1979年-1985年:本社移転とMS-DOS
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「マイクロソフトの歴史」の記事における「1979年-1985年:本社移転とMS-DOS」の解説
1979年1月1日、マイクロソフトはアルバカーキからワシントン州のベルビューに移転した。1980年6月11日、スティーブ・バルマーが入社し、後にゲイツの後を継いでCEOとなった。マイクロソフトは1981年6月25日に再編成し、ワシントン州の法人企業となった(さらに社名を改め「Microsoft, Inc.」とした)。再編成の一環として、ゲイツは社長兼会長となり、アレンは副社長となった。 1980年、マイクロソフトが公にリリースした最初のオペレーティングシステムは、UNIXから派生したものだった。マイクロソフトはそれを配布ライセンスに基づきAT&Tから取得し、Xenixと名づけた。さらに、複数のプラットフォームに移植するため、Santa Cruz Operations社を雇った。このオペレーティングシステムは、マイクロソフトの最初のワードプロセッサーであるMicrosoft Wordの動作環境となった。Wordは当初「Multi-Tool Word」という名称であり、WYSIWYGのコンセプトが注目を浴びた。Wordは太字テキストを表示したりといった機能をもつ最初のアプリケーションでもあった。Wordは1983年の春に発売され、無料の評価版がPC World(英語版)誌1983年11月号に付属された。これは、雑誌に付属して配布された最初のプログラムであった。しかし、Xenixは多くのソフトウェアOEMに再販売のライセンスが与えられていたにもかかわらず、エンドユーザに直接販売されることはなかった(ただし日本では、NEC・富士通などが自社PCのユーザ向けに日本語Xenixを販売している)。1980年代中盤には、マイクロソフトはUNIXビジネスから完全に撤退した。 DOS (Disk Operating System) は、マイクロソフトを真の成功へと導いたオペレーティングシステムであった。1980年ごろ、IBMは独自のパソコンを開発する計画を持っていた。当時の8bitパソコンにおいて、大きなシェアを有するオペレーティングシステムはデジタルリサーチのCP/Mであった。IBMは、予定している16bitパソコン用のオペレーティングシステムを外注することに決め、デジタルリサーチと接触したが、交渉はうまくいかなかった。その結果、マイクロソフトがIBMのパソコン用オペレーティングシステムを開発する契約をIBMと結ぶことになった。オペレーティングシステム開発の経験が乏しく、IBMが要求する納期を最小限度の人的資源で賄う必要があったマイクロソフトは、当時86-DOSと呼ばれていた16bitオペレーティングシステムのライセンスを、シアトル・コンピュータ・プロダクツ(SCP)社から購入し、これを改良することで対応した。また86-DOSの開発者であるティム・パターソンも後にマイクロソフトに移籍した。こうして作られたマイクロソフト製オペレーティングシステムはIBMによってPC-DOSと改名され、1981年8月に発売されたIBM PCに搭載された。 デジタルリサーチは後に16bit版のオペレーティングシステムであるCP/M-86を開発し、IBMとの交渉の結果、IBMがこれを自社製パソコンに対するオプションとして提供することになった。しかし、PC-DOSが40ドルで提供されたのに対し、CP/M-86は240ドルであったため、CP/M-86を利用する人はほとんどおらず、PC-DOSが標準となっていった。 後に、Columbia Data Products(英語版)社がIBM BIOSのクローンで成功を収め、Eagle Computer(英語版)社とコンパックがそれに続くと、市場はIBM PCのクローンであふれるようになった。IBMとの契約により、マイクロソフトはMS-DOSを自由に他社に販売する権利を与えられていた。IBM PCのクローンの製造者への積極的なマーケティングにより、マイクロソフトは弱小企業から家庭コンピュータ産業における主要なソフトウェアベンダへと成長した。 1983年5月2日のMicrosoft Mouse(英語版)の発売を皮切りに、マイクロソフトは他の市場へも製品ラインを拡大していった。1983年前後には、多数の会社との提携により、マイクロソフトは家庭用コンピュータシステムMSXを開発した。これはMSX-DOSと名づけられた独自のDOSオペレーティングシステムを搭載していた。これは日本、ヨーロッパ、南アメリカで比較的好評を得た。
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