防衛食容器とは? わかりやすく解説

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防衛食容器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/06 00:29 UTC 版)

防衛食容器(ぼうえいしょくようき)とは(防衛食器[1][2]、防衛食[3]とも呼ばれる)、第二次世界大戦中の金属類回収令(金属供出)により、食料を貯蔵する缶詰の代用として作られた陶磁器製の「特許真空容器」[4][5]。大量に製造されたものの、中に入れる食糧が不足したため空の容器のみが大量に残ったといわれている[6][7]。容器の現物がそのままの姿あるいは破片や修復された姿のものが多く現存し、博物館などに収蔵されているほか、オークションに出品されるケースもある[7][8]


注釈

  1. ^ 発言は南の回想による90歳の時のものである[26]
  2. ^ 前述の南が言うAなる人物と同一であるかどうかははっきりしない
  3. ^ 小沢が注文主だという資料もある[15]
  4. ^ ただし発明は谷川によるという資料もある
  5. ^ 椋露地は、1947年(昭和22年)から1963年(昭和38年)にかけて有田町の町会議員に当選している[33]
  6. ^ 「フタヲトルニハ釘デ クボミニ穴ヲアケ」「フタヲ取ルニハ釘デ クボミニ穴ヲ開ケ」「フタヲトルニハクギデ クボミニ穴ヲアケル」などの表記ゆれがある[47]
  7. ^ a b c d リンク先に表示される画像による出典を含む
  8. ^ 原文に適宜句読点を追加して読みやすくした
  9. ^ 2018年改正の防衛省による牛肉味付缶詰の仕様では、内容量が170グラムを超える缶詰で26.6kPa(19.95cmHg)と定められており、防衛食容器開封時の真空度はこの基準を数値上では超えていた[62]
  10. ^ 仕様セクションにて記載した、ふたの内側に穴をあける際に陶片が落ちないように受箱があるタイプのものと[28]、ないものが存在する理由として、内容物の上にセロファンをかぶせることでふたの細工が必要なくなったと考えられる
  11. ^ 缶詰では、イギリスで北極観測隊用114年前の缶詰が開封され食べた記録が残っている[64]
  12. ^ 『大衆人事録』第19版、東日本篇、90頁では「卒(業)」と記載。
  13. ^ 資料によれば、日本国民食糧株式会社は大日本防空食糧会社の前身であるという記述があるが[78]、この記述は「国民食糧株式会社」の誤りであると思われるため、ここでは後述の裁判記録の時系列を取る
  14. ^ ほかの資料では目黒の雅叙園に本社事務所を置いていたという記述があるが、社名が「大日本防ママ食糧株式会社」と記載されており[15]、ほかの資料と齟齬があることや、同例の資料に見られる「防衛食糧」表記も書き間違いである可能性が大きいため、「阿部四郎1990」と「斎藤1973」の記載を採る
  15. ^ 原文に適宜句読点を追加して読みやすくし、旧字体は新字体に改めた

出典

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