鬼将会
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氷村(ひむら) 菅田を拉致し独立将棋国家に連れてきたロングヘアーの男。のらりくらりと相手をかわしながら、じわじわと追い詰める将棋を指す。過去に「将棋学園クエスト」のラスボスとして菅田と将棋を指し、敗北した事がある。また、顔は伏せられていたが、羽比田が入手した鬼将会vsプロの対局映像にて三沢九段や地多七段を手玉にとっていたのも彼だと思われる。メイド好きで、メイドと縁遠い女性がメイドの格好をした際のギャップに本人曰く「グッとくる」らしい。 「メイドってところにグッときた」という理由でそよが開催した秋葉原での将棋イベントに現れ、「そよが勝ったら氷村が鬼将会のアジトまで這って案内し、氷村が勝ったらそよが鬼将会専属のメイドになる」という条件でそよと戦う。穴熊囲いで防御を徹底した上でそよのミレニアム囲いを崩しにかかるが、怒りを爆発させて攻めまくるそよに完敗。約束通り鬼将会のアジトまで地面を這って案内する羽目になってしまう。その後はボロボロになりながらそよをアジト入口まで案内した際に、発信器を頼りに丁度アジトに到着していた斬野・澄野と遭遇。門番として立ちはだかり、斬野を倒すも澄野には敗北し、そよと澄野の侵入を認めた。その後も、文字山の原稿の回収係をしていたり、山垣にノックアウトされた文字山の治療を手配したりと、菅田グループに色々な形で関わってきている。 キザキと共に文字山と澄野を騙して将棋ボクシングに誘い、モンジ隊の戦力を削ろうとするも返り討ちにあってしまったため、仕方なく澄野、斬野、チッチが更なる上階に挑戦する事を認めた。トーナメントでは司会進行役を務めた。鬼将会崩壊後も生存して真剣活動を行っている様子(菅田とそよの再会の場に同席)。 キザキ 氷村と共に菅田のアパートに放火し、菅田を拉致した上独立将棋国家に連れてきた色黒の男。角換わり腰掛銀という戦術を好んで用いる。将棋だけでなく、ボクシングでも腕に覚えがある描写がある。 将棋コロシアムではネットスターズというチームを率いてモンジ隊と戦うが、右角と千鳥チコに敗れる。その後は氷村と共にモンジ隊の人数を削ろうと将棋ボクシングでの対戦を持ちかけるが、澄野に返り討ちに遭った。 十傑 独立将棋国家で十指に入る実力者たち。名前の分かっているものは、右角を筆頭に、白木屋、三崎、四川。 いずれも菅田とそよに倒される。 銀島(ぎんじま) 独立将棋国家の真剣師。地下では上位30位に入る手練。矢倉の使い手で、菅田の雁木を「雁木は矢倉のデキの悪い兄キ」「矢倉は長年の間に幾多の定跡をチューンナップされた『高性能マシン』だが、雁木は戦術として時間の止まった『籠』」と馬鹿にするも、二こ神の「進化した雁木」を受け継いだ菅田に敗れる。 地無(ジム) 独立将棋国家の真剣師。地下では上位20位前後の実力者だが、同時に随一の武闘派でもあり、用心棒も請け負っている。他の真剣師からは「ある意味最大メンドくさい敵」と認識されている。 地下に放り込まれ、疲れ果てて眠っていた菅田から2万円を奪い取った。その後菅田と2万4千円を賭けて勝負を行い、対局の合間に菅田の顔面にパンチをかます盤外攻撃を交えて戦うも、結局は菅田に敗れる。その後は、文字山のアシスタントの身柄を賭けた闇対局の用心棒を務めていたが、ここでも澄野によって「暴れ牛」呼ばわりされたあげく一撃で倒された。 山垣 筋骨隆々の逞しい体格をした大男で、氷村曰く「鬼将会が誇るターミネーター」。また、菅田拉致の際に運転手を務めていたのも、服装や容姿を見るに恐らく彼だと思われる。将棋ボクシングを得意とし、将棋で勝つよりもボクシングでKOを狙う戦い方をする。かつて澄野と将棋ボクシングで闘って敗北した事があり、それ以来澄野を唯一のライバルと思っている。 ジョンス・リー 鬼将会に協力する八極拳士。目に映る人間の強さを視覚的に感知できるという特殊能力と、本人曰くプロレスラー10人分という人外のスタミナ、将棋盤に駒をめり込ませられる程の腕力を併せ持つ。ストリートファイト1200戦無敗という歴戦の猛者で、澄野曰く「日本で一番喧嘩の強い男」。代打ちが主な仕事だが、普段は暗殺部門の師範を務めている。鬼将会内でも独自の立ち位置を築いている。 油田を勝利報酬にアラブの富豪らしき男の代打ちをしていた所、鬼将会ビル上層部に潜入した菅田と百時間切れ負けルール(持ち時間はお互い50時間、対局中は睡眠・水以外の飲食物の摂取も不可)で戦う事になる。その圧倒的なスタミナに物を言わせて対局を優位に進めるが、そよを救いたいという一心で戦う菅田に気圧されて逆転を許し、最終局面では「駒を将棋盤にめり込ませ、物理的に取れなくして時間切れに持ち込む」「打ち駒の勢いで将棋盤を破壊し無効試合を狙う」という反則じみた技で抵抗するが、それでも攻めを止めない菅田の執念の前に負けを認めた。彼と菅田の対局を谷生が目撃したために、鬼将会を巡る戦いは新たな局面を迎える事となった。その後の全てを開放したそよに十五漢渺茫を重ね合わせていた。 作者の前作『エアマスター』にも同名・同容姿の八極拳士が登場している。 シャンチーJr 鬼将会お抱えの医師。なまず髭を生やした怪しい雰囲気の小男。無免許医。対局に負けた斬野やマムシの腕を切断したり、内臓の一部を切除する事で残り寿命をかなり正確に操作する(澄野は残り寿命が5年になるように、小腸など消化器系の一部や片方の肺を切除された)など、高度な医療技術を持っている。鬼将会の最古参メンバーではあるが、トリップ時には谷生の命を狙う旨の発言もしており、その忠誠心は低い。 施術する相手に対して何らかの悲劇的なシチュエーションを求める性格の持ち主で、初対面である斬野の心臓を抜き取る事を「(斬野に)思い入れがないから面白くない」と渋ったり、澄野が斬野の代わりを申し出た際の「暇つぶし」という理由を嫌がり、2人を勝手にボーイズラブ関係という設定(斬野が本物のボーイズラブである事は想定外だったようである)にしたりしていた。 将棋スタイルは、様々な薬物によるドーピングで読みの力を極限に高めるという闇医者らしいもの。更に、そこに疑似自殺を併せる事で精神世界にトリップし、「神に最善手を授かる」という特異極まりない戦術も用いる。 鬼将会主催のトーナメントでは、1回戦第6試合でかなしいいろやねんと対局。前述の力でかなしいいろやねん(のバックにいるプロ棋士3人組)を追い詰めるが、結局はプロ棋士3人組のそれぞれの強みを最大限に活かしたコンビネーションに敗れた。最後は薬の副作用により意識を失った(この時トリップ世界では、神に悪態をついたために天罰を受けているような描写が見られた)。 橋架男(はしかけお) 「谷生さんと共に鬼将会を作りあげた男」と呼ばれる、鬼将会最古参メンバーの1人。オールバックに眼鏡をかけた壮年の男性。谷生の初代用心棒(元・柔術のブラジルチャンピオンの実力者)であり、鬼将会ビルを設計・建築した建築家でもある。現在は名前の通り橋の設計・建築をしており、「頼まれれば世界中どんな場所でも完ペキな橋を架ける」と発言している。 将棋においても同じ信念を持っており、自陣最前列に金・銀・桂馬などを全て並べる「金銀橋(リッチブリッジ)」というオリジナル戦法を好んで用いる。 鬼将会主催のトーナメントでは、1回戦で右角と対局して敗れる。その後ビル爆破勢に捕らえられて、自白剤など過剰使用されることで、味方となって活躍するものの、最後には爆発に巻き込まれ死亡してしまう。 三匹の鬼 鬼将会の伝説になっている、谷生直属の部下。全員が常人の倍はある巨漢。被っているヘルメットからそれぞれ1 - 3本の角が生えており、「1角鬼」「2角鬼」などと呼ばれている。谷生本人からその技術を伝授された「谷生のコピー」であり、非常に高い棋力を持つ。「“将棋”と“暴力”の使い」を自称しており、相手が対局を断ると暴力で殺すことも辞さない。谷生の指令に従って菅田グループの壊滅に乗り出し、各メンバーに「負けたら『連れていく』=殺す」という条件の対局を無理やり挑んで一人ずつ消していくという手段を採る。 最初に動いたのは3本角の鬼で、グループ最弱の羽比田を狙い、それに割って入った海豚七段と対局。彼に勝利し、拉致・殺害した。さらに次のターゲットをマムシに定めるが、二こ神が割って入ったため彼と対局する。二こ神の打ち筋をことごとく読み尽して圧倒するが、考えることを止めてこれまでの将棋人生に全てを委ねて指した二こ神に逆転敗北を喫する。決着後は、自分達の掟に従って服毒自決した。 1本角の鬼は3本角の鬼の死後、彼の後を継いで菅田グループ壊滅に乗り出す。文字山をターゲットに定めて殺害を図るが、それを尾行していた右角と鈴木八段に妨害され、鈴木八段と指すことになる。鬼の体格に合わせて作られた巨大な将棋盤と駒を用いて自分のペースを作り(曰く「なじんだ道具で指せば調子も出る」)、「石田流崩し」を仕掛けるが、「将棋に勝たねばならない」プロの意地を見せつけられる形で敗北。3本角の鬼と同様に服毒自殺した。 2本角の鬼は1本角の鬼と並行して菅田を直接狙うが、そこに居合わせていた澄野と斬野に阻まれ、直接的な肉弾戦で戦う。前歯を全て折られながらも二人を暴力で圧倒し、斬野の義手を破壊した上に澄野を戦闘不能状態に追い込んだ。だが、斬野に止めを刺す直前、チッチが将棋での闘いを提案したために暴力を一時収めざるを得なくなり、その間に回復した澄野に痛烈な反撃を喰らう。最後は2人の低空ドロップキックで両足を破壊され体勢を崩したところに、澄野の渾身の一撃で頭部を砕かれ死亡した。 谷生(たにお) 鬼将会の創設者で、元奨励会三段。そよや菅田、澄野が手も足も出ず、タイトルを保有するプロ棋士をもあっさりと倒す程の凄まじい実力者で、将棋に負けたそよの父と兄を死に追いやった張本人でもある。将棋の研究にも余念はなく、「新鬼殺し」などの強力な戦術を開発している。そよの母親・つやとの間に一子を儲ける。登場シーンでは殆ど無表情に近く異様な存在感を示しているが、巻末の書き下ろし漫画でパンケーキを丸ごとバケツ一杯のメイプルシロップに漬けて食べ、その味に感激するなどギャグタッチな描写も見られる。一見若そうな風貌だが、(数十年前の)幼き千鳥チコに初めて話しかけたコマでは彼女と同年かそれより上と見受けられる容姿であり、年齢は全くの不詳である。また、澄野の顔面フックや腹部へのパンチラッシュにそよ渾身の側頭蹴り、果ては銃撃を受けて瀕死状態になった際にすら痛がるなどのリアクションを一切見せない(ラッシュに対しては快感とまで言い切った)。 5歳の頃には既に「なぜ自分は全知全能の存在ではないのか」という子供らしくない疑問を抱き、歴史を学んでは「生まれる時代を間違えた」と人生を諦観する程異常な子供だった。だが、ある日授業の一環で将棋を習い、駒を動かす度に泥濘にはまっていくような感覚を覚えて以降、将棋に没頭するようになる。そしてある時、たまたまテレビで内戦のニュースを見ながら将棋を指した際、一瞬「世界と繋がったような感覚」を覚え、将棋を世界に匹敵する巨大な存在だと捉えるようになった。その最終目的は将棋を世界的に普及させ、人類を精神的に進化させることである(本人曰く「世界を81マスに沈めてやる」)。 名前だけは早くから判明していたが、その姿が明らかになったのは12巻のそよの食事シーンに登場したのが初。その時は対局せずに立ち去ったが、後に再びそよの許を訪れ、「そよが勝ったら谷生は死に、谷生が勝ったらそよが谷生のメイドになる」という条件で対局。圧倒的実力差で勝利を収め、そよを連れて行こうとしたところに現れた菅田をも目隠し将棋で一蹴する。その後はそよの為に用意したという部屋に彼女を軟禁し、「着せ替えメイド」と称して幾度となく将棋で打ちのめしながら気まぐれにメイド衣装を着替えさせた。最初の頃は菅田を雑魚と断じ何の興味も持っていなかったが、菅田とジョンス・リーの百時間将棋での激戦を目撃して以降は三匹の鬼を使って本気で菅田グループの壊滅を図り始める。三匹の鬼が壊滅させられた後、そよに自分の棋譜全てを渡した。 前述の通り、研究によりあらゆる戦術に精通しており、序盤のミスを誘い最終的にはハメ手に持ち込むパターンを好む。研究範囲が異常に広く、あらかじめ決められた予定通りに相手を誘導して不可避の罠に陥れる手管は、目の前に現われた盤面に対しその都度深い読みを試みる菅田とは対照的に描かれている。 そよを鍛え上げて鬼同士でアダムとイブのような境地に至ることも目的となり、彼女を愛するようにもなっていたが、電波ジャックして世界中継したトーナメントで菅田が優勝することでその目論見は外れて激怒。日本に核を落とすことを賭けた対局を設定する。しかし菅田との対局中には実力を認めて、世界中が注目するに値する将棋が指せることに喜びを感じつつ、利敵行為になっても菅田の緩手を咎めるような表情を見せるなどもした。対局で力を使いきりながら敗北し、ビル崩壊に巻き込まれて死亡。菅田には「将棋を手に入れた世界を見てこい」、そよには「愛している」と遺言した。死亡後は菅田への遺言通りに世界に将棋が劇的に普及。そよを手に入れる以外は谷生の目的はほぼ叶ったとも言える。 谷生卑弥呼(たにお ひみこ) 谷生の実の娘。谷生の「実験」によって谷生と中静つやの間に生まれた子であるため、そよにとっては異父姉妹に当たる。見た目は幼い頃のそよに瓜二つであり、そよと同じくメイド服を着用している。谷生にもない天性のバランス感覚を持っており、幼いながらも本気のそよを下す程の実力を誇る。棋風はそよと同じ「受け将棋」だが、王を動かさずひたすらに守りを強固にしていくそよのそれとは対照的に、王自身が積極的に動いて攻撃をかわし続けるというスタイルを用いる。 鬼将会主催のトーナメントでは、1回戦でチッチと戦い勝利。その後そよと再戦するが今度は敗れて号泣する。六年後はクルと親友になりプロ棋士にもなって、名人となったそよと戦うことを目指していたが彼女の引退にショックを受けていた。
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鬼将会(きしょうかい)
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「ハチワンダイバー」の記事における「鬼将会(きしょうかい)」の解説
谷生(たにお)により創設された、謎に包まれた真剣師集団。奨励会三段まで上り詰めながらもプロになれなかった、いわゆる「元奨」と呼ばれた者達を谷生が集めたのが始まりとされる。そよや斬野、澄野の最終目的はこの組織を潰す事である。住所は東京都東京区東京9ノ9ノ81。
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