震度7 震度7相当の地震

震度7

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/14 10:12 UTC 版)

震度7相当の地震

本節では震度7相当の揺れであったと指摘される地震を記述する。

「潰家」の状態。安政の大地震絵図。

歴史地震については、宇佐美 (1994) は江戸時代に適用することを想定して震度判定表の試案を作成している[47]。家屋は通常のものとし、大名、大店などはほぼ一階級強いものと考える。また1980年に東京都が作成した「地震の震度階解説表」[48]にある老朽家屋を江戸時代の庶民の家と考えた[47][49][50]。古記録から倒壊家屋数が記録から明らかな場合は被害率(全潰家屋数 + 0.5 × 半潰家屋数)/ 総数が70 %以上を震度VIIとし、被害率が不明でも記録に特定の村が「皆潰れ」「不残潰」「惣潰」と記述されているならば震度VIIと解釈し、「過半数皆潰」ならば震度VI - VIIとした[47][49][50]

内閣府が定める「災害の被害認定基準」では、柱が数度 (1/20) 以上傾斜して、屋根が一見無事に見えても再使用不能で壊して建直さなければいけない状態ならば「全壊」であるが、江戸時代の記録にある「潰家」は屋根が落ちて地面に着いた「伏家」の状態であり、現代の「全壊」より被害の程度が大きく震度を過小評価する要因である[51]。伝統的な日本の在来工法で建てられた木造家屋が30 %以上全壊すれば震度7とされるが、都司 (2012) は、江戸時代の家屋は地震耐久性が弱いであろうから震度を過大評価する要因となり、もう少し控えめに倒壊率20 - 80 %未満を震度6強、倒壊率80 %以上を震度7と判定している[52]。都司 (2011) は、倒壊率20 - 70 %未満を震度6強、倒壊率70 %以上を震度7と判定している[53]

村松 (2001) は、家屋全壊率30% 以上となる震度7の等震度線で囲まれる領域の面積とマグニチュードとの間の関係として logS7=1.25Mj-6.88±0.24の実験式を得ており、歴史地震の大雑把なMjの推定に適するとしている[54]。また、震度7の領域は震源となった断層の近傍にあり、その分布は歴史地震の震源となった活断層の確認にも役立つと思われるとしている[54]

近代地震について、当時「震度7」の階級が導入されていなかった時代の中央気象台(気象庁)が最大震度VI(6)以下としている地震の中で、被害状況から震度VII(7)相当の揺れが推定される地震、あるいは導入後でも気象庁発表対象の震度観測点において最大震度が6強以下であるが、気象庁発表対象以外の計測震度計で震度7相当を観測した場合、また場所によっては震度7相当の揺れであったと指摘される地震について記述する。なお、1872年までの日にちも新暦グレゴリオ暦)で表記している。

地震観測網整備前・震度階級導入前(歴史地震
安政東海地震の震度分布[50]。家屋が丸崩となり震度7(赤紫)と推定される地域は浜名湖東部から駿河湾沿岸、甲府盆地に及ぶ。
震度階級導入後(震度7導入前)
濃尾地震の震度分布[94]。中央気象台原簿の地震報告による。
鳥取地震の被害
  • 濃尾地震(1891年10月28日) - 直下型地震としては観測史上最大規模のマグニチュード 8.0 を記録し、この地震により中部地方の広い範囲に被害をもたらした辛卯震災を引き起こした。当時の震度階は「微・弱・強・烈」の四段階であったが、鯖江大田島勝川では「激烈」と報告された[94]。震度 7 と推定される地域が美濃から尾張にかけて分布し[95]根尾谷断層沿いの本巣郡木曽三川合流地域の 36 町村では全壊率 100%となった[96]。住家被害率 60% 以上(全壊率 30% 以上に相当)の地域は、根尾谷断層沿いでは地震断層に沿って狭い範囲で分布し、濃尾平野では広く分布するため伏在断層が動いたと推定される[5]
  • 庄内地震(1894年10月22日) - 平田村を中心とする庄内平野に震度7と推定される地域がある[97][98][99]
  • 陸羽地震(1896年8月31日) - 一部では震度7相当の揺れがあったとされる[100]
  • 秋田仙北地震(1914年3月15日) - 強首村で震度7と推定されている[101]
  • 関東地震(1923年9月1日) - この地震により関東大震災が引き起こされた。神奈川県や千葉県房総半島南部の沖積低地を中心に震度7相当と推定[102]、神奈川県西部、及び房総半島南部の一部には全壊率70% を超える領域もある[103]
  • 北但馬地震(1925年5月23日) - 家屋全壊率30% 以上となる震度7の等震度線で囲まれる領域がある[54]
  • 北丹後地震(1927年3月7日) - 峰山町野田川町では全壊率90% を越え[104]、震源断層に近い地域では震度7と推定される[96]。全壊率30% 以上の地域は郷村断層と直交する山田断層に沿って、最大幅約10 kmの範囲でT字型に分布している[5]
  • 北伊豆地震(1930年11月26日) - 全壊率30 %以上の地域は震源断層を挟む10 km以内に分布し、韮山方面に広がっている[5]
  • 男鹿地震(1939年5月1日) - 男鹿半島中央部に震度7と推定される激震地域がある[105]
  • 長野地震(1941年7月15日) - 家屋全壊率30% 以上となる震度7の等震度線で囲まれる領域がある[54]
  • 鳥取地震(1943年9月10日) - 全壊率30 %以上の地域は鳥取平野を中心として広がっている[5]
  • 昭和東南海地震(1944年12月7日) - 福地村袋井町などで震度7相当と推定[106]
  • 三河地震(1945年1月13日) - 幡豆郡の町村(現西尾市)などで震度7相当と推定[107]
  • 福井地震(1948年6月28日) - 福井の震害が著しく、この地震による被害状況は震度7が導入される契機となった[108]。全壊率30 %以上の地域は福井平野のほぼ全域に広がり、80 %以上の地域は震源断層付近に分布している[5]。福井平野北部の町村では多くの地区で倒壊率が98 - 100 %に達した[6]
震度7(激震)導入後
  • 今市地震(1949年12月26日) - 家屋全壊率30 %以上となる震度7の等震度線で囲まれる領域がある[54]
  • 十勝沖地震(1952年3月4日) - 中央気象台の『地震調査』の原簿によれば、委託観測所である大津では「家屋の倒れるもの多し」と、震度VII(7)が報告され、幸震村はVIIからVに訂正されている[109]
  • えびの地震(1968年2月21日) - 家屋全壊率30 %以上となる震度7の等震度線で囲まれる領域がある[54]
  • 大分県中部地震(1975年4月21日) - 家屋全壊率30 %以上となる震度7の等震度線で囲まれる領域がある[54]
計測震度7導入後
  • 鳥取県西部地震(2000年10月6日) - 防災科学技術研究所KiK-netで、日野において震度7相当の計測震度6.6を観測[110]
  • 三陸南地震 (2003年5月26日) - 防災科学技術研究所の発表した推計震度分布によると石巻市の一部で震度7相当の揺れがあったと推定される領域がある。
  • 新潟県中越地震の余震 (2004年10月23日) - 防災科学技術研究所の発表した面的推定震度分布によると十日町市と小千谷市の一部で震度7相当の揺れがあったと推定される領域がある。
  • 福岡県西方沖地震(2005年3月20日) - 東京大学地震研究所の三宅弘恵らの研究チームは余震の観測記録を基に本震の地震動をシミュレーションし、推定で震度7(計測震度6.5)に達した可能性があるという試算結果を発表[111][112]筑波大学の境有紀の話によれば住宅被害の多くが地盤崩壊や崖崩れを伴い建物自体が地震動で大きく破壊されたとは考えづらいものの、屋根瓦の被害率が高い状況などから震度6強相当ではないかと自身のホームページ上で発表している[113][114]。気象庁は玄界島の被害程度の調査を行っており、山本雅博地震津波監視課長(当時)は記者会見で「調査結果を総合的に見ると震度6弱程度ではないか」とコメントしている[115]
  • 能登半島地震(2007年3月25日) - 家屋全壊が多かった輪島市門前町の黒島地区、道下地区、走出地区の一部に震度7相当の地震動が推定される[116]
  • 新潟県中越沖地震(2007年7月16日) - 柏崎刈羽原子力発電所敷地内にある地震計1基における観測データから、震度7相当(計測震度6.5)を算出[117]
  • 岩手・宮城内陸地震(2008年6月14日) - 奥州市胆沢区の石淵ダム直下の地盤に設置した地震計で最大加速度2097galを観測し、ダム管理事務所は震度7相当の揺れとする記者発表をしている。ただし、計測震度算出に必要な処理を行った値ではなく、急崖の上という地形の影響を強く受けて地震動が増幅したと分析されている[118][119][120]
  • 長野県北部地震(2011年3月12日) - 気象庁の推計震度分布によると、長野県・新潟県県境付近に位置する栄村津南町十日町市で震度7と推定される領域がある[121]。この地震は東北地方太平洋沖地震の誘発地震とされる。
  • 宮城県沖地震(2011年4月7日) - 栗原市の一部で震度7と推定される領域がある。この地震は東北地方太平洋沖地震の余震の一つである。
  • 福島県浜通り地震(2011年4月11日) - 気象庁の推計震度分布によると、福島県いわき市の一部で震度7と推定される領域がある[122]。この地震は東北地方太平洋沖地震の余震の一つである。
  • 福島県中通り地震(2011年4月12日)- 気象庁の推計震度分布図によると、福島県いわき市の一部の地域には、震度7と推定される領域がある[123]。この地震は東北地方太平洋沖地震の余震の一つである。
  • 長野県神城断層地震(2014年11月22日) - 長野県白馬村の堀之内地区で震度7相当の揺れがあったと推定されている[124]
  • 山形県沖地震(2019年6月18日) - 山形県鶴岡市小岩川地区の墓地の一角で震度7相当の揺れがあったと見られている[125]
  • 福島県沖地震(2021年2月13日) - 防災科学技術研究所の面的推定震度分布によれば宮城県山元町で震度7と推定される領域がある[126]。この地震は東北地方太平洋沖地震の余震の一つである。
  • 福島県沖地震(2022年3月16日) - 防災科学技術研究所の面的推定震度分布によれば福島県国見町桑折町で震度7と推定される領域がある[127]
  • 奥能登地震(2023年5月5日) - 防災科学技術研究所の面的推定震度分布によれば石川県珠洲市で震度7と推定される領域がある[128]

注釈

  1. ^ 神戸海洋気象台(観測点名:神戸中央区中山手)の震度計(計測震度6.4)による。洲本測候所(洲本市小路谷)の震度計は地震によって壊れてしまったが気象庁職員が状況から判断して震度6とした。
  2. ^ 4月14日の地震は震度7が速報されたが、4月16日の地震は当初データが気象庁に送信されておらず、後日に気象庁職員が益城町と西原村に設置されていた震度計のデータを解析した結果、震度7を計測していたことが判明した。
  3. ^ かつての測候所は現在はそのほとんどが特別地域気象観測所に移行し気象官署でなくなったが、ここでは気象官署に含めている。
  4. ^ 兵庫県神戸市、芦屋市、西宮市、宝塚市、北淡町(現淡路市)、一宮町(同)、津名町(同)
  5. ^ JR鷹取の地震計では震度6相当。1995年当時は現地調査により震度7が適用された。
  6. ^ 同じ場所で震度7が複数回観測された史上初の事例となった[39]
  7. ^ 防災科学技術研究所の面的推定震度分布によれば、震度計で震度7が観測された石川県志賀町輪島市に加えて、珠洲市能登町穴水町七尾市でも震度7と推定される領域がある[46]。また、気象庁の推計震度分布でも、七尾市能登島で震度7と推定される領域がある。

出典

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