震災時の背景とは? わかりやすく解説

震災時の背景

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 07:24 UTC 版)

関東大震災朝鮮人虐殺事件」の記事における「震災時の背景」の解説

当時日本政府地震発生前発生した朝鮮三・一運動台湾大規模デモ流血鎮圧した経験から、これら統治領の独立運動を行う一部民衆抵抗警戒感抱いていた。当時朝鮮人への無理解民族的な差別意識背景として考えられる日本国内では大正デモクラシーによって労働運動民権運動女性運動など支配権力に対す社会主義者らの抵抗・権拡大運動の活性化と、それに対抗する保守的勢力急伸首相暗殺恐慌による政治経済への不安から社会体制揺らいでいた。また、国外でイギリス・アメリカとの対立シベリア出兵大失敗などから国際的な孤立化深めつつあり、関東大震災はいわば内憂外患の状態に追い打ちをかけるように起こった大災害だった。 山本内閣9月7日治安維持令公布した。この戒厳令解除され11月15日までの東京神奈川埼玉千葉の被災地1府3県民市民的政治的自由停止した状態の中で、大震災発生直後9月1日午後3時以降東京横浜などで「社会主義者及び鮮人放火多し」「不逞鮮人暴動」といったデマ発生していったが、デマ中には警察や軍が流したものもあった。これらの報道伝聞による噂に接し不安を煽られ各地民衆有志によって自警団結成されたが、中には地域管轄警察主導指導組織され自警団もあった。これら自警団一部によって朝鮮人日本人中国人らが虐殺されていった陸軍警察はこの混乱奇貨として社会主義者労働運動家らの抹殺画策し10名が軍隊虐殺され亀戸事件および無政府主義者憲兵大尉らに殺害され甘粕事件実行されたが、こうした白色テロ」に対す責任追及批判低調だった。当時の社会にとっては治安維持被災者救援活動一環であり、軍や政府警察威信取り戻したとして歓迎される状況になっていた。 黒澤明自伝蝦蟇の油自伝のようなもの』の中では、当時中学2年生だった黒澤関東大震災時の体験語られている。その中に黒澤父親長い髭を生やしているという理由朝鮮人間違われ暴徒囲まれた話や、黒澤井戸書いたラクガキ町の人々が「朝鮮人井戸に毒を入れたという目印」だと誤解し騒ぎになるというエピソードがある。 作家芥川龍之介はこの自警団参加し活動をしていたことがわかっているが、「或自警団員の言葉」(『文藝春秋1923年10月号「侏儒の言葉」より)において、自警団異常な殺戮行為に対して「自然は冷然と我我苦痛眺めている。我我互に憐れまなければならぬ。況や殺戮を喜ぶなどは――尤も相手絞め殺すことは議論に勝つよりも手軽である」と批判をしている。また、芥川の「大震雑記」(『中央公論1923年10月号)の五の章では、朝鮮人への虚偽の噂を信じ民衆を「善良な市民」と揶揄する等、震災後一連の殺害事件に対して批判的視点持っていた事がわかっている。 徳富蘇峰震災1ケ月後、國民新聞コラムで「今次震災火災に際して、それと匹す可き一災は、流言飛語災であつた」と断言した

※この「震災時の背景」の解説は、「関東大震災朝鮮人虐殺事件」の解説の一部です。
「震災時の背景」を含む「関東大震災朝鮮人虐殺事件」の記事については、「関東大震災朝鮮人虐殺事件」の概要を参照ください。

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