パーソナルハンディホン‐システム【personal handyphone system】
ピー‐エッチ‐エス【PHS】
PHS
読み方:ピーエイチエス,ピッチ
PHSとは、移動電話サービスのひとつで、1.9GHz帯の周波数を使用したデジタル方式の移動体通信サービスのことである。高音質と低料金を特徴とする。家庭用コードレス電話機の子機を外に持ち出すという発想で、電波システム開発センター(現、電波産業会)が規格を標準化した。サービス開始は1995年7月。
PHSの基地局は、1局あたりのカバー範囲(セル)が半径100~500m程度と小規模なものにとどめられているため、簡易で安価に設置することができる。このため地下街や地下鉄駅などでの基地局設置がいち早く進み、特に都市部では携帯電話よりも接続されやすいという状況にある。また、通信料金や端末価格が廉価であることもPHSの特徴をなしている。
サービス開始当初は、PHSの基地局のカバーするエリアが狭いため、サービスエリアの拡大に時間がかかり、屋内での利用に向かないといった難点があった。さらに基地局間での通話情報の引き渡し(ハンドオーバー)に時間がかかり、最大で2~3秒程度通信が途切れるとされた。しかし1999年頃からは、これらの難点も改善されはじめ、安定した機種が増えている。
PHSはその利用のしやすさから急速に普及し、サービス開始から2年余りで700万人以上の加入者を獲得した。しかし携帯電話の低価格化と普及に伴って、総加入者数は減少の一途を辿っている。NTTドコモなどもPHS事業から撤退してしまった。
1997年4月からはPIAFS方式による32kbpsの高速データ通信サービスを開始、1999年4月に64kbpsのデータ通信サービスが開始された。最近では携帯情報端末(PDA)やノートパソコンに接続して高速データ通信を行う無線モデムのしての機能に特化し、携帯電話との差異化が図られている。現在の主なPHSサービスとしては、ウィルコム(旧DDIポケット)が提供している「AIR-EDGE」(旧AirH")や、ケイ・オプティコムが提供している「eo64エア」などがある。
※画像提供 / 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
参照リンク
WILLCOM
ケイ・オプティコム
PHS
(PERSONAL HANDY-PHONE SYSTEM から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/05 16:08 UTC 版)
PHS(ピーエイチエス、英: personal handy-phone system[1])とは、無線通信により、移動した先で長距離間の通信を行うシステム、またその電話機自体や、それによる移動体通信サービスのことを指す。日本発の通信規格である。
注釈
- ^ この企業も松下幸之助が設立こそしているが、現在のパナソニックグループを構成している企業ではない。
- ^ a b c d e 。基本的に、公衆サービス以外の自営用PHS端末(コードレス電話の1種に該当)については、公衆PHS事業者の動向の影響は及ばない。つまり、自営用端末は、総務省により「免許を要しない無線局」としての認可が廃止されるまでは利用可能である。
- ^ a b c d ただし公衆サービスの終了とは無関係に、コードレス電話に関してはその技術基準の改正により、2005年11月30日までに技術基準適合証明を受けた小電力コードレス電話とデジタルコードレス電話は、技適マークがあっても2022年12月1日以降は使用できない(電波法違反)。PHS端末(自営モード)や自営PHS親機、アナログコードレス電話、その他PHS方式によるビジネスホン親機や集合装置などの一部が使用不可となる。(平成17年総務省令第119号改正の無線設備規則の改正附則第5条第1項による。平成17年12月1日施行)
- ^ ただし、仕様や技術適合基準が異なるため、日本国外のDECT機器をそのまま日本に持ち込んで使用する事はできない(逆も同様。すなわち日本国内仕様DECT機器を日本国外で使用する場合には現地電波法規制の確認が必要)。
- ^ 既に自営通話向けsXGPを搭載したスマートフォンが市場に出始めている(2019 - 2020年頃)。
- ^ a b 概ね3.5Gまでのもの。
- ^ なお、3.9G携帯電話においてはこの程度のサイズは「フェムトセル」と呼ばれている。
- ^ スマートフォンのGPS搭載端末のように、リアルタイムでカーナビにも利用できる程の精度は無く、最も高精度でも数10m程度の誤差があり測位にも時間が掛かった。なお、携帯電話による基地局測位は3.5G携帯電話(LTEなど)システム以降にようやく実用化されたが、携帯電話ではフィーチャーフォン時代からGPS等による正確な測位が主流だった(携帯電話初は2002年のauのC3003P)。
- ^ ただし前述のとおり2021年 - 2023年にかけ、公衆PHSサービスは終息した。
- ^ ベトナムは、2010年11月30日にVNPTのサービス自体が停波・事業終了となったため、ローミング申し込みが同年10月30日をもって、ローミングサービスそのものは11月30日をもってそれぞれ終了した。
- ^ 法人向けの301JRを含めれば5機種(ただし、2015年3月時点ではアップデート対応待ちで、この時点での移行はできない)。
- ^ ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム
- ^ Eo64エアなど、データ通信専用として以降も存続した会社がある。
- ^ 2000年代の初頭まで日本国内においては携帯電話の端末費用と通信費用が高く、各社とも現在のように様々な料金プランも無かったため、中学・高校生が容易に携帯電話を所有、維持できる状況では無かった。また、出費が多額であるため携帯電話を持たせない親も当時は多数派であった。
- ^ 後にハンドオーバーの改良や、W-OAMのBPSK通信によりある程度改善された。
- ^ 端末価格を0円に設定することも多かった。
- ^ ハンドオーバー処理高速化などの改良。また当初は電話交換局を跨ぐハンドオーバーができなかったが、1999年2月頃に各事業者とも対応した。
- ^ なお関東地方は電力系と無関係な企業(YOZAN)へ再売却された。
- ^ ごく初期を除く。
- ^ PHS自体の正式名称は「個人手持式電話系統」(繁体字: 個人手持式電話系統、簡体字: 个人手持式电话系统)もしくは「個人電話存取系統」(繁体字: 個人電話存取系統、簡体字: 个人电话存取系统)である。
- ^ 初代法人は2002年にソニーに吸収合併されている。
- ^ 現在は、富士通東芝モバイルコミュニケーションズ(現:富士通モバイルコミュニケーションズ)へ、当該事業を譲渡しており、東芝は撤退している。
- ^ 販売・サポート業務のみを手がけており、開発・製造自体はエイビットが担当していた。現在は、販売・サポート業務もエイビットが手がけているため、企業としてのアルテル自体はPHS関連から撤退している。
- ^ 2016年2月より、同月に設立された富士通コネクテッドテクノロジーズへ吸収分割により、当該事業を譲渡。
出典
- ^ 通商産業省機械情報産業局 監修、データベース振興センター 編『データベース白書 1999』データベース振興センター、1999年、434頁
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セルホン、モバイルホンとも言われている。 - ^ 金丸雄一「郵政省、「高性能なPHSの実現」に向け関連規則の一部改正へ」『INTERNET Watch』、1998年11月24日。2021年3月28日閲覧。
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- ^ 東京都道路交通規則第8条第4項
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- ^ a b その他の通信料ソフトバンク株式会社Y!mobile部門(2016年5月1日閲覧)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 華金玲 / 小檜山賢二. “中国における移動通信メディアの利用料金と地域格差”. 中国・アジア研究論文データベース. 2020年2月1日閲覧。
- ^ 小霊通の生産台数が激減、2月の減少幅は32% 中国情報局
小霊通の生産台数35%減、3年後に撤退との噂も 中国情報局 - ^ 小霊通契約数8958.3万件、単月で最大の減少に
- ^ 「【中国】中国版 PHS「小霊通」、2011年にサービス終了」『ザイロンチャイナプレス』翔泳社、2009年2月9日。2021年3月28日閲覧。オリジナルの2017年1月4日時点におけるアーカイブ。
- ^ "情報・通信システム事業におけるIPテレフォニー関連製品の事業体制を再編" (PDF) (Press release).
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