麻薬とワンダーランド殺人事件
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「ジョン・ホームズ」の記事における「麻薬とワンダーランド殺人事件」の解説
詳細は「ワンダーランド殺人事件」を参照 ホームズの薬物乱用はポルノの仕事に影響を及ぼし始め、仕事の確保が困難になってきたため、麻薬常用を続けるために彼は犯罪に手を染めていった。ギャングの運び屋をやり、男女双方に売春を行ない、クレジットカード詐欺や些細な窃盗を犯した。1976年に、16歳の女の子ドーン・シラーに出会い、彼女をガールフレンドにした。ホームズが落ち目になってきた時、彼は彼女とともに売春した。ドーンは、アナルセックスの女王、ミスティ・ドーンと呼ばれていたホームズの2番目の妻、ポルノ女優のローリー・ローズと混同されがちであるが、別人である。 ホームズは麻薬ディーラーでナイトクラブのオーナーのエディ・ナッシュとの緊密な関係を深めた。ナッシュはホームズに麻薬(主にコカイン)を供給した。同時に、ホームズはワンダーランド・ギャング(ロサンゼルス・ローレルキャニオンのワンダーランド・アベニューにあるテラスハウスをアジトにしていたため、こう呼ばれた)と密接に関係し、ギャングのために運び屋をしていた。麻薬絡みの窃盗のため、ホームズはギャングとトラブルになった。伝えられるところでは生命と引き換えに、ホームズはギャングのリーダーに、ナッシュと彼が隠し持つ大量の麻薬、金、宝石について話し、1981年6月29日の朝に起こった強盗事件の手引をした。 ホームズは強盗に直接参加しなかったが、ナッシュは明らかにホームズが関与していると読んだ。ホームズに関わりを認めさせた後、ナッシュはワンダーランド・ギャングに対する報復を果たしたとされる。強盗事件の2日後、1981年7月1日早朝、ギャングのメンバーのうち4人の死体が隠れ家で発見された。この事件は現在「ワンダーランド殺人事件」として知られている。ホームズは現場にいたと言われるが、直接殺害に参加したかは定かでない。 ホームズは殺人の容疑で投獄されたが、証拠不十分のため一旦放免された。彼はドーン・シラーとともに6ヵ月間逃亡したがフロリダで逮捕され、ロサンゼルスに戻された。ホームズは証言を拒否して、強盗と関連して計4人の殺人容疑で告発された。 しかし、検察側の主張には不備があった。1人の男性が単独犯で5人を殴打し、その内の殆どである4人を殺害したというのは、有り得ないことだと思われた。ホームズにとって最も不利な証拠は、犠牲者の1人が発見されたベッドの横板に残された彼の指紋であった。これは、彼が右手で死に至るほど犠牲者を武器で殴打しながら、左手で横板を掴んでいたのかもしれないことを意味した。しかし、ホームズは以前よりしばしばギャング邸に出入りしていたため、それが事件同日に残されたものかどうか、判別は不可能であった。検察官(地方検事ロン・コーエン)は、ホームズがナッシュ邸強盗事件の際、盗品の分け前が少なかったため、ワンダーランド・ギャングを裏切り、自発的な共犯者になったと申し立てた。ホームズの法廷指定弁護団のアール・ハンソンとミッチェル・エガーズは、彼が真犯人によって意志に反して、強制的に現場に連れてこられた犠牲者の1人であると弁護した。ホームズは1982年6月25日に全殺人容疑に関して無罪となった。ホームズは裁判の間、証人席について証言することは決してなかった。裁判後、ホームズは再度事件について当局に協力することを拒否し、法廷侮辱罪のため11月まで刑務所で過ごした。ホームズは友人や警察に「真実を語ることは何の得にもならない。もしそうすれば『自分の愛する誰かを死に追いやることになる』」と話した。ホームズは刑務所から出所したとき、別居中の妻と再会しようとしたが、彼女はホームズを拒絶した。シャロン・ホームズによると、「彼は生まれ変わって、業界から去ると言いました。私は彼が変わるすべを知らないと話しました。私が生まれて初めてファックという単語を言った瞬間だったので、よく覚えています。『Get the fuck out of my life(私の人生から出て失せやがれ)』」。シャロンは1985年にジョン・ホームズと離婚した。しかし直後のアメリカ合衆国内国歳入庁によるホームズ(と代理である彼の妻)の財産差し押さえは、ほとんど彼女を無一文にした。 ホームズはガールフレンドのドーン・シラーと再会しようとしたが、彼女はホームズに知らせず、父親とともにその後およそ7年間暮らすことになるタイに旅立っていた。彼女は1988年にホームズが死亡する数週間前までロサンザルスには戻らなかった。 ホームズが1982年11月にポルノに復帰した時には、時代は既にフィルムからビデオへ移行しつつあった。仕事はまだ豊富にあったが、あまり金にはならなかった。ホームズはもはやナンバーワンの男性スターではなかった。彼の薬物使用は続き、演技に悪影響を与えていた。勃起を維持できないことは深刻な問題であった。雇い主はより若くて魅力的でイキのいい男優を起用し始めた。
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