2016年日本に対する提言について
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「デイヴィッド・ケイ (法学者)」の記事における「2016年日本に対する提言について」の解説
批判 ケイが国連人権理事会にて演説及び提出した報告書の中に、沖縄の普天間基地移設反対に関する抗議活動へのデモ規制を問題視する内容があることについて、「琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会」代表運営委員の我那覇真子は「(ケイ氏は)私のレポートは沖縄がメインではなく、一部に過ぎない-と前置きをしていて今回の調査では沖縄に行っていないし、これからも行く予定はないと答えていました」と主張し、産経新聞は「きちんとした調査は行われていなかった可能性が高い」と書いている。 「不当な日本批判を正す学者の会」の事務局長で大阪市立大学名誉教授の山下英次は、ケイの報告について、「外国人を含め日本に住むほとんどの人にとって、現実と大きくかけ離れている」「国内外の一握りの過激な『反日』論者の影響を強く受けているようだ」として、国連人権理事会に対し、ケイの報告を受理しないよう要求している。 自由民主党衆議院議員の長尾敬は、ケイが2016年6月に訪日した際、他の数人の議員と共に面会し、特定秘密保護法の詳細や沖縄における法執行の現状などについて説明をおこなった。長尾は、ケイが説明に対し、日本では言論・表現の自由が高いレベルで保障されていると評していたとして、報告書の厳しい対日批判の文章との乖離には違和感を覚えると述べた。また、ケイが沖縄を訪れた経験が無いことが判ったとして、現地調査をおこなわずに他者の意見をそのまま報告書に書いたのではないかと疑問を呈した。 2017年6月2日、上智大学での会見で、報告書の作成にあたって情報の取捨選択や解釈について野党や市民団体の見解に偏重した可能性を聞かれると「ない」と否定し、同日の自民党の会合で、共産党の見解との近さを指摘されると「共産党に知り合いはいない」と述べた。また2019年6月にも日本メディアの独立性を懸念する新たな報告書をまとめ、「批判的なジャーナリストへ政府関係者の圧力がある」と指摘し、「政府記者会見における特定のジャーナリストの質問」への政府側対応を圧力の具体例に挙げた。記者・社名は伏せられている。 批判に対する反論など フランスの雑誌『ル・ポワン』によると、日本からのケイの報告への批判に対し、ケイが報告にあたり証拠を出しているにも関わらず、日本の国連大使が「報告は不正確」・「嘘つき」呼ばわりしたことに対し、日本の主張を証明する証拠があるのであれば、それらを提出することが日本に求められているにも関わらずしていないとしている[信頼性要検証]。 イギリスの週刊誌「エコノミスト」は、ケイの報告に関する日本の批判について、ほとんどの国は拘束力のない国連特別報告者の提言については受け止めたことを示した上で提言自体には対応せずに流したり無視しているにも関わらず、日本はジョセフ・カナタチの共謀罪審議の際の提言やマオド・ド・ブーア=ブキッキオの児童売春に関する報告や難民受け入れ人数の少なさに対する国連からの非難の件も含め、提言や批判を攻撃のように受け止めて、公に総理大臣が反論したり、担当大臣が面会を拒否したり、保守系全国新聞が報告草案をリークしたりと、反応が過剰であると論評し、東京大学の情報学教授である林香里は、日本は外国からの批判に対して劣等感があり、外国人が日本の事情を理解していないと反発するばかりで正当に事情を説明することができず、報告したケイを敵のように扱い、「不当な日本批判を正す学者の会」にしても傍観者として非難するだけで、同じ場に立って議論を尽くそうとはしないと講評したと報道している。 また、ジャーナリスト保護委員会の常務理事であるジョエル・サイモン(Joel Simon)は、ケイの報告書を引き合いに出し、充分に検証され配慮を持って批判された報告書に対して反発するばかりの現政権(報告時)の元での日本の報道の自由には憂慮すべき現実があるとし、通常ジャーナリストたちが報道の自由を侵害されようとしたら団結して闘うものであるのに、日本の場合は政権への忠誠心が重視され、その上で与えられる特権に安穏としており、このようなメディアの側にも問題があるとしている。
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