LERXの概要とは? わかりやすく解説

LERXの概要

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/01 06:05 UTC 版)

ストレーキ」の記事における「LERXの概要」の解説

翼の前後方向長さ大きいものは、大迎時に渦を発生させる効果がある。LERXはこの効果利用し発生させた渦を用いて気流誘導し主翼周囲圧力分布整える事で、大迎時における翼上面気流剥離抑えるものであり、失速速度以下での大迎え角飛行でも機体安定確保できるようになった。またLERX自体も渦により揚力発生させる。これにより離着陸性能改善急旋回時における失速防止による旋回性能の上昇を図るものである。 LERXの最初採用例として知られるのは、ノースロップ社のF-5戦闘機である。本来は前縁フラップ作動器の収納スペース確保するためにこれを設けたのであるが、偶然にもこれが離着陸性能の向上に役立っている事が発見された。この設計ノースロップ社の次作YF-17試作戦闘機およびこれを原型とする戦闘攻撃機F/A-18にも採用された。F-5と異なり意図的に設けられたLERXは巨大なものであった。これによりF/A-18は、高翼荷重設計ありながら高い離着陸性能運動性を持つことで知られ海軍艦載機として多用途に活躍できるマルチロール機としての地位確立した。LERXを用いた機体には、大迎角をとった時や高機時にはLERX上部に渦が生じて気圧が下がり、その後部に状の水滴発生するのが確認できるまた、F-5よりも若干開発時期早いサーブ 35 ドラケン主翼形状は「ダブルデルタ翼」と称しており、ノースロップ社の開発したLERXとは全く関連は無いものの、原理的には全く同等のものである無尾翼機(デルタ翼機)の場合はその形状のためフラップ採用することが困難なため離着陸性能難があるのが欠点であるが、ダブルデルタ翼採用によって、大幅に改善している。 その他、F-15主翼付け根部分膨らみも、LERXと全く同等働きをしていることで知られる応用としてBAe ホーク練習機後期型では水平尾翼前縁部分にLERXと同様のフィン取り付けており、これは、SMURF(側面装着下側付け根フィン)と呼ばれる欠点としては、空気抵抗大きくなることが挙げられる発生する渦が周囲空気引っ張りこみ、機体もこの流れ巻き込まれ後ろ方向への強い力を受けるためである。無尾翼機であれば尾翼が無いことによる空気抵抗減少効果のほうが上回るのだが、通常の尾翼つき形式で、かつ特に巨大なLERXを持つF/A-18および発展形F/A-18E/Fにおいてはその欠点著しく小型・大推力高性能エンジン搭載してもなお目立つ加速性能の不足は、これらの機体弱点として挙げられている。 この欠点改善する方法としては、ブレンデッドウィングボディ形式併用して胴体とLERXを滑らかにつないで抵抗を減らす手法存在する。M3の高速を誇る偵察機SR-71は、LERXとブレンデッドウィングボディ形式併用した代表例である。F-16も同様であり、F/A-18よりも加速性能勝っている。 また双垂直尾翼機体用い場合、渦の発生位置尾翼取り付け位置考慮して設計しないとLERXで発生した渦が垂直尾翼直撃し気流乱れたり、垂直尾翼破損させる場合がある。そのかわり垂直尾翼効きを、特に大迎時の効き高め効果もある。F-16ではその影響考慮し垂直尾翼となっている。 LERXを可動式にするアイデアもあり、Su-57ではエアインテーク前方にLEVCON(Leading Edge Vortex CONtroller:前縁渦流制御装置)と呼ばれる可動式LERXが設けられている。また、MIG-29MはLERX下にクルーガーフラップ追加され後縁の2重隙間フラップ前端フラップ組み合わせることにより着陸時の操縦性を向上させている。 ただし、LERXと全く同等効果は、カナードつきデルタ翼形式においても達成できる。その最初の例となったのはサーブ 37 ビゲンである。小型カナード付加した程度では空気抵抗大きくならなかったが、揚力の向上は明らかであった。さらにカナードつきデルタ翼形式CCV技術適用にも都合良かったため、これ以降多く戦闘機採用され一時はこちらのほうが主流になるかに見えたSu-27系列カナード付の機種ダッソー・ラファールJ-20など、カナードとLERXを併用したようなものも見られる。しかし、全遊動式の全金属製カナード翼には後方主翼効率下げ問題があることと、新たにステルス性損なうという問題があることが発見されたため、F-22においては通常の尾翼形式とLERXが採用されている。比較審査においてF-22に敗れたYF-23にも、ブレンデッドウィングボディ形式併用したLERXが採用されていた。ただしF-22のエアインテーク横や、YF-23機首横にあるフィンノースロップ タシット・ブルー由来の「機体鋭角作らない」ことを目的としたステルス技術上ののである可能性が高い。[要出典]。

※この「LERXの概要」の解説は、「ストレーキ」の解説の一部です。
「LERXの概要」を含む「ストレーキ」の記事については、「ストレーキ」の概要を参照ください。

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