逐条批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 05:43 UTC 版)
「イスラエル国防軍軍律」の記事における「逐条批判」の解説
宣言3号67条 イスラエル国防軍の元将兵による「沈黙を破る(英語版)」は、家宅捜索の無限の口実を与えていると指摘している。IDFは、パレスチナ人に「迫害されている」と思わせる目的で、単に外で休憩している者を拘束したり、深夜から明け方に家宅捜索を行い、時には何日も居座り、家財道具の押収や破壊を行っている。また「地図化」と称し、家の間取りから個人情報まで情報収集を行っていると批判した。これらの家宅捜索は、しばしば相手が犯罪とは無関係であることは承知の上で行っているという。 命令1650号 イスラエルの人権団体のB'Tselemなど10団体は、ヨルダン川西岸地区には、ガザ地区出身で、本籍のヨルダン川西岸地区への移転をIDFに認められていない者がおり、万単位の追放者が出る可能性があるとして、施行の延期を陳情した。IDFは、本命令は現状を著しく変えるものではないとの見解を示した。パレスチナのマアン通信社(英語版)は、「強制送還はナチスの政策」と非難した。 命令364号 土地所有者に、私有地の証明を義務づけることで(軍に、私有地では無いことの証明の義務が無いようにすることで)、より多くの土地を没収するための改正と批判されている。 命令811号と847号 ノルウェー難民評議会は、委任状の期間を延長することで、ユダヤ人入植者・イスラエル企業による不動産買収と不動産登記の書き換えを促進させていると指摘している。 命令1797号 B'Tselemは、イスラエルは原則としてパレスチナ人住民に建築許可を出すことは無いと前置きした上で、従来の手続では、破壊命令に数ヶ月から数年を要した手続を不要にしたものと指摘した。これは、司法審査の体裁を取り除き、パレスチナ人からの土地収用を拡大させても、国際的に批判されることは無いと計算しての行為と批判した。国際連合人道問題調整事務所(OCHA)は、破壊自体を国際法違反と批判した上で、異議申立が成功する可能性は極めて低いと指摘した。また、2020年12月8日現在、96時間でただちに破壊された例はほとんどないとしながらも、破壊命令から執行までの期間が、2019年の平均21日から、2020年には平均15日と短縮されたと指摘した。 命令92号・158号・291号 アムネスティ・インターナショナルは、パレスチナ人にのみ一方的に水資源の利用を制限し、イスラエル国営水道会社・メコロットが独占的に水を供給する体制が確立されていると批判している。IDFはパレスチナ人に対しては、井戸水の利用はもとより、雨水の貯水も厳しく制限している。水の供給はイスラエル人入植地がほとんどで、パレスチナ人にも副次的に販売するが、パレスチナ人への割当量は、イスラエル政府が一方的に決定していると指摘している。 命令1015号・1039号 アムネスティー・インターナショナルは、IDFが資源保護と称してパレスチナ人の農業に被害を与える一方、イスラエル人には広大な土地とほとんど制限なく使える水を供給し、違法入植地を支えてきたと批判した。 命令101号・1079号・1423号 B'Tselemとユーロメッド・ライツは、国際法に反し、平和的な集会とそうでない集会を無差別に規制しており、集会の権利行使に重大な障害を与えていると批判した。また、家族が自宅で政治的発言を表明することが、潜在的な犯罪者になる可能性があると指摘した。さらに、イスラエル本国では犯罪ではない行為も犯罪化されることに加え、イスラエル本国では違法集会の法定刑は1年以下の懲役で、占領地と著しい不均衡が生じていると指摘した。また、兵士一人一人に独断で同命令違反を摘発・執行できる権限を与えていることは、住民の権利を著しく軽視していると批判した。Nadine Marroushiは、パレスチナが国連オブザーバーとなり、世界135ヶ国以上に承認されているにもかかわらず、パレスチナ国旗掲揚が犯罪となることを指摘した。また、イスラエルが「敵対的組織」とみなし、結社禁止している政党・学生運動・労働組合への支持の意思表示が、同命令によって処罰される危険性を指摘した。 命令1827号 パレスチナのNGO・Addameer(英語版)は、国防(緊急事態)規則の規定を利用し、結社の関わるあらゆる財産(自己所有はもとより、他者に譲渡したり、他者と提携関係にある財産まで)を包括して処罰する内容になっていると指摘した。また、過去の軍律から、パレスチナ解放機構や、最大与党のファタハをはじめ、パレスチナのほとんどの政党は、イスラエル国内及び占領地で結社禁止されており、軍律にいう「無許可の団体」に含まれることを指摘した。さらに、証明責任を被疑者に課し、「疑わしきは罰する」条項が多く含まれていると指摘した。しかもイスラエルは拷問による証拠を容認しており、総体として国際人道法やローマ法に違反した、戦争犯罪であると非難した。
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