腎盂炎
腎盂炎とは
腎盂炎とは、腎盂と呼ばれる器官に何らかの細菌が侵入し炎症を起こす腎臓の病気。腎盂は、腎臓と尿管の中間にある器官で袋状になっている。腎臓から尿を腎盂に集め、膀胱へその集めた尿を送るという役割をもつ。腎盂炎の症状
腎盂炎の症状は突然引き起こされるケースが多く、39度以上の発熱や悪寒などが見られる。また、腎盂炎では腎臓が腫れるため、わき腹から背中にかけて痛みが走ることがある。仰向けに寝ることが困難になることもある。腎盂炎では、尿に白血球が混じって排出される。そのため、尿を見ると白く濁っているのを確認できる。個人差はあるが、排尿時に痛みが走ったり、残尿感があったりすることもある。
腎盂炎の原因
腎盂炎の原因は、細菌の上行性感染によるものである。腎盂炎を引き起こす細菌は、主に大腸菌や緑膿菌などグラム陰性桿菌と腸球菌である。特に腎盂炎の約9割を占めるとされているのが大腸菌による感染である。大腸菌は肛門やその周囲に付着していることが多く、それらが尿道から侵入し上行性感染を引き起こすと考えられている。腎盂炎は男性よりも女性に多い病気で、20代から40代までの若年層においては男女比は1対30と大きくかけ離れている。腎盂炎が女性に多い理由として考えられているのは、陰茎のある男性と違って尿道口と肛門の距離が短いことにある。肛門周辺に付着している大腸菌が尿道口に入りやすく、上行性感染しやすい。同様に、女性は陰茎がない分、男性よりも尿道が短いため、細菌感染しやすいことも理由として挙げられる。しかし、50歳以降になると男女比が拮抗する。これは、前立腺肥大が原因とされている。
前立腺肥大では尿道が圧迫されてしまい、尿の流れが悪くなる。尿の流れが良ければ細菌を押し流すことができるが、尿の流れが悪くなることで細菌が上まで上りやすくなり感染してしまうリスクが高まる。前立腺肥大以外にも腎盂炎のリスクを高めてしまうものとして、尿道炎や尿路結石、膀胱尿管逆流現象などが挙げられる。女性の場合は妊娠も尿の流れを悪くしてしまうため、妊娠をきっかけに腎盂炎を発症してしまうケースも少なくない。また、細菌感染は免疫力の低下も発症のリスクを高める要因なので、糖尿病などの基礎疾患や、ステロイド剤の長期服用、抗がん剤など免疫力が低下している人も腎盂炎のリスクが高いと言える。
腎盂炎の治療
腎盂炎の診断では、尿検査や血液検査、レントゲン撮影などが行われる。腎盂炎と診断された場合の治療は、一般的には原因となっている細菌を判別して抗生物質(抗菌剤)を投与する方法である。腎盂炎には急性と慢性の2種類があるが、どちらも抗生物質の投与による治療が行われる。治療期間は症状の度合いによって異なるが、軽症の場合は1~2週間程度で改善することもある。じんう‐えん【腎×盂炎】
腎盂腎炎
(腎盂炎 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/16 00:34 UTC 版)
腎盂腎炎(じんうじんえん、羅: pyelonephritis)は、細菌感染を原因とする腎盤(腎盂)ならびに腎実質の炎症。臨床症状として血尿、混濁尿、膿尿、細菌尿、発熱を特徴とする。病理学的には腎杯の炎症、壊死、変性が認められる。ウシではCorynebacterium属菌(特にCorynebacterium renale)による感染が重要である。
恐ろしさ
発熱、腰背部痛、悪心、CVA叩打痛、白血球尿、細菌尿などを特徴とするが、この疾患の非常に恐ろしいところは容易に敗血症や播種性血管内凝固症候群 (DIC)、急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) を起こすことである。よく知られた経験則に「発熱が認められれば、腎盂腎炎のような上部尿路疾患であり、認められなければ、膀胱炎のような下部尿路疾患である」というものがある。発熱が認められない場合、基本的には下部尿路疾患を疑うが、感染が上行してきて腎盂腎炎になる場合もあるので、注意して経過観察をする必要がある。
- 腎盂腎炎の半数は腰痛、腹痛を伴わない[1]。
治療
多くの場合、先天性尿路異常、慢性尿路感染、結石・腫瘍等による尿路狭窄・閉塞など、基礎となる尿路系疾患を有しているため、原疾患の検索・治療がまず必要である。
悪寒・戦慄を伴う場合は敗血症に陥っている可能性が高く、緊急で血液培養、尿培養を採取し、経験に基づいた抗生剤投与を行う。一般に起炎菌として大腸菌が多いとされるが、近年耐性菌が増加していることから、確実性を求めて広域抗生剤(カルバペネム系やニューキノロン系)の投与を行う傾向にある。また、既に抗生剤治療を受けていた人が発症した場合にはバンコマイシンの投与も考慮される。腎臓は血液が豊富であるため菌血症、敗血症をきたしやすい。敗血症のマーカーとしてプロカルシトニンを測定する場合がある。
CTなどの画像診断によって水腎症が著明である場合は、緊急処置として腎瘻造設(経皮的に腎盂を穿刺して排膿)を行う事がある。
慢性腎盂腎炎に対してはST合剤などの内服療法がおこなわれるが、再燃・再発を来しやすく、長期的な経過で間質性腎炎から腎不全に至ることがある。
消化器症状が強い場合は内服不可能であるため入院が必要となる。腎盂腎炎は顕微鏡学的には小膿瘍の集合体とされており3日程解熱しないことが多い。培養を繰り返し行い、抗菌薬の使用が適正であるかを確認する。また腎実質膿瘍や腎周囲膿瘍の検索のためCTや超音波検査を行う。点滴ではセフトリアキソン1-2gの使用が多い。治療期間は基本的には2週間であり経口摂取が可能になったら内服薬に切り替える。再発例では4-6週間かかることもある。
関連項目
脚注
- ^ Wington RS, et al. Arch Intern Med. 1985;145(12):2222-7.
参考文献
- 獣医学大辞典編集委員会編集 『明解獣医学辞典』 チクサン出版 1991年 ISBN 4885006104
- 日本獣医病理学会編集 『動物病理学各論』 文永堂出版 2001年 ISBN 483003162X
外部リンク
- 健康の森 知って得する病気の知識 日本医師会
- 腎盂腎炎 メルクマニュアル医学百科家庭版
「腎盂炎」の例文・使い方・用例・文例
- 腎盂炎
- 腎盂炎という病気
腎盂炎と同じ種類の言葉
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