尿潜血(尿赤血球)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 04:50 UTC 版)
「尿中一般物質定性半定量検査」の記事における「尿潜血(尿赤血球)」の解説
尿中のヘモグロビン(またはミオグロビン)のペルオキシダーゼ作用を利用して検出する検査である。赤血球がなくともヘモグロビンまたはミオグロビンが尿中に存在すれば陽性になる。 尿潜血試験紙の感度は、ヘモグロビンとして 0.015-0.03mg/dL、赤血球として5-15個/μL程度である。ミオグロビンに対しても、ほぼ同等の感度である。尿試験紙の潜血半定量値(1+)に相当するのはヘモグロビン濃度0.06 mg/dL、赤血球にして約20個 /μLに標準化されている。 尿蛋白と尿潜血の両者が陽性の場合は糸球体疾患の可能性が高く、精査を要するが、3-6 mL以上の出血の場合、血液に含まれる蛋白のために尿蛋白も陽性になるので注意を要する。 尿赤血球が陽性となる場合尿赤血球が偽陽性となる場合尿赤血球が偽陰性となる場合尿路疾患による血尿 尿路の炎症(腎炎、腎盂炎、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、など) 尿路の結石(尿路結石での潜血陽性率は7割程度であり、潜血陰性でも否定はできない) 尿路の腫瘍(腎癌、膀胱癌、腎盂尿管癌) 尿路の外傷 特発性腎出血(多くは尿路の血管病変といわれる) 腎・糸球体疾患による血尿 糸球体疾患糸球体腎炎、IgA腎症、Alport症候群 多発性嚢胞腎 腎梗塞 腎動静脈奇形 ナットクラッカー現象 その他の血尿 出血性素因、抗凝固剤 激しい運動(マラソンなど) 原因不明 無症候性の顕微鏡的血尿のうち、腎尿路疾患は2.3%(悪性腫瘍は0.5%程度)であり、ほとんどが原因不明である。 性器出血の混入 ヘモグロビン尿(赤色〜赤褐色、沈渣に赤血球を認めない)中毒(サルファ剤、キニーネ、ヒ素、シュウ酸、蛇毒、など) マラリア 不適合輸血 重症熱傷 溶血性貧血 溶血性尿毒症症候群 発作性寒冷血色素尿症 赤血球G-6-PD欠乏症 激しい運動 ミオグロビン尿(褐色調、沈渣に赤血球を認めない)骨格筋・心筋の障害(挫滅、手術、虚血、熱傷) 横紋筋融解症 けいれん発作 多発性筋炎 激しい運動 アルコール性筋障害 一酸化炭素中毒 ヘロイン中毒 高度の細菌尿(細菌のペルオキシダーゼによる) 高度の白血球尿(顆粒球のペルオキシダーゼによる) 大量の精液混入(精液中に含まれるジアミンオキシダーゼによる) 酸化剤の混入(次亜塩素酸、過酸化水素、など) 偽陰性(尿潜血陰性(-)で沈渣赤血球陽性(+)の場合) 還元性物質の混入ビタミンC(アスコルビン酸)含有尿 高比重尿(反応性低下) 高タンパク(反応性低下) 多量の粘液成分の混入 亜硝酸塩の存在(尿路感染) ホルムアルデヒド混入 ホモゲンチジン酸(アルカプトン尿症) 尿の撹拌不足 その他、薬剤の影響(カプトプリル、還元型グルタチオン、)
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