肉眼的・組織的特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 14:59 UTC 版)
一般に、隕石の表面は大気圏に突入した際の高温で生じた黒色の熔融殻に覆われるが、つくば隕石では破断面を持った(割れた)状態で回収された個体が多く、1地点から見つかった複数の破片を組み合わせても完全な1個体に復元できないことが普通である。破断面の焼け方は様々で、破断面上での熔融殻の厚さは必ずしも均一でなく、薄く焼けただけの個体もある。一方、完全に熔融殻に覆われた 1 cm 程度の小さな個体もある。この特徴は、隕石が飛行中に少しずつ分裂して、周囲から部分的に溶けていったこと、割れた後もしばらく大気圏内を飛行したことを示唆している。 隕石としては最も一般的な普通コンドライトで、鉄に富むHグループに属する。地球上の岩石と異なる特徴として、破断面に金属鉄(Fe-Ni合金)の粒子が数多く散在しており、落下直後の新鮮な石の断面は小さな粒がキラキラと輝いていたという。軽い個体では文房具のマグネットにくっつくものもある。 岩石学的には角礫岩に分類されるが、個体ごとにかなり様子が異なる。角礫岩の組織を明瞭に示す個体は、結晶質で角ばった外形のブロック(クラスト)と、その間を埋める暗灰色かつ細粒の基質(マトリックス)からなる。角礫岩の構造を持たない個体は、角礫岩中のクラストによく似た、白っぽい均質な完晶質組織を示す(回収された隕石は、角礫岩の構造を持たない個体の方が多かった)。角礫岩様個体の観察から、つくば隕石は起源の異なる2種類以上の物質の機械的混合でできた、多源的角礫岩であることが分かる。天体同士の激しい衝突に起因する shock veins が見られる個体もある。角礫岩の基質は非常に脆く、このため隕石が落下中にバラバラに分裂して、隕石雨となって降下したと考えられる。
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