かげろふの日記とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > かげろふの日記の意味・解説 

かげろふの日記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/11 02:16 UTC 版)

かげろふの日記』(かげろうのにっき)は、堀辰雄中編小説。全8章から成る。平安時代女流日記蜻蛉日記』を原典にした作品である[1][注釈 1]。愛されることはできても、愛することを知らない男に執拗にを求めつづけ、その不可能を知るに及び、せめてその苦しみを男に解らせようとするが、遂にはそれにも絶望し、自らの苦しみの中に一種の慰藉を求めるにいたる不幸な女の物語[2]。堀が日本古来の王朝女流文学に深い傾倒を示した作品群の一作目にあたり、リルケ体験を通して日本の古典文学を現代に蘇らせて、「する女の永遠の姿」を描いている[3][4][5]。また、『聖家族』などに見られる「苦しめ合う愛」のモチーフも見受けられる作品でもある[6]


注釈

  1. ^ 蜻蛉日記』の上・中巻を原典としている。
  2. ^ 以降、『ほととぎす』、『姨捨』、『曠野』などの王朝ものが書かれた。
  3. ^ 「死のかげの谷」は12月20日すぎに脱稿されている。
  4. ^ 『ほととぎす』は、『蜻蛉日記』の下巻を原典としている。
  5. ^ 堀辰雄は、『モオリス・ド・ゲランと姉ユウジェニイ』などの随筆を書いている。
  6. ^ 『物語の女』はのちに、『菜穂子』の「楡の家」第一部となる。

出典

  1. ^ a b c d e f g h 「解題」(全集2 1996
  2. ^ a b c d e f g h i j 堀辰雄「山村雑記」(のち「七つの手紙」)(新潮 1938年8月号)。全集3 1996, pp. 59–76
  3. ^ 丸岡明「解説」(かげろふ 1955
  4. ^ a b c d 縄田一男「作品解題」(縄田 1992, p. 396)
  5. ^ a b c d e 「鎮魂の祈り」(アルバム 1984, pp. 65–77)
  6. ^ a b c d e 山本 2004
  7. ^ a b c 谷田昌平編「年譜」(別巻2 1997, pp. 407–422)
  8. ^ a b c d e 神品芳夫「堀辰雄とリルケ」(國文學 1977年7月号)。別巻2 1997
  9. ^ a b 三島由紀夫「現代小説は古典たり得るか 「菜穂子」修正意見」(新潮 1957年6月号)。三島29巻 2003, pp. 541–551
  10. ^ a b c 縄田一男「藤原道綱の母」(縄田 1992, p. 206)
  11. ^ 塚本康彦「平安朝文学――堀辰雄の日本的なもの」(解釈と鑑賞 1961年3月号)。山本 2004
  12. ^ 大森郁之助「『かげろふの日記』の強さと弱さ」(『論考 堀辰雄』有朋堂、1976年)。山本 2004
  13. ^ 福永武彦「堀辰雄の作品」(『堀辰雄全集』月報、新潮社、1958年)山本 2004
  14. ^ 竹内清巳『堀辰雄と昭和文学』(六弥書店、1929年)。山本 2004
  15. ^ 三島由紀夫「あとがき」(『三島由紀夫作品集4』新潮社、1953年)。三島28巻 2003, pp. 108–115
  16. ^ 三島由紀夫「自己改造の試み――重い文体と鴎外への傾倒」(文學界 1956年8月号)。三島29巻 2003, pp. 241–247
  17. ^ a b 柳川 2002


「かげろふの日記」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「かげろふの日記」の関連用語

かげろふの日記のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



かげろふの日記のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのかげろふの日記 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS