KNVBによる先駆けとIFABの許可 (2013~2016前半)
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「サッカーの審判補助システム」の記事における「KNVBによる先駆けとIFABの許可 (2013~2016前半)」の解説
オランダ・フットボール協会(KNVB)は2013-2014シーズンから判定制度向上を目指してArbitrage 2.0の名称で審判6人制、ゴールラインテクノロジーをエールディヴィジとKNVB bekerに部分導入すると共に、世界に先駆けてビデオ判定システムを試験(スタジアム外で、内部とは連絡を取らない形で審判が映像判定を行う仮想運用。後にオフライン・テストと名付けられた)。ビデオ審判(オランダ語で"Videoscheidsrechter". 判定の最終決定権は主審にあり、ビデオ審判はあくまで助言をする立場なため、後にIFABによって"ビデオ・アシスタント・レフェリー"の呼称が用いられた)は試合中常に最低6つのカメラ映像を映すモニターの前で映像チェックを行い、「判定について平均11秒でほとんどのケースで試合の流れを妨げることも試合の流れに遅れることも無く主審に助言ができる」とのデータと共にFIFAとIFABに導入を提案した。IFABは調査段階として実際の議論を先送りにしていたが、2016年1月7日にIFABが翌シーズンからの公式戦でのテストを許可したことで、KNVBは2016-2017シーズンのKNVB beker約25試合でのビデオ・アシスタントが主審に助言するリアルテスト実行の意思を発表。3年以内の正式導入を目指し、2016年1月28日のエールディヴィジ フェイエノールト - sc ヘーレンフェーン戦ではVAR ピーター・フィンクが実際に専用車の中でオフラインでのビデオ判定を行う様子を1試合を通してYouTubeで生配信する試みを行った。他のスポーツで見られるようなプレーを止めてのビデオ判定ではなく、チャレンジ制度でもないため、KNVBのオペレーション・ディレクター ハイス・デ・ヨングはほとんど必要とされる機会の無いゴールラインテクノロジーの3分の1程度の費用しかからず(専用のカメラは必要無い)、最低限のルール変更で導入できるビデオ・アシスタントを「フットボールの革命ではなく、進化」と語っている。 ドイツ・フットボール協会DFBもオランダのビデオ審判システムのパイロット版を2016-2017シーズンからやはり主審とチームに影響を与えない、オフラインでのテストを行うという意思を発表した。FIFAの新会長に就任したGianni Infantinoは2016年3月1日に「スムーズなプレー進行が保障されるならビデオ審判のような非常に有益なテクノロジ―は早急に開発を行うべきだと思う。明日と言わず今日にでもテストを始めなければいけない」とビデオ判定導入に前向きな態度を表明、これらの流れを受け、2016年3月5日のIFAB年次ミーティングにおいてビデオ・アシスタント導入へ最低2年間の試験期間を設け、「FIFAが各リーグ組織と情報を共有して導入テストと最終的なVARsシステムの作成を進める」ことが発表された。IFABがビデオの使用を認めたのはゴール(それに至るファールやオフサイド・ケースを含む)、PK、直接レッドカード、選手誤認の『試合を変える』4つのケースのみ。ビデオ・アシスタントは主審の要求に応じて、または自主的に主審に対して助言を与えることができる。IFABが公表したVARsのプロトコルは大筋でオランダが作成したものをベースにしているが、主審が必要と判断した場合は自ら映像を確認する(OFR)という選択肢も加えられ、FIFAの審判委員会の責任者だったPierluigi Collinaは後に「最初のミーティングで、自分自身の背景から『解釈が要求される主観的な判定』はVARではなくピッチ上の審判によってされなければいけないと強調した。審判をピッチ外の誰かから操作されるだけの実行者にはしたくなかった」と後に経緯を振り返っている。この時点で既にVARsには13のフットボール協会が関心を示していると発表され、イングランド・フットボール協会FAもまずFA Cupでのテストを行う意向を示した。 2016年5月18日から20日にかけて、オランダのアムステルダムでIFABとFIFAの主催により関心を持つ各国協会が集まってのVARsについて第1回のワークショップが開催され(日本からもJリーグの藤村昇司特命担当部長が参加)、KNVBの数年間のテストで得られた知識を共有、今後2年間のテスト実施に向けて具体的な方法論が話し合われた(特にVARの訓練だけでなく、ピッチ上の審判とのコミュニケーションの重要性が確認されている)。2016年6月2日にIFABはビデオ・アシスタントの初テスト参加国にオーストラリア、ブラジル、ドイツ、オランダ、ポルトガル、アメリカ合衆国が選ばれたことを発表、6ヵ国全ての準備が整うと見込まれる2017年初めからのライブ・テスト実行に向け、オフライン・テストを進めることを許可した。さらにこの6ヵ国のライブ・テスト開始に先立ってIFABとFIFAが独自でいくつかの親善試合でオフラインまたはオンラインでのテストを行い、2017年に予定される6ヵ国へのライブ・テストの許可の前に、2016年12月に日本で行われるクラブ・ワールドカップを最終テストとすることが発表された。イタリア・フットボール協会 FIGCの会長 カルロ・タヴェッキオは4月の時点でIFABにテスト国に選ばれたと発言していたが、実際は入っていなかった。 初期オンラン・テスト参加国と対象組織 オーストラリア: Hyundai A-League ブラジル: CBF傘下の各コンペティション ドイツ: ブンデスリーガ (DFBとDFLの共同プロジェクトとして実施) オランダ: KNVB傘下の各コンペティション ポルトガル: Liga NOS, Portuguese Cup, Super Cup アメリカ: Major League Soccer
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