特徴的な細胞小器官
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 15:32 UTC 版)
以下は、血小板に特有の細胞小器官である。 活性化していない血小板の表面は円盤状であるが、必ずしも平滑ではなく、表面に開放小管系(OCS)と呼ばれる穴が開いている。細胞膜の一部が陥入し、顆粒を放出するときの通路として機能する小管である。血小板表面に複数存在し、細胞質中に複雑に入り組んでいる。血小板の細胞膜は通常の細胞と同じく脂質二重層構造であり、そこには糖タンパク質(GP)が埋没あるいは貫通している。GPIIb/IIIa複合体(αIIbβ3インテグリン)やGPIb/V/IX複合体などと呼ばれる糖タンパク質は、血小板の粘着・凝集に関与する受容体としてはたらく。 α顆粒は、直径0.3~0.5µmで、球状あるいは楕円状の顆粒である。血小板中で最も多い顆粒であり、数十個存在する。顆粒内には、PF4や血小板由来成長因子(PDGF)と呼ばれる血小板固有のタンパク質のほか、フィブリノーゲン、ヴォン・ヴィレブランド因子などの凝固因子など20種類以上のタンパク質と10種類以上の糖タンパク質が存在する。 濃染顆粒はδ顆粒とも呼ばれる0.2~0.3µmの球状体で、α顆粒よりやや小さく、血小板あたり数個しか存在しない。内部にはタンパク質は存在せず、カルシウムイオン、ADP(アデノシン二リン酸)、ATP(アデノシン三リン酸)、セロトニン、アドレナリン、ノルアドレナリンなどが存在する。これら顆粒内の物質は、他の細胞に由来するもので、血漿中から取り込んでいる。 暗調小管系(DTS)は、境界膜を有する直径0.2~0.3µmの管状の小器官で、一般的な細胞での小胞体に相当する。内部にはカルシウムイオンが存在する。血小板が活性化した際には、イノシトール代謝経路の亢進によって産生されたイノシトールトリスリン酸(IP3)が暗調小管系に存在するIP3受容体を介して貯蔵するカルシウムイオンを放出し、血小板内のカルシウムイオン濃度を上昇させる。
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