.15.240
  21. ^ David Deutsch and Richard Jozsa, "Rapid solutions of problems by quantum computation," Proc. R. Soc. Lond. A 439 (1992) 553. doi:10.1098/rspa.1992.0167
  22. ^ Elizabeth A. Thompson, MIT News Office, Math research team maps E8 Mathematicians Map E8, Harminka, 2007-03-20
  23. ^ Laumon, G.; Ngô, B. C. (2004), Le lemme fondamental pour les groupes unitaires, arXiv:math/0404454 
  24. ^ “素数の新定理発見 極端な偏りなく分布 米英数学者「夢のような成果」”. スポーツニッポン. (2014年2月26日). http://www.sponichi.co.jp/society/news/2014/02/26/kiji/K20140226007668140.html 2014年12月6日閲覧。 
  25. ^ “素数の間隔で新定理発見 極端な偏りなく分布、米英数学者”. 47NEWS. (2014年2月26日) 
  26. ^ “素数の間隔で新定理発見 極端な偏りなく分布、米英数学者”. 琉球新報. (2014年2月26日) 
  27. ^ Helfgott, H.A. (2013). "Major arcs for Goldbach's theorem". arXiv:1305.2897 [math.NT]。
  28. ^ Helfgott, H.A. (2012). "Minor arcs for Goldbach's problem". arXiv:1205.5252 [math.NT]。
  29. ^ 60年解けなかった数学の難題 世界中のPCつなぎ解決”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社 (2019年10月24日). 2020年4月3日閲覧。
  30. ^ 『Almost all orbits of the Collatz map attain almost bounded values』Terence Tao
  31. ^ a b 長年の謎だった9番目の「デデキント数」が32年の探求の末、数学者により発見される”. カラパイア. 株式会社ミンキュア (2023年6月30日). 2023年7月7日閲覧。


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