青森県薬師前遺跡墓坑出土品とは? わかりやすく解説

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青森県薬師前遺跡墓坑出土品

主名称: 青森県薬師前遺跡墓坑出土品
指定番号 532
枝番 00
指定年月日 2000.06.27(平成12.06.27)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 考古資料
ト書
員数 一括
時代区分 縄文
年代
検索年代
解説文: 本件は、薬師前遺跡から出土した縄文時代後期の墓坑出土品一括である。
 遺跡は、八戸市西方一〇キロメートル三戸郡倉石村大字中市薬師前所在する。この地は、八甲田山系から太平洋側延び緩やかな丘陵地で、五戸川右岸標高一四メートル位置し現状畑地である。昭和五十二年五月、この遺跡土地所有者長芋栽培のためにトレンチャー入れた際、土器一部上部配石発見、町当局通報し同年六月緊急調査実施された。その結果調査面積一六平方メートル範囲内大形の墓坑が一基検出され、その中央部付近に寄り添うような形で三基の土器一-三土器)が埋設されているのを発見そのうち一基からは貝輪尺骨装着したままの、保存状態良い縄文人骨が納められていた。
 遺物は、これら土器使われ縄文時代後期前半深鉢形土器壺形土器三点と、三号土器埋葬され縄文人装着あるいは副葬されていた貝輪一六点、猪牙製垂飾一一点である。土器として使われ深鉢形土器は、東北地方北半部を特徴づける十腰内式と呼ばれる土器典型で、三点のうち二点は完形であり、その姿形雄大で、貼付隆帯で現された文様には複雑な曲線文が組み合わされ流麗な意匠構成している。またこれら深鉢形土器には、内面黒色付着物が認められ、さらに外面底部付近にも被熱の痕跡がある。このことは、これらが本来の用途としての煮炊き儀礼的炊さんの可能性を含む)に供された後に、土器として使用されたことを示している。また同時に発見され壺形土器は、完形に復されるものは一点のみであるが、同時期の他の壺形土器比べて大形であり、文様丁寧に施文されている。これら壺形土器には、被熱の痕跡等は見られないが、外面光沢呈するまでに磨かれ、また赤彩や、赤・黒色の漆塗布の痕跡認められ当初から葬送意識した特殊な用途土器として作られたことを推測させる。
 さらに、三号土器埋葬され人骨に、装着あるいは副葬されていた猪牙製垂飾は、うち三点土器装飾類似した彫刻文が刻まれ美しいもので、多数貝輪とともにそれを独占的に所有していた被葬者社会的地位特殊性示している。
 以上のように、本件きわめて一括性が高く縄文時代後期集団墓の実態と、縄文社会における葬送儀礼一端をよく示す資料である。また、土器として使われ土器は、当該期の類例比べて群を抜く大きさ遺存状態を誇り、されにその装飾一定の規則則しながら入念な文様構成飾られ造形からも高い評価与えられるものとして貴重である。



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