馬琴の『独考』評価とは? わかりやすく解説

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馬琴の『独考』評価

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/13 05:32 UTC 版)

独考」の記事における「馬琴の『独考』評価」の解説

馬琴は、『独考』をはじめて一読したときの印象を「紫女清氏にも立ちまさりて、男だましひある」と述べ女性の身で経済論じるのは平安時代紫式部清少納言まさって「男だましひ」あると評価したのは上記通りである。また、「ふみの書きざま尊大にて…その説どものよきわろきはとまくかくまれ婦人には多く得がたき見識あり。只惜むべきことは、まことの道をしらざりける。不学不問の心を師としてろうじ(論じ)つけたるものなれば、かたはらいたきこと多かりはじめより玉工の手経て、飽(あく)まで磨かれなば、かの連城の価におとらぬまでになりぬべき。その玉をしも、玉鉾のみちのくに埋(うづ)みぬることよとおもへば、今さら捨てがたきこゝろあり」 とも記し、「多く得がたき見識」があり、磨けば光る玉であると述べながら「まことの道をしらざりける」ことを惜しんでいる。 「まことの道」とは、狭義には儒教道徳であるが、広義には真の学問的方法論」であると考えられる。「連城の価(連城の璧)」とは、中国戦国時代故事における、秦の昭襄王が自領にある15の城と交換入手しようとした宝玉のことを指しており、これは、真葛対すきわめて高い評価といえる。しかし、馬琴は『独考論』を「教訓を旨として」書いた述べており、真葛に対して当時知識人常識ともいうべき学問王道、ものの考え方筋道教えようとしたのであって真葛対等論争相手見なしていないまた、「ふみの書きざま尊大」とあるように、自分あての気安い依頼の手紙の書き出しや、本居宣長賀茂真淵にさほど敬意をはらわずに文章拍子早さ遅さ論じたり、儒教道徳について歯に衣着せぬ批判展開している点に尊大さ感じていたようで、「高慢の鼻をひしぎしにぞ」 とも記している。 「真葛のおうな」によれば文政3年1820年)春、『独考論』を送った馬琴のもとに真葛の手紙が寄せられた。の手紙は怒りのにじむものであった が、真葛からの手紙は、 おんいとまなき冬の日に、ふみやどものせめ奉る春のもうけのわざをすらよそにして、こうながながしきことをつづりて、おしえ導き給わせし、御こころの程あらわれて限りもない幸せにこそ侍れ。なおながき世に、このめぐみをかえし奉るべし という丁重なものであった馬琴が、『独考』の出版難しいかもしれない写本による方法があると真葛あての手紙に記したとき、『独考』の写本を「心ある人」に見せれば、「十人二、三人」はそれを書写すであろう述べている。実際馬琴自身も『独考』を書き写した うえで『独考論』を著している。そして、『独考論』の数年後文政8年1825年10月1日に『真葛のおうな』を発表しているが、それは、真葛亡くなった半年後のことであった。『真葛のおうな』のなかでは、みずからの『独考論』(『独考批判)について、「人に信をもてするに、怒り恐れていさめざらんは、交遊の義にあらず」と弁明している。 馬琴が、真葛の死を知ったのは翌文政9年1826年)のことであった松島へ行く知人頼んで消息尋ねたが、亡くなったあとであった馬琴はこれを嘆いて、「件の老女癇症いよいよ甚しく、つひに黄泉に赴きしといふ。予はじめて其訃を聞て嘆息にたへず、記憶の為めこゝに記す」という一文のこしている(『著作雑記文政9年4月7日条)。 こののち馬琴は、天保3年1832年)ごろには真葛の『奥州奈志』や『いそづたひ』に奥書記し天保13年1842年)にはみずからの代表作となった南総里見八犬伝』九輯(完結部)の「回外剰筆」にも真葛の名と『独考』など彼女の著作紹介する文を掲載している。かつては、その博学卓越した文章力によって徹底した批判加えた独考であったが、馬琴胸中には長く独考』とその筆者只野真葛のことは残り続けたのである

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