鉄剤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 04:07 UTC 版)
鉄剤は可能な限り経口投与とする。鉄剤にはクエン酸第一鉄ナトリウム(商品名フェロミア、1錠50mgで1日に100mgから200mgを分2で投与)と硫酸鉄(商品名フェロ・グラデュメット、1錠105mgで1日105mgまたは210mgを分1または分2で投与)と溶性ピロリン酸第二鉄(商品名インクレミン、1日10mlから15mlを分2で投与する)がある。クエン酸第一鉄ナトリウムは硫酸鉄よりも緑茶に含まれるタンニンとの相互作用が少なく使いやすいことからクエン酸第一鉄ナトリウムが処方されることが多い。緑茶と鉄剤を同時に服用するとタンニンとの相互作用の結果、鉄の吸収が三分の二に低下すると言われている が、吸収の低下が臨床的な治療効果には影響を与えない。また緑茶服用後60分後には鉄の吸収は抑制されなくなっている。なおビタミンCを同時投与すると鉄の吸収は増加する。硫酸鉄の方が錠剤が小さいため飲みやすい。 クエン酸第一鉄ナトリウムも硫酸鉄も消化器症状の副作用が有名であり、消化器症状が危惧される場合はテプレノン(商品名セルベックス)などの胃薬を併用する。溶性ピロリン酸第二鉄が経口の鉄剤では最も消化器症状が少ないため、消化器症状の副作用が出た場合は溶性ピロリン酸第二鉄を用いることもある。またクエン酸第一鉄ナトリウムを半分量で投与すると投与可能なこともある。この場合はフェロミア顆粒で1日25mgから50mg投与する。内服困難な場合は点滴で鉄剤の投与をする。含糖酸化鉄(商品名フェジン)40mgを10%ブドウ糖液20mlで希釈して2分以上で静注する。副作用のアナフィラキシーショックや鉄過剰症に注意が必要である。貧血症状が改善してヘモグロビンが正常化しても鉄剤は中止しない。フェリチンが25ng/mlと正常化するまで投与する。鉄欠乏性貧血の再発の危険性からフェリチンが45ng/mlとなるまで投与するべきという意見もある。投与総量の計算には中尾の式を用いることが多い 必要鉄量[mg]=(2.7×(16-Hb)+17)×BW
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