AXIAブランドの誕生
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同社の市場調査の結果、オーディオマニアやカセットテープユーザーの「FUJI」カセットテープへの総合面での評価や認知度は至って低く、ブランドイメージの再興や上位3社からの切り替えは困難と見られた。そこで日本国内における「FUJI」ブランドを順次止め、新ブランドの「AXIA」に切り替えての再出発を決断し、1985年(昭和60年)6月に最初の商品を発売した。1985年6月時点でのラインアップは主力の「PS-I」(Player's Spirits)、FUJIブランドでも好評だったカーステレオ用「GT-I」「GT-II」、低価格商品の「JP」(Junior Player/JP、JP-1) の4種類だった。ターゲットをオーディオテープを使い出す(ブランド志向がまだ薄い)中学生に絞り、徹底したマーケティング調査(ユーザー調査)を実施。全体がスモーク仕上げによるスケルトンタイプのカセットハーフやカジュアルなパッケージの意匠等を採用したり、イメージキャラクターにデビュー間もない女性アイドルの斉藤由貴を起用したのも、当時の中学生や高校生などといったティーンエイジャーからの高い支持による。これらの効果に加え、元来の高品質も評価され、それまで5パーセント前後であった市場シェアが20パーセント台にまで上昇し、大手3社と肩を並べるまでに成長した。 1989年(平成元年)9月に、高度な樹脂成形技術を用いて従来のケースよりも外寸の厚みを約20パーセント薄くした独自の「スリムケース」を開発し、主力製品の「PS」シリーズに採用。当時ヘッドホンステレオとカセットテープを持ち歩いて使用していたユーザーニーズを掴み爆発的なヒットを記録した。競合他社も一部の高級商品を除き、同等の薄さのケースを独自に開発して追従。数年で標準的なカセットケースのサイズがこのスリムケースサイズに置き換わった。「AXIA」のスリムケースは当初、それまでのケースとは反対にヘッドタッチ部分を外側にして収納する構造だったため、出し入れ時にテープに直接指が触れてしまう恐れがあったが、1996年(平成8年)に「どっちでもIN」のキャッチフレーズがついたイージー・イン・スリムケースを開発することでこの問題を解消した。 1989年(平成元年)4月、VHS用ビデオテープにも「AXIA」ブランドを導入(「DCシリーズ」。「FUJI」ブランドと併用)。映像記録に適した特性を持つ磁性体を上層に、音声記録に適した磁性体を下層に塗り重ねる「ダブルコーティング」技術、およびベースフィルムに塗布した磁性体粒子を一つ一つ規則正しくテープの長さ方向に並べる工程を2回行う「ダブルオリエンテーション」技術を開発。「AXIA」ブランドのコンパクトカセット、および「FUJI」ブランドのビデオテープやメタルポジション用を除く一部のノーマルポジション(IEC TYPEI)用、およびハイポジション(IEC TYPEII)用のコンパクトカセットにも転用した。尤も、コンパクトカセットの場合は下層部には中・低域に適した磁性体を、上層部には高域に適した磁性体を重ねていた。なお、ビデオテープのCMにはロック歌手の矢沢永吉を起用した(一方、「FUJI」ブランドのビデオテープのCMにはお笑いコンビのとんねるずが起用されていた)。こうしたAXIAダブルコーティングビデオカセットはバンダイビジュアルの映像ソフト(主にテレビシリーズのうる星やつら、めぞん一刻、機動警察パトレイバーシリーズ等)に採用されていた。ちなみに機動警察パトレイバーの初期OVAシリーズ(※現在で云う所の「アーリーデイズ」)のレンタル版とセル版VHSソフトに、アニメーションAパートとBパートの間に当時のAXIA PS-IIxシリーズのパトレイバーオリジナルアニメーションCM(35秒)が挿入されている。この「AXIA PS-IIxオリジナルCM」を挿入する事によって当時一般的に高価格だったVHSソフト(1本当り1万円前後)を広告料による相乗効果からもたらされた結果、4800円台の価格まで下げたと同時に若者層へのAXIAブランドの認知効果に寄与した。 1993年(平成5年)10月に「富士マグネテープ」から「富士フイルムアクシア」に社名変更。この時、カセットテープの一部製品に限り、国内生産から海外生産へ切り替えられた(例・150分用を除く「A1」)。
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