特徴的な療法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 15:28 UTC 版)
「化学療法 (悪性腫瘍)」の記事における「特徴的な療法」の解説
HD-MTX療法 大量メソトレキセート療法は支持療法の進歩によって可能となった治療である。BBBの存在によってリツキサンといった分子標的薬が届かない中枢性悪性リンパ腫の治療などで用いられる。酸性尿下ではメソトレキセートの溶解性が低下し、尿細管内にMTXの結晶が沈着し排出障害を招き、時に腎障害が発生する。排泄機序は低濃度では糸球体過が中心であるが高濃度の場合には尿細管分泌が行われ、急速に濃度は低下する。稀に尿細管分泌に障害がある場合に排泄遅延が発生し、重篤な副作用が発症する。糸球体ろ過の検査にはβ2ミクログロブリンやNAG等が用いられる。尿pHが7よりも小さい時は輸液500mlあたりメイロンを1A追加投与を行い尿のアルカリ化を図ると共に利尿作用と尿のアルカリ化作用のあるアセタゾラミド250mgを投与する。また活性型葉酸誘導体であるロイコボリン(フォリン酸)を同時投与することで正常細胞の破壊を防ぐことができ、フォリン酸レスキュー療法と言われている。葉酸代謝拮抗薬が含まれるST合剤はメソトレキセートの酵素法による血中濃度測定の結果を誤らせる。血中濃度測定により中等度以上の副作用の発生予測やロイコボリンの投与の中止の目安が得られる。48時間後のMTX血中濃度1μmol未満、72時間MTX血中濃度が0.1μmol未満でなければロイコボリンを追加、投与延長を行う。 HD-AraC療法 シタラビンの大量療法も特徴的な支持療法が必要である。投与後4~6時間後に発熱、全身倦怠感、骨痛、筋肉痛、皮疹、結膜炎が出現することがある(シタラビン症候群とも呼ばれる)。ステロイド点眼薬を予防的に用いることが多い。出現時は全身ステロイドが有効とされている。 シクロホスファミドとイホスファミド 副作用として出血性膀胱炎が発言する場合がある。これらの抗がん剤の使用に際しては、大量輸液を行い、さらに投与直前、4時間後、8時間後にウロテキサミン(メスナ)を投与する。抗がん剤投与中は尿潜血をチェックし尿潜血が+2以上であれば輸液量を増やしたりする。
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