ラヴィーナ:創作主題による変奏曲
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ラヴィーナ:創作主題による変奏曲 | Thème original varié Op.23 | 作曲年: 1849年 初版出版地/出版社: Hofmeister |
作品解説
世紀前半の創作を締めくくる大作。オペラ序曲を思わせる長大な序奏に続き、素朴でユーモラスな舞曲風の主題が登場する。そのおどけた調子は序奏の真面目な雰囲気とは不釣り合いと思えるほどである。このテーマは、まず後半部分が変ロ長調で二度変奏される。一度目は分散和音の中に主題旋律を埋め込む書法、二度目は両手を交互に素早く動かす書法によっているが、これらはいずれも当時のヴィルトゥオーゾたちが好んで用いたテクニックである。第2変奏「アンダンテ・レリジオーゾ」は壮大なコラールである。後半はオルガン風の分厚い和音が「宗教的」雰囲気を助長する。次に短い間奏部を挟んで三部分から成るフィナーレに入る。ここでは6/8拍子で自由に変奏された主題と、序奏のモチーフが現れる。曲を締めくくるコーダで再び主題が取り上げられるが、演奏者にとってはおそらくここが最大の難所である。跳躍を伴うオクターヴが連続する部分で指定されたテンポは♩=160、さらに分散和音が連続する最後の頁では♩=176という猛スピードが要求される。優美なサロン作曲家が秘める血気を露わにした傑作である。スペイン王女、イザベル二世に献呈。
ブラームス:創作主題による変奏曲
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ブラームス:創作主題による変奏曲 | Variationen über ein eigenes Thema Op.21-1 | 作曲年: 1857年 出版年: 1862年 初版出版地/出版社: Simrock |
作品解説
この変奏曲は1857年に作曲されたのだが、その前年の6月に、ブラームスは友人のヨアヒム宛の書簡の中で変奏曲についての見解を述べている。「主題との関係は厳密で純粋であるべき」だが、自分も含めてベートーヴェンより後の作曲家は「旋律にしがみついて」いるのだという。彼は、むしろ主題のバスや和声構造に基づき、それによって新しい旋律へと変化させることに関心をもった。そして生み出されたこの変奏曲はしたがって、主題旋律の重視された前作の《シューマンの主題による16の変奏曲》作品9とは異なった手法が用いられている。
ブラームス自身による主題は、ポコ・ラルゲットの速さで、彼らしい子守唄のような優しい雰囲気をもつ。続く11の変奏は、しばしば速度を変えるものの、主題の9×2+9×2の小節構造をほぼ維持し、調や拍子も頻繁に変化することはない。各変奏は独立したキャラクターをもっているが、和声あるいはバスが主題との関連をもたらし、それによって全体の統一が図られているのである。また、緩急の変化やクライマックスの用い方など、音楽的な配慮も十分みられる。
後の《ヘンデル》変奏曲や《パガニーニ》変奏曲に比べると知名度は落ちるが、24歳の作曲家による若さ溢れるこの変奏曲は、彼の変奏技法の転換点という意味で重要な作品であろう。
創作主題による変奏曲
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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グリンカ:創作主題による変奏曲 ヘ長調 | G. vi, 1 | 作曲年: 1824頃年 出版年: 1878年 |
ラフ:創作主題による変奏曲 | Variationen über ein Originalthema Op.179 | 作曲年: 1873年 出版年: 1873年 初版出版地/出版社: Berlin |
カリヴォダ:創作主題による変奏曲 ヘ長調 | Variationen ûber ein eigenes Thema Op.53 | 出版年: 1834年 |
チェルニー(ツェルニー):創作主題による変奏曲 | Variation über ein Original Thema Op.308 | |
マルモンテル:創作主題による変奏曲 | Thème original varié Op.49 | |
ドライショック(ドライショク):創作主題による変奏曲 | Variations sur un Thème original Op.11 | |
ヴォルフ, エドゥアール:創作主題による変奏曲 | Thème originale varié Op.307 |
ルビンシテイン, アントン:創作主題による変奏曲 ト長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ルビンシテイン, アントン:創作主題による変奏曲 ト長調 | Variations sur un thème original, G-dur Op.88 | 作曲年: 1871年 初版出版地/出版社: Bessel, Senff, Ricordi |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 主題 レント-アレグロ・モデラート Thema, Lent-Allegro moderato | No Data | No Image |
2 | 第1変奏 アレグロ Var.I, Allegro | No Data | No Image |
3 | 第2変奏 アンダンテ・コン・モト Var.II, Andante con moto | No Data | No Image |
4 | 第3変奏 テンポ・ディ・マルチャ Var.III, Tempo de marcia | No Data | No Image |
5 | 第4変奏 アンダンテ・コン・モト Var.IV, Andante con moto | No Data | No Image |
6 | 第5変奏 モデラート・アッサイ Var.V, Moderato assai | No Data | No Image |
7 | 第6変奏 ヴィヴァーチェ Var.VI, Vivace | No Data | No Image |
8 | 第7変奏 モデラート・アッサイ Var.VII, Moderato assai | No Data | No Image |
9 | 第8変奏 モデラート・コン・モト Var.VIII, Moderato con moto | No Data | No Image |
10 | 第9変奏 モデラート Var.IX, Moderato | No Data | No Image |
11 | 第10変奏 コン・モト Var.X, Con moto | No Data | No Image |
12 | 第11変奏 アレグロ Var.XI, Allegro | No Data | No Image |
13 | 第12変奏 アレグロ・モデラート Var.XII, Allegro moderato | No Data | No Image |
創作主題による変奏曲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/17 08:11 UTC 版)
創作主題による変奏曲(そうさくしゅだいによるへんそうきょく)は、作曲者が新たに創作した主題を用いた変奏曲。独創主題による変奏曲と訳される場合もある。
- 創作主題による32の変奏曲 - ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのピアノ独奏曲。
- 創作主題による15の変奏曲とフーガ - ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのピアノ独奏曲『エロイカ変奏曲』の別名。
- エドワード・エルガーの管弦楽曲『エニグマ変奏曲』の正式な題名。
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