イノシトールトリスリン酸とは? わかりやすく解説

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イノシトールトリスリン酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/04 02:06 UTC 版)

イノシトールトリスリン酸
識別情報
略称 InsP3, IP3
CAS登録番号 85166-31-0
PubChem 55310
特性
化学式 C6H15O15P3
モル質量 420.1 g mol−1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

イノシトールトリスリン酸: Inositol trisphosphate, IP3)は、イノシトールに3つのリン酸がエステル結合した化学物質[1]ジアシルグリセロールと共に、細胞シグナル伝達においてセカンドメッセンジャーの1つとして生体に利用されている。また、脂質メディエーターとしても使われる。

細胞膜に存在するリン脂質であるホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸ホスホリパーゼCによって加水分解されると、 IP3とジアシルグリセロールが生成する。このうち、比較的脂溶性の高いジアシルグリセロールは細胞膜の中に存在するのに対し、IP3は水溶性であるため細胞質に拡散する。

作用

IP3小胞体、または筋小胞体の膜にあるIP3受容体に結合、活性化し、カルシウムチャネルを開く。するとCa2+細胞質、または筋形質に放出される[2]

機能

ヒト

主な機能は貯蔵細胞小器官からのCa2+の動員と、細胞増殖およびその他の細胞反応の調節である。

平滑筋細胞では、細胞質のCa2+濃度を上昇させることで筋細胞(筋繊維)が収縮する[3]

ショウジョウバエ

キイロショウジョウバエでは、IP3は眼細胞での光認識の細胞内伝達に利用されている。

ウニ卵

ウニの遅い多精防止反応はホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸 (PIP2)のセカンドメッセンジャーによって仲介されている。結合受容体の活性化によりホスホリパーゼCを活性化し、卵細胞膜のPIP2を加水分解して、卵細胞の細胞質にIP3を放出する。IP3は小胞体に拡散し、カルシウムチャネルを開く。

脚注

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  1. ^ 名称に含まれるトリス(tris)はリン酸基が3つあることを意味する接頭辞。
  2. ^ Ferris CD, Snyder SH. IP3 receptors. Ligand-activated calcium channels in multiple forms. Adv Second Messenger Phosphoprotein Res. 1992;26:95-107. PMID 1329896
  3. ^ Somlyo AP, Somlyo AV. Signal transduction and regulation in smooth muscle. Nature. 1994 Nov 17;372(6503):231-6. PMID 7969467

関連項目

外部リンク


イノシトールトリスリン酸

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イノシトールリン酸」の記事における「イノシトールトリスリン酸」の解説

詳細は「イノシトールトリスリン酸」を参照 イノシトールトリスリン酸は、イノシトールトリスリン酸受容体作用し細胞質カルシウム放出する

※この「イノシトールトリスリン酸」の解説は、「イノシトールリン酸」の解説の一部です。
「イノシトールトリスリン酸」を含む「イノシトールリン酸」の記事については、「イノシトールリン酸」の概要を参照ください。

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