吐血、メレナ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/28 02:05 UTC 版)
吐血と区別が必要な症候に喀血がある。喀血が気道出血であるのに対して、吐血は消化管出血である。吐血の場合、胃潰瘍などによる胃あるいは十二指腸からの出血で、血液が胃液による酸化を受けて黒色となる。コーヒーの滓に似ており「コーヒー残渣様」と表現される。コーヒー残渣様吐物(coffee-ground emesis)は吐血で特徴のある所見である。ただし吐血でも肝硬変などに伴う食道静脈瘤からの出血は胃液と接触しないため赤い。吐物に対して尿潜血検査がなされることがあるが、テステープ検査では胃酸に触れただけで潜血陽性となるため出血の有無はこの検査からは分からない。喀血を飲み込み、それを後に吐血することもあるため、両者の区別は時に難しいこともある。喀血と吐血の区別がつかない場合は呼吸器と消化器の両方の精査が必要である。 喀血吐血出血状態 咳に伴う 嘔吐に伴う 性状 泡沫を伴う 食物残渣混入 pH(テステープ) 中性 酸性 随伴症状 胸痛、呼吸困難など 腹痛、嘔吐、嘔気、下血など 吐血、メレナが認められた場合は、まずは窒息の可能性がないかを評価する。吐物による閉塞が酷い場合は気管内挿管を考慮する。その後血圧にて循環動態の評価をする。静脈路確保や輸液を行う。そしてNGチューブによる胃洗浄、食道静脈破裂を疑う場合はSB]チューブの挿入を行う(2010年現在は行わないことが多い)。そして上部消化管内視鏡による診断と止血を行うのが大まかな流れとなる。吐物が赤か黒か、イカ墨や赤ワインといった黒色便の原因となる食事の摂取の有無、腹痛、背部痛といった症候の有無を確認する。既往歴としては消化性潰瘍歴、ピロリ菌除菌歴、肝疾患について調査し、アルコールの飲酒歴、アスピリン、NSAIDs、抗凝固薬、SSRI、スピロノラクトン、鉄剤の使用歴を調査する。慢性肝疾患の合併の確認のためにくも状血管腫、手掌紅斑等も確認する。肝炎ウイルス検査陽性であり凝固異常が認められ食道静脈瘤破裂が疑われれば鼡径静脈で中心静脈確保を行い、感染予防、NGチューブの挿入を行う。
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吐血、メレナ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 14:48 UTC 版)
吐血と区別が必要な症候に喀血がある。喀血が気道出血であるのに対して、吐血は消化管出血である。吐血の場合、胃潰瘍などによる胃あるいは十二指腸からの出血で、血液が胃液による酸化を受けて黒色となる。コーヒーの滓に似ており「コーヒー残渣様」と表現される。コーヒー残渣様吐物(coffee-ground emesis)は吐血で特徴のある所見である。ただし吐血でも肝硬変などに伴う食道静脈瘤からの出血は胃液と接触しないため赤い。吐物に対して尿潜血検査がなされることがあるが、テステープ検査では胃酸に触れただけで潜血陽性となるため出血の有無はこの検査からは分からない。喀血を飲み込み、それを後に吐血することもあるため、両者の区別は時に難しいこともある。喀血と吐血の区別がつかない場合は呼吸器と消化器の両方の精査が必要である。 喀血吐血出血状態 咳に伴う 嘔吐に伴う 性状 泡沫を伴う 食物残渣混入 pH(テステープ) 中性 酸性 随伴症状 胸痛、呼吸困難など 腹痛、嘔吐、嘔気、下血など 吐血、メレナが認められた場合は、まずは窒息の可能性がないかを評価する。吐物による閉塞が酷い場合は気管内挿管を考慮する。その後血圧にて循環動態の評価をする。静脈路確保や輸液を行う。そしてNGチューブによる胃洗浄、食道静脈破裂を疑う場合はSB]チューブの挿入を行う(2010年現在は行わないことが多い)。そして上部消化管内視鏡による診断と止血を行うのが大まかな流れとなる。吐物が赤か黒か、イカ墨や赤ワインといった黒色便の原因となる食事の摂取の有無、腹痛、背部痛といった症候の有無を確認する。既往歴としては消化性潰瘍歴、ピロリ菌除菌歴、肝疾患について調査し、アルコールの飲酒歴、アスピリン、NSAIDs、抗凝固薬、SSRI、スピロノラクトン、鉄剤の使用歴を調査する。慢性肝疾患の合併の確認のためにくも状血管腫、手掌紅斑等も確認する。肝炎ウイルス検査陽性であり凝固異常が認められ食道静脈瘤破裂が疑われれば鼡径静脈で中心静脈確保を行い、感染予防、NGチューブの挿入を行う。
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