ダブルデルタ翼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/02 00:31 UTC 版)
主翼の内側の前縁後退角度と、外側の前縁後退角度に差異があり、内側の前縁後退角を大きく、外側を小さくしたデルタ翼をダブルデルタ翼と呼ぶ。動作としてはLERXと全く同等であり、主翼付け根部分の前後方向の長さを大きく取ることで、大迎角時に渦を発生させる効果がある。この渦を用いて気流を誘導し、大迎角時における翼上面の圧力分布を整え気流の剥離を抑えるものである。スウェーデンの戦闘機 SAAB JA35 ドラケンが初めて実用化した。他にはスペースシャトルのオービタ(無尾翼ダブルデルタ)、Tu-144(カナード付きダブルデルタ)などの例がある。 ただしドラケンの後継機にあたるJA37 ビゲンやインド空軍の国産戦闘機(エンジンはアメリカのGE製)HAL テジャスのように、外側の前縁後退角度を大きくし、内側の前縁後退角を小さくしたものも、少ないながら存在する。一般的なダブルデルタ翼の場合と違ってLERXと同等の効果はなく、その形態の導入理由は様々である(ビゲンの場合は、比較的大型のカナードを装備するため、主翼とあまり重ならないように設計したためである)。 書籍によっては、大小二つの前縁後退角によって低速から高速まで幅広く対応するといった解説がなされているものがあるが、正確とは言えない。後述の後退翼の解説の通り、翼の前縁の後退角は臨界マッハ数を高めるためのものであり、後退角を変えたからといって低速から高速に幅広く対応できるというものではない。可変翼は後退角変化によって低速から高速に対応しているが、これは飛行マッハ数に対応すると共に低速時に翼幅荷重を小さくするためである。
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