2017年仙台市長選
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任期満了に伴う2017年仙台市長選挙(7月9日告示、23日投開票)では、現職の奥山恵美子が4月7日に不出馬の意向を周囲に伝えたことを受け、民進党代表代行の安住淳が同日の宮城県連の会合で「他の市長選とは違う。国政での争点が問われる場合もある」と発言して他の野党と連携した候補者の擁立を目指す考えを示し、共産党も同日に独自候補擁立作業を中止した。仙台市議会の民進党系会派「市民フォーラム仙台」は、13日の会派総会で候補者選びにあたって会派の意向を尊重するよう民進党県連に求める方針を決定し、15日に県連代表の安住にこれを伝え、共産党や社民党との野党共闘を前提とせず候補者選びを進める認識で一致した。民進党県連は28日に選考委員会の設置を決定し、県選出国会議員の桜井充と郡和子、次期衆院選公認候補予定者の林宙紀、市民フォーラム仙台代表の岡本章子、宮城県議会の民進党系会派「みやぎ県民の声」県議の坂下康子ら5人がメンバーとなって候補者選びに当たることとなった。 これと並行して、2016年の参院選で安保法制の廃止や野党共闘を訴えた市民団体「オールみやぎの会」のメンバーなどが呼び掛け人となり、市長選での野党共闘を求める市民団体「私たちの市長を選ぶ仙台市民の会」発足の準備が進められ、5月6日に発足集会が開かれた。市民の会は30日に郡に出馬要請したことを発表したが、市民フォーラム仙台も同日に会派代表の岡本を推す方針を決定した。また、26日に民進党に離党届を提出した林も6月1日に出馬表明したため、民進党県連の候補者選びは難航した。 民進党県連は6月3日の選考委で郡の擁立を内定し、市民の会は政治団体「希望あふれる仙台をつくる市民の会」に改組して郡を支援する方針となった。民進党県連が9日の選考委で郡の擁立を正式決定すると、共産党県委員会が13日に郡の支援を決定(21日付で政策合意を締結)、社民党県連合が17日に郡の支援を決定(7月3日に「支持」に格上げ)、連合宮城が20日の幹部役員会議で郡の推薦方針を決定(27日に郡の推薦を正式決定)、自由党県連が7月7日に郡の支援を決定するなどして、すでに出馬表明していた冠婚葬祭業社長の菅原裕典(自公などが支持)との与野党対決の構図が固まった。 民共共闘の構図には反発もあり、郡陣営と距離を置く労組もあった。市政関係者では、市民フォーラム仙台所属で市議会副議長の安孫子雅浩が「市議会に国政の構図を持ち込むことは認めない」として6月20日に菅原陣営の「市議の会」の顧問に就任する意向を表明(市長選後の7月26日に離党届を提出)、奥山が郡と共産党との関係の近さを理由の一つとして27日に菅原の支持を表明、市民フォーラム仙台所属の木村勝好・小野寺健・加藤健一ら3市議が30日に市議の会に参加する意向を表明(木村は5月上旬、小野寺は7月7日にそれぞれ離党届を提出、加藤は無党籍、3市議が所属する宮城県民社協会は6月下旬に自主投票を決定)するなどした。なお、3市議が提出した離党届は市長選後の7月27日の県連常任幹事会で受理され、4市議は8月17日に旧みんなの党系一人会派「輝く仙台」の柳橋邦彦と合流して新会派「市民ファースト仙台」を結成することを発表した。 選挙の結果、16万5452票を獲得した郡が、14万8993票の菅原や6万1647票の林など3人の候補者を下して初当選を果たした。自民党にとっては東京都議選に続く大型地方選挙での敗北で、民共共闘に実績を与える結果となり、政権にも打撃となった。民進党では代表代行の安住が同日に「共産党の支持層もまとめ、チームワークで野党が上回った」と述べたほか、幹事長の野田佳彦が24日の会見で「安倍政権に対するノーという意思表示が強く表れた選挙。いい候補者を立てて、(野党の)枠組みをきちっとつくれば勝利することができる一つの実例になった」と述べ、共産党書記局長の小池晃も同日の会見で「野党が共闘すれば自民、公明両党に打ち勝つことが証明された。野党の選挙協力の体制構築を急ピッチで進めていきたいと決意している」と述べるなど、野党幹部からは共闘の成果を強調する声が相次いだ。一方、民進党内では民共共闘に異論も根強く、同日の東京都議選の総括会議でも見直しを求める声が相次いだ。
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