馬琴との交流とは? わかりやすく解説

馬琴との交流

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/13 05:32 UTC 版)

独考」の記事における「馬琴との交流」の解説

文政2年1819年2月下旬真葛自著独考』と手紙束修江戸在住の妹尼に託し当時最大人気作家である曲亭馬琴届けさせた。内容添削出版依頼であった戯作者である馬琴頼ったのは、『とはずがたりによれば「『此文をかゝる人に見せよ』と、不動尊御しめし」があったからだとされる。しかし、53歳馬琴宛先が「馬琴様」とのみあること、差出人も「みちのく真葛」と記すだけで身元なども書かれていない手紙怒った紹介状もなく、初め手紙出した相手に、いきなり批評依頼したことに対し馬琴腹を立てて使用人のふりをして預かったという。ところが、馬琴は『独考』を一読してみて、「婦女子にはいとにげなき経済のうへを論ぜしは、紫女清氏にも立ちまさりて、男だましひある」 と、当時女性の文としては稀少なことに、修身斉家治国論じた経世済民の書であることに感嘆し従来そうしてきたように直ち添削依頼拒絶するではなくさしあたって戯作者として筆名親書宛名としたこと、身元なども説明しないままに添削等を頼むことは非礼あたらないかという詰問返事書いて再訪した尼に託した真葛は、馬琴返事を受けるや素直に非礼謝罪し、みずからの身分や『独考執筆の動機などを綴った手紙や『七種のたとへ』などの作品送った。これらは、『昔ばなし』や『とはずがたり』として馬琴編著独考餘論』に収載されている。真葛示した誠意恭順態度馬琴満足しまた、みずからも武士出身である馬琴真葛工藤家思う心情にも共感して以後尼を仲介者として真葛との文通つづけた馬琴からの手紙が真葛のもとに届いたのは、約1か月後の3月末ころであったその手紙は、家を継ぐべき弟を2人とも亡くし血縁者としては尼しか残されていない真葛境遇に「いかなるまがつ神のわざにや、いといたましくこそ思い奉れ」と心から同情し真葛尼の姉妹が、父平助やその生家長井家の名をあらわすために心を合わせていることを「たれかは感じ奉らざるべき」と感嘆し、さらに、「をうなにして、をのこだましましますなるべし」つまり、老女ありながら男子の魂をもっていると真葛らを賞賛している。ただし、『独考』には体制批判公儀朝廷対す批判など当時禁忌にふれる箇所もあり、また、当時出版事情からいってもすべてを出版できるかどうか難しいと述べ、しかし、写本によって後世伝え方法もあると述べ、さらに、そのためにも『独考』の一部をみずからの随筆玄同放言』に載せて真葛の名を世に広め一助にしたい旨が記されていた。末尾には馬琴作の短歌2首まで添えられており、好意的といってよい内容であった真葛は、自分の名を広めた方がよいというのならばと、仙台での聞き書きをまとめた『奥州奈志』と前年8月著した宮城郡七ヶ浜旅したときの紀行文『いそづたひ』を馬琴のもとに届けさせている。 こうして馬琴真葛交流つづいたが、真葛それとなく校閲催促する手紙を送ると、馬琴一転して態度硬化させ、『独考』のほとんどすべてに猛烈な反駁加えた独考論』を書き手元置いていた『独考とともに真葛送りつけて絶交した多忙なはずの馬琴20日ほども費やして独考』を越える量の『独考論』を書き上げたであった文政2年11月24日西暦1820年1月9日)のことであった。 これに対し真葛礼物とともに丁重な礼状したため送り、翌文政3年1820年2月馬琴より礼状送られて、返礼書簡送ったのち、互いに手紙やり取り途絶えた。こうして、2人交流は約1年終わった

※この「馬琴との交流」の解説は、「独考」の解説の一部です。
「馬琴との交流」を含む「独考」の記事については、「独考」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「馬琴との交流」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「馬琴との交流」の関連用語

1
4% |||||

馬琴との交流のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



馬琴との交流のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの独考 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS