2016年春:高木京介案件の発生
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「読売ジャイアンツ所属選手による野球賭博問題」の記事における「2016年春:高木京介案件の発生」の解説
ところが2016年3月8日、巨人は東京・大手町の読売新聞東京本社で緊急会見を開き、新たに投手の高木京介が野球賭博に関わっていた疑いがあることを発表した。高木からの聴取に基づく球団発表によると、2014年4月に高木は笠原を介して野球賭博常習者である飲食店経営者と賭けをしており5月まで笠原が賭けた試合で一緒に3〜4回、計8〜9試合を対象に賭けを行ったが総額で50万〜60万円程度負けたため、以後野球賭博をやめ、その後の笠原や飲食店経営者の誘いも断っていたという。球団は8日付で高木を当面の間謹慎処分とし、野球賭博を禁じた野球協約に違反したとして、NPBならびに熊﨑に告発し、最終的な処分をNPBに一任した。4人目の野球賭博関与者の発覚という新たな事態を受け、巨人は渡邉顧問、白石オーナー、桃井会長の3首脳が引責辞任することも併せて発表した。なお、翌9日には白石オーナーの後任として3月11日の球団臨時株主総会並びに臨時取締役会を経て読売新聞グループ本社取締役最高顧問(読売新聞東京本社元社長)の老川祥一が就任し、社外取締役として松田昇(弁護士、元預金保険機構理事長)を招聘し、松田を球団オーナー代行に就任させる人事を発表した。なお、巨人が球団幹部に読売新聞社ならびに読売グループに在籍したことがない人物、および巨人の球団OB以外の人物を起用するのは今回が初めて。3月10日、巨人・山岸均取締役連盟担当がNPBを訪れ、高木京介が野球賭博への関与を禁じる野球協約180条に違反したとする告発状を熊﨑コミッショナーに手渡した。 3月11日、読売新聞東京本社で読売巨人軍球団臨時株主総会および臨時取締役会を開催。渡辺顧問・白石オーナー・桃井会長の引責辞任ならびに老川・松田の就任が正式決定した。老川新オーナーは就任記者会見を開き、冒頭「この度の不祥事で大変な信頼感を損失することになりました。すべての野球ファン、他の球団のみなさま、すべての球界関係者に深くおわび申し上げます。」と謝罪し、「一刻も早く事実を究明し、体制を立て直し、巨人軍の信頼を回復させたい」と意欲を示した。なお、老川新オーナーは白石前オーナーが務めていた「12球団オーナー会議」の議長職を「他の球団に迷惑を掛けた」として辞退する意向を表明している。 3月14日、2012年から自チームの公式戦の勝敗に絡んで一軍選手の多数が現金のやりとりをしていたことが判明した。巨人によると選手が試合ごとに現金を出し合い、投手と野手に分かれて行われる試合前の円陣で「声出し」と呼ばれる発声を担当した選手が、試合に勝てば1人あたり5000円の「ご祝儀」を受け取り、負ければ全員に1000円ずつ払うルールで一度で最大14万円の現金が動いていた。なお、NPBの調査委員会と巨人は、いずれも2015年の秋に行なった調査でこれを認識していたものの「ゲン担ぎ」として認識。調査報告書では未公表だった。今回の件についてNPB調査委員会の大鶴基成委員長は、選手の拠出金が一試合当たり5000円でプロ野球選手としては少額なことなどを理由に八百長や敗退行為にはつながらないと判断していたことを明らかにした。ちなみに、現在は『野球賭博と誤解される』としてこのような金銭のやり取りは、球団で禁止されている。一方、退団した笠原は産経新聞・サンケイスポーツの取材に対し、円陣でのゲン担ぎがあったことを認めた上で「最初は勝てば1000円を受け取るが、連勝で3000円、3連勝で5000円…と拠出金が増えていくシステムがあった」と発言。なお、これに対し巨人球団は産経新聞社に対し「名誉毀損」として記事の訂正を求める抗議書を送った。 声出しによる金銭授受について甲南大学法科大学院教授で刑法学者の園田寿弁護士によると、賭博罪は「(1)結果を制御できない事象を対象に金銭をやり取りする(2)双方が損をする可能性を共有すること」が条件であり、今回の「試合の勝ち負けを対象にして、勝てば円陣の選手たちが声出しの選手に現金を支払い、負けると声出しの選手が円陣の選手に支払うルール」は賭博罪の2つの条件に当てはまるとし、少額の金銭授受であったために問題としなかったことに対しても「大金持ちならば何億円かけても賭博に当たらないことになってしまう」として、金額の多寡は関係ないと述べた。
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