VAIO (企業)とは? わかりやすく解説

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VAIO (企業)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/30 16:04 UTC 版)

ノジマ > VAIO (企業)
VAIO株式会社
VAIO Corporation
本社
種類 株式会社
本社所在地 日本
399-8282
長野県安曇野市豊科5432
設立 2014年平成26年)7月1日
業種 電気機器
法人番号 4010001208356
事業内容 PC及びPC関連製品の企画、設計、開発、製造及び販売
代表者 山野正樹(代表取締役執行役員社長)
資本金 15億5200万円
売上高
  • 495億8,000万円
(2025年3月期)[1]
営業利益
  • 20億2,100万円
(2025年3月期)[1]
経常利益
  • 18億8,300万円
(2025年3月期)[1]
純利益
  • 14億9,100万円
(2025年3月期)[1]
総資産
  • 391億600万円
(2025年3月期)[1]
従業員数 約370名(2025年4月1日現在)[2]
主要株主
主要子会社 VFR株式会社[3]
関係する人物
  • 関取高行(初代社長)
  • 大田義実(2代社長、黒字化を達成)
  • 吉田秀俊(3代社長)
  • 山本知弘(4代社長)
  • 山野正樹(5代社長)
  • 平井一夫(元ソニーCEO)
外部リンク vaio.com
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VAIO株式会社(バイオ、: VAIO Corporation)は、長野県安曇野市に本社を置き、主にパソコンの製造、販売を手がける電機メーカー[4][5]ノジマ子会社である。

概要

2014年平成26年)7月1日に、ソニーが「VAIO」ブランドで展開していたパソコン事業を日本産業パートナーズ (JIP) に譲渡したことに伴い発足[6][7]。本社はVAIOの生産拠点である旧・ソニーイーエムシーエス長野テクノロジーサイトに置かれた[6][7]

2014年設立当初、販売は、引き続きソニーが携わる形でソニーマーケティングが行っており、VAIO OWNER MADEモデルおよび法人モデルはソニーストア(ソニー時代はソニーショップでも取扱っていた)で販売されていたが、2022年5月、ソニーストアでの法人モデルの取り扱いは終了し、個人向けのみとなった。2015年3月6日からは、購入後すぐに持ち帰れる「個人向け標準仕様モデル」が一部機種に設定され、全国の大型家電量販店で販売が開始された[8][9]。VAIO株式会社は2015年12月に個人向け直営オンラインストアであるVAIOストア、2016年12月に法人向け直営オンラインストアである、VAIOストアビジネスでの販売を開始した[10][11]。2023年1月現在、法人向けの販売は、VAIO株式会社が直接エンドユーザもしくは大手ディストリビュータ、販売店を通じて販売[12]

当社の生産分には「VAIO」ロゴの入った青紫色のメッセージカードが封入される。このカードに押されている「安曇野FINISH」(後述)のスタンプは全て手押し[13]

2017年以降は、企業向け (BtoB) パソコンとEMSが事業の柱となった。社員の多くが元ソニーの技術者という点や、PCの技術者が手が空いた時はすぐEMSや新規事業の立ち上げに回るなどといった意思決定の速さ、および技術者が営業に回っていることから「営業が技術を解る」ことを売りとしている[14]

2021年、山野正樹が代表に就任以後はEMS事業を終了。企業向け (BtoB) パソコンが事業の柱となり、全体の約4分の3が法人ビジネスとなっている[15][5]

2025年1月、家電量販店を展開する株式会社ノジマが、VAIO株式会社およびVAIO株式を保有するVJホールディングス3株式会社の発行済株式数の約93.2%の株式を取得し、ノジマの子会社となった。VAIO株式会社は「VAIOの独立性は尊重され、社名、代表取締役・経営執行陣、事業運営方針、お客様との関係およびブランド商標に変更はない」と説明した[16][17][18][19]

歴史

事業の売却

「VAIO」は、インターネット黎明期である1996年の発売から17年以上の歴史を刻んできた国産パソコンのブランドであったが、2005年にはソニーのエレクトロニクス部門においてAIBOCLIEなどに続き収益改善が見込まれない製品群とされていた。

  • 2014年2月1日 - 日本経済新聞朝刊1面とNHKニュースで「レノボグループと合弁会社を設立し、パーソナルコンピュータ (VAIO) の海外向け事業を移管し、国内事業についても民族系企業再生ファンド日本産業パートナーズ (JIP) から出資を受ける交渉に入った」と報道された。報道を受け、ソニーは同日、交渉は否定するも、事業の再編については検討していると一部容認するコメントを発表した。
  • 2014年2月6日 - ソニーは全世界でのパーソナルコンピュータ事業を終息し、生産や企画に携わる拠点(ソニーEMCS長野テック)・従業員を含めた同事業全てをJIPが設立する特別目的会社に譲渡し、2014年夏モデル以降はVAIOブランドを維持した上で新会社が担うことを発表。ソニーは新会社への出資を僅か5%に留め、同事業から実質的に撤退することになった。

ソニーが発売するVAIOは同年2月上旬までに順次発売された2014年春モデルが最終製品となり、ソニーストアでの「VAIOオーナーメイド(CTO方式)モデル」の発売は2014年4月20日に受注終了。カスタマイズ(完成)済みの「VAIOオーナーメイド速配仕様モデル」と家電量販店などで市販される「店頭販売モデル」は在庫が無くなり次第販売終了となる予定である。ソニー発売分のアフターサービスに関してはソニーマーケティングが担当する。

VAIOの設立

  • 2014年5月2日 - ソニーがパーソナルコンピュータ事業を承継する新会社について詳細を発表。同年7月1日付けで同事業を譲渡し、VAIO株式会社[20]に移管することを公表。
  • 2014年7月1日 - 当社に正式に移管。
    • 当面、日本国内向けの製品開発を進める計画で、Windowsを搭載したノートパソコンに製品を絞る。
    • 上位モデルは長野県安曇野市にある本社工場での生産を継続。低価格のエントリーモデルはEMS方式で生産するが日本の本社工場での検品を通す「安曇野FINISH(あづみのフィニッシュ)」によって品質を確保する。
    • 設立当初、販売戦略は、ソニーの子会社であるソニーマーケティングが当社の販売総代理店を請け負い、ソニー直営店と直販サイト「ソニーストア」を販売の中心とする方針に転換し、家電量販店での販売は一部の機種とオーナーメイド受付のみとする[21]
    • 2024年1月現在の販路:[22][23][24]

新規事業への参入

  • 2020年4月9日 - ドローンによる社会インフラの革新を推進・加速する機体開発、ソリューション提供する子会社、VFR株式会社を2020年3月に設立し、4月9日より営業を開始すると発表[25]
  • 山野正樹が社長就任以後、EMS事業によるロボット、VFRを通じたドローンなどの事業はいったん中止し、本業であるPCに力を注ぐ[5]

主要商品

VAIO Fit 15E。これまでソニーのロゴが記載されていた画面下部にVAIOのロゴが入っている

商品ブランド

EMS(製造受託サービス)事業

沿革

前史

  • 1961年10月 - 東洋通信工業株式会社豊科工場として操業開始[26]
  • 1974年 - ソニー傘下入り。長野東洋通信工業株式会社に改称。ソニーオーディオ機器を主力に生産。[27]
  • 1983年以降 - MSXSMC-777AXPCMyloSony Tablet(初期)・NEWSAIBO等を生産[27]
  • 1989年 - ソニーデジタルプロダクツ株式会社に改称[27]
  • 1997年 - VAIO生産開始(ノートPCのみ担当。デスクトップPCは木更津事業所が担当)[27]
  • 2001年 - ソニーイーエムシーエス株式会社長野テックに改称[26]
  • 2005年 - ソニーイーエムシーエス木更津テックからデスクトップPC生産移管[27]
  • 2010年 - VAIO事業本部を当地に移管。VAIOの設計・開発・生産機能の一本化[27]

社業

  • 2014年
  • 2015年
    • 3月12日 - 日本通信と共同で、Androidを搭載したスマートフォン「VAIO Phone」を発表。
    • 8月19日 - 米国とブラジルで販売パートナー契約を結び海外進出することを発表。
  • 2016年
    • 2月4日 - Windows 10 Mobileを搭載したスマートフォン「VAIO Phone Biz」を発表。
    • 7月26日 - アルゼンチン、チリ、ウルグアイで販売を開始することを発表。
  • 2017年
    • 8月1日 - 中国で販売を開始することを発表。
  • 2018年
    • 7月26日 - 香港、マカオ、マレーシア、シンガポール、台湾で販売を開始することを発表。
  • 2019年
    • 4月2日 - 欧州6か国(ドイツ、オーストリア、スイス、英国、デンマーク、スウェーデン)で販売を開始することを発表[30]
    • 10月8日 - 中東4か国(アラブ首長国連邦、サウジアラビア王国、カタール、バーレーン)で販売を開始することを発表[31]

歴代社長

  1. 関取高行(2014年7月1日 - 2015年6月8日[6][7][32]
  2. 大田義実(2015年6月8日 - 2017年6月15日)[32]
  3. 吉田秀俊(2017年6月15日 - 2019年8月27日)
  4. 山本知弘(2019年8月27日 - 2021年6月1日)
  5. 山野正樹(2021年6月1日 - )

脚注

  1. ^ a b c d e VAIO株式会社 第6期決算のお知らせ
  2. ^ [1]
  3. ^ https://vaio.com/news/drone_200409/
  4. ^ 企業情報 - VAIO公式サイト”. VAIO公式サイト - VAIO株式会社は、ソニーからPC事業を継承し2014年に設立した、長野県安曇野市に本社・工場を持つPCメーカーです。DNAである機能美に加え、高品質で堅牢なプレミアムモバイルをお届けしています。 (2023年12月1日). 2024年2月5日閲覧。
  5. ^ a b c VAIOは成長フェーズへ PC事業への回帰で周辺デバイスやリファービッシュ品も投入 VAIO Pの後継モデルも!?”. ITmedia PC USER. 2024年2月5日閲覧。
  6. ^ a b c d PC事業の譲渡に関する正式契約の締結について』(プレスリリース)ソニー株式会社、2014年5月2日https://www.sony.com/ja/SonyInfo/News/Press/201405/14-0502/2014年5月4日閲覧 
  7. ^ a b c d PC事業の譲渡に関する正式契約の締結について』(PDF)(プレスリリース)日本産業パートナーズ株式会社、2014年5月2日http://jipinc.com/release/PressRelease140502.pdf2014年5月4日閲覧 
  8. ^ 「個人向け標準仕様」モデルの販売を大型家電量販店で開始』(PDF)(プレスリリース)VAIO株式会社、2015年3月6日https://vaio.com/news/pdfdata/pr09.pdf2015年3月6日閲覧 
  9. ^ Inc, Sony Marketing (Japan). “法人向け | [法人向け]VAIO(パーソナルコンピューター) | ソニー”. ソニー製品情報・ソニーストア. 2024年2月5日閲覧。
  10. ^ VAIO株式会社直営オンラインストア「VAIO STORE(VAIOストア)」オープンのお知らせ”. VAIO CORPORATION. 2024年2月5日閲覧。
  11. ^ VAIO株式会社 法人のお客さま向け専用Webサイトをオープン”. VAIO CORPORATION. 2024年2月5日閲覧。
  12. ^ Worldfolio, The. “Function and feel, the VAIO difference” (英語). Theworldfolio. 2024年2月5日閲覧。
  13. ^ VAIO(株)製のPro13が到着!開梱レビューをお届けします。:ソニーな、お店が大阪にあった! - ソニーショップさとうちの店員によるブログ、2014年8月11日のエントリー
  14. ^ ソニーが売却したVAIO、「V字回復」のワケ : 深読みチャンネル : 読売新聞 (YOMIURI ONLINE)
  15. ^ メイド・イン・ジャパンの高品質パソコンを再び世界に――山野正樹(VAIO代表取締役社長)【佐藤優の頂上対決】(全文)”. デイリー新潮 (2022年11月8日). 2024年2月5日閲覧。
  16. ^ VAIO株式会社およびVAIO株式を保有するVJホールディングス3株式会社 の株式取得(子会社化)に関するお知らせ - 株式会社ノジマ 2024年11月11日 (PDF)
  17. ^ VAIO株式会社の株主に関するお知らせ - VAIO株式会社 2024年11月11日
  18. ^ VAIO株式会社およびVAIO株式を保有するVJホールディングス3株式会社の子会社化完了に関するお知らせ”. 株式会社ノジマ. 2025年1月6日閲覧。
  19. ^ 家電量販大手「ノジマ」 ソニーから独立の「VAIO」を買収へ パソコン販売拡大につなげるか - NHK NEWS WEB 2024年11月11日
  20. ^ PC事業の譲渡に関する正式契約の締結について - ソニー ニュースリリース
  21. ^ パソコン新機軸打ち出せるか VAIO新会社 2014年7月1日 日本経済新聞
  22. ^ ストア情報総合ページ - VAIO公式サイト”. VAIO公式サイト - VAIO株式会社は、ソニーからPC事業を継承し2014年に設立した、長野県安曇野市に本社・工場を持つPCメーカーです。DNAである機能美に加え、高品質で堅牢なプレミアムモバイルをお届けしています。 (2023年12月6日). 2024年2月5日閲覧。
  23. ^ ご購入のご案内 - VAIO公式サイト”. VAIO公式サイト - VAIO株式会社は、ソニーからPC事業を継承し2014年に設立した、長野県安曇野市に本社・工場を持つPCメーカーです。DNAである機能美に加え、高品質で堅牢なプレミアムモバイルをお届けしています。 (2022年6月1日). 2024年2月5日閲覧。
  24. ^ Worldfolio, The. “Function and feel, the VAIO difference” (英語). Theworldfolio. 2024年2月5日閲覧。
  25. ^ VAIOがドローン事業を推進する子会社「VFR株式会社」を設立 VAIO PRESS RELEASE 2020年4月9日
  26. ^ a b “サイプラス スペシャル 09 | 安曇野に根付くソニー・スピリッツ | Sony EMCS 長野テック”. 信越放送株式会社. 2008年10月8日. 2015年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2016年4月14日閲覧.
  27. ^ a b c d e f “【大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」】VAIO Zの生産を、安曇野の「VAIOの里」で見る ~フリップ/クラムシェルを1つのラインで生産”. PC Watch. 2016年4月13日. 2021年1月23日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2021年2月7日閲覧.{{cite web2}}: CS1メンテナンス: 先頭の0を省略したymd形式の日付 (カテゴリ)
  28. ^ VAIO株式会社事業開始のお知らせ』(PDF)(プレスリリース)VAIO株式会社、2014年7月1日https://vaio.com/news/pdfdata/pr01.pdf2014年7月1日閲覧 
  29. ^ 川崎絵美 (2014年12月25日). “VAIOと日本通信がモバイル事業で協業、VAIOブランドのスマートフォン投入へ”. 2015年2月28日閲覧。
  30. ^ VAIOが PCの全世界販売を18地域へ拡大、欧州地域にて2019年4月より順次販売開始』(プレスリリース)VAIO株式会社https://news.vaio.com/europe190402/2019年4月2日閲覧 
  31. ^ 中東4ヶ国にて2019年10月よりVAIO PCの販売を開始』(プレスリリース)VAIO株式会社https://news.vaio.com/middleeast191008/2019年10月8日閲覧 
  32. ^ a b 井原 敏宏 (2015年8月26日). “2年目迎えるVAIO、稼ぐ力と独自色の両立で問われる大田社長の手腕”. 日経コンピュータ. https://xtech.nikkei.com/it/atcl/column/14/346926/082500323/ 2015年9月26日閲覧。 

関連項目

  • 後藤禎祐 - デザイナー。当社に引き継がれたVAIOのロゴをソニー時代にデザインした。

外部リンク




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