宿題 宿題の概要

宿題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/20 07:49 UTC 版)

日本の学校教育

形式

広く一般に、学校等で教師が児童・生徒・学生に課す自己学習の課題全般を宿題と呼ぶ。宿題は日ごろの授業中に課されることもあれば、定期考査の前後や、あるいは長期休業(夏休み冬休みなど)中の課題として課されることもある。初等教育における宿題の種類としては以下のようなものがある。

  • 自主学習などの自由課題
  • プリント教材教科書などの練習問題
  • 問題集などによる問題演習
  • 作文レポート・作品などを教師に提出する。教師は提出された宿題の内容を点検する。宿題の内容により、検印を押したり、添削を行った上で児童らへ返却することもある。

宿題を出す意図は学校や教師によって様々である。多くは授業の理解度の確認目的であり、また児童・生徒・学生の意識調査目的である。プリントや教材による問題演習は前者にあたり、作文や感想文は後者にあたる。

日本の初等から中等教育では、与えられた学習課題に取り組み解答する宿題(ワークシートや問題集など)、また自己の意見・考えをまとめるもの(作文や新聞作りなど)が多い。中等~高等教育では、自らが学習・研究した内容などをまとめ、小論文の形式にするレポート形式の宿題が多くなる。

宿題の多くは提出期限があり、その期限内に指定された内容を学習して提出することが求められる。また、内容が不十分であれば再提出を求められることや、期限内に提出できなければ成績から減点されることがある。

こうした「提出期限を遵守する」また「守ることができなければペナルティが課される」という宿題のルールは、会社等の一部の業務における「与えられた仕事を期限までに完成する」ルールと非常に親和性がある。そのため宿題を学校教育における社会訓練の一環として重要視する人も多く、宿題を期日までに提出できなかった生徒には教師が個別で指導をする場合がある[1][2]

問題点

文部科学省が定めた学習指導要領に宿題なる項目は含まれておらず「家庭学習を視野に入れた指導」・「総合的な学習の時間」の一環として扱われており、指導内容や実態は各校各教諭の裁量に任せた複雑多岐に渡るものとなっている。

学力は各々の生徒によって異なっており、高学力を有する生徒には既に授業で習得した内容の反復であり新規性に乏しい上[3]に学習効果が薄く、低学力の生徒にとっては煩雑で難解な問題の正答が難しく宿題をする意欲が湧かず答えを丸写しして提出するなど宿題としての意味を成さないなどの問題がある。

歴史

宿題という言葉の初出は1801年享和元年)大田南畝による山内尚助宛大田南畝書簡(4月19日付け)である。

「御詩会いかが。宿題御定め候はば一月一次づつにて豚児へ御談じ御極め可被成候」

イギリスの学校教育

定義

政府の「宿題:初等・中等学校に対するガイドライン」により、「宿題とは、独力にせよ親や保護者と一緒にするにせよ、授業以外でするように課せられた、あらゆる学習や活動のことを指す。」と定義されている[4]

歴史

トニー・ブレア政権は基礎学力向上を目指す教育改革の重要な施策の一つとして、1998年に「宿題ガイドライン」を出し、ほとんどすべての学校で宿題への組織的な取り組みが実施されるようになった[4]

保守党政権時代に制定された1988年の教育改革法以降、1990年代中頃から学力向上との関連で宿題の意義が注目されるようになった[4]。1995年には教育水準庁が「初等・中等学校における宿題」という報告書を出している[4]。また1995年の全国教育研究所(NFER)の調査結果で初等学校6年生のほぼ半数の児童が定期的な宿題を課せられていなかったことがわかった[4]

トニー・ブレア政権成立後、1997年7月に教育白書「より優れた学校を求めて」が発表され、年齢毎にどのぐらいの宿題を出すべきか、宿題の時間はどの程度にするかなどを検討することになった[4]。そして教育水準庁による調査結果などを踏まえ、「はしがき」「序論」「初等学校」「中等学校」「付属文書『宿題:実践から学ぶ』(教育水準庁の調査結果の概要)」から構成される正式な政府の公式ガイドラインである「宿題:初等・中等学校に対するガイドライン」が発表された[4]

内容

政府の「宿題:初等・中等学校に対するガイドライン」により、宿題方針は学校全体の学習・評価戦略の一部として学校の校長などの管理職チームが主導して策定することになっている[4]

学校全体での宿題への取り組みは、1990年代中頃には大多数の中等学校で行われていたが、初等学校ではあまり進んでいなかった[4]。1995年の調査では宿題方針を策定している初等学校は25%だったが、政府の宿題ガイドラインが正式発表された後、1999年の調査ではほぼ100%の初等学校が宿題方針を策定していることがわかった[4]


  1. ^ 中3男子が始業式後に自殺…進路に不安? 鹿児島 産経WEST 2018年9月5日
  2. ^ 担任の指導直後、中3男子が自殺 夏休みの宿題提出促す 朝日新聞 2018年9月5日
  3. ^ 新人王!藤井聡太の「元担任」が今明かす素顔 天才棋士は先生に「宿題をやる意味」を問うた 東洋経済オンライン 2018年10月17日
  4. ^ a b c d e f g h i j 藤井泰「イギリス公教育における学力向上策 : 宿題政策とその実施」『松山大学論集』第18巻第5号、2006年12月、 139-159頁、 ISSN 0916-3298NAID 110006558265
  5. ^ a b 川口昌人「フランスを二分する宿題廃止論争」 プレジデントFamily 2013年2月号、2022年4月20日閲覧。
  6. ^ レファレンス事例詳細「フランスで宿題を禁止している法律は何か」 国立国会図書館レファレンス協同データベース、2022年4月20日閲覧。
  7. ^ a b c 宿題と塾から解放された中国の子どもたち 問われる親の教育 AFPBB News、2022年4月20日閲覧。
  8. ^ a b c d 中国が「ゆとり教育」に突き進むワケ、塾禁止・宿題軽減に不安も続出 ダイヤモンド・オンライン、2022年4月20日閲覧。
  9. ^ a b c 木村治生「世界の小学生の学習状況 各都市の特徴について」 ベネッセ教育総合研究所、2022年4月20日閲覧。
  10. ^ a b 変わらぬ中国の子どもの「宿題漬け」 ゆとり教育が反面教師? AFPBB News、2022年4月20日閲覧。
  11. ^ Synthesis of research on homework grade level has a dramatic influence on homework's effectiveness Harris Cooper 1989
  12. ^ Hints to Help Reduce Homework Stress from the National PTA
  13. ^ a b c 『親も子供も宿題丸投げ いま代行業者繁盛』2007年9月1日付配信 産経新聞
  14. ^ 宿題代行業者 子供の文章っぽく見せるために工夫する」『アメーバニュース』サイバーエージェント、2014年8月27日。2014年8月28日閲覧。
  15. ^ 尾木ママ 「宿題代行業」は詐欺罪だ」『デイリースポーツ』デイリースポーツ、2014年8月27日。2014年8月28日閲覧。
  16. ^ 尾木直樹 (2014年8月27日). “学生の皆さん!宿題代行という名の「教育詐欺」犯罪は即刻おやめ下さい!”. サイバーエージェント. 2014年8月28日閲覧。


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