肉眼的血尿
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/29 15:05 UTC 版)
尿が赤いことを肉眼的血尿という。これは患者の主訴、あるいは尿の色調変化のことであり必ずしも血尿ではない場合がある。色調変化があり顕微鏡的尿沈渣で赤血球が含まれれば肉眼的に確認できる血尿ということになる。この場合は1lの尿中に1ml以上の血液が入っていると見られる。特に症状がないのに血尿だけを認める場合、尿路の癌(腎癌、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌など)の可能性があるが、若年者ではその可能性は低い。 尿の色調変化があるが尿沈渣検査で赤血球が認められない場合は色素尿といわれる。ポルフィリン症、ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿、ビリルビン尿などが知られている。尿潜血反応陽性ならばミオグロビン尿やヘモグロビン尿、尿潜血反応が陰性ならばリファンピシンやプロポフォールなどの薬剤性血尿やビート尿などが疑われる。ミオグロビン陽は横紋筋融解症で認められるもので、激しい運動の後や臥床や圧迫による筋壊死による血清CKの上昇が認められる。持続すると急性腎不全となるため大量輸液などが必要となる場合がある。またヘモグロビン尿は溶血性疾患でおこることが多く、血清の間接ビリルビンやLDHが上昇する、また重症熱傷で起こることもある。ヘモグロビン尿も持続すると腎不全を起こすことがある。重症熱傷の場合はハプトグロビンの補充療法を行い、ヘモグロビンと結合させることによって腎不全を防ぐという治療も存在する。 尿沈渣検査で赤血球が認められる肉眼的血尿の場合、糸球体からの出血か非糸球体からの出血か予測する方法がある。糸球体からの出血の場合は糸球体を通過する際に赤血球が破損するため不均一赤血球や赤血球円柱が認められることが知られている。また糸球体血尿の場合は凝固しないことがしられている。この場合はほとんどは腎臓内科の疾患となる。非糸球体血尿の場合は均一赤血球であり凝固しやすいことが知られている。この場合は泌尿器の疾患である場合が多い。非糸球体出血で代表的な緊急症に膀胱タンポナーデというものがある。膀胱タンポナーデでは非糸球体血尿が凝固することで膀胱出口を塞ぎ尿閉に陥ることである。膀胱タンポナーデは精巣捻転、フルニエ症候群とならんで泌尿器科的緊急疾患とされている。
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