近世以前のヨーロッパにおけるろう教育とは? わかりやすく解説

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近世以前のヨーロッパにおけるろう教育

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 18:45 UTC 版)

ろう教育」の記事における「近世以前のヨーロッパにおけるろう教育」の解説

重度聴覚障害児人類の歴史のごく早い時期から存在していたと思われるが、そうした先史時代ろう教育については史料存在していないため、知ることができない。またこれまで史学は主に欧米発達してきたため、アジアアフリカ先史時代アメリカオセアニアにおけるろう教育歴史については、ほとんど研究が行われていない歴史上、最も古いろう教育に関する記録思われるものは、8世紀初頭イングランドヨーク主教だったベヴァリーの聖ジョンSaint John of Beverley)についての記述で、ベヴァリーの聖ジョン一人聴覚障害児言葉教えたとの伝説残っている。 次にヨーロッパ記録登場するのは15世紀哲学者ルドルフ・アグリコラである。アグリコラハイデルベルク大学教員だったが、やはり聴覚障害者言葉教えたとされ、『発見弁証法De Inventione Dialectica, 1538)』と題され著書において、自らのろう教育について記している。 なお、この時期ヨーロッパでは、ようやくではあるが聴覚障害知的能力本質的に関わる器質障害と見なされなくなっており、16世紀イタリア哲学者ジロラモ・カルダーノは、この考え方著書聖書年代記(Paralipomenon)』の中で展開した。またこの頃までに、ヨーロッパ生まれた聴覚障害児一部は、家庭教師によるろう教育を受けるようになっていた。なお、この時期ヨーロッパろう教育具体的な内容は、史料存在しないためわからない状況である。ただ、現在のスペイン南フランスイタリアなどの地域修道院では13世紀頃から各種指文字使用されていたことがわかっており、それらを用いてろう教育行ったではないか考えられている。また16世紀スペインレオン地方住んだベネディクト会修道士ペドロ・ポンセ・デ・レオン(英語版)が1570年頃、4人の聴覚障害児いずれも貴族の子弟)に墨字指文字ろう教育行ったことも知られている。 歴史上最古ろう教育に関する指導書1620年スペインのフアン・パブロ・ボネットによって書かれたものであるが、その中には16世紀マドリードに住むフランシスコ会修道士だったフレイ・メルヒオール・デ・イェブラが考案した指文字についての記述含まれている。ボネットフェリペ3世宮廷仕えた人物だったが、ペドロ・ポンセ・デ・レオンと同じく墨字指文字によるろう教育行った。またこの時期スペインでは、エマヌエル・ラミレス・デ・カリオンも著名なろう教育家として知られている。スペイン近世ヨーロッパろう教育中心地になった理由としては、限られた血族の中で近親婚繰り返したために、先天性の障害児生まれやすくなっていたこと、スペインヨーロッパ中でも最も富み栄えていた国だったことが挙げられる読話俗に言う読唇術)がろう教育取り入れられたのは17世紀ドイツにおいてである。スペイン領ネーデルラント出身化学者フランシス・メルキュリウス・ファン・ヘルモントは、著書の中でヘブライ語用いた読話有効性主張し実際に一人聴覚障害者にそれを試みて成功したと書き記している。口話ろう教育取り入れたのは、スイス生まれオランダ活動した医師、ヨハン・コンラッド・アンマン(1669-1724)である。アンマンは2冊の著書口話法について詳しく論じ後世口話法多大な影響与えた手話法について最初にまとまった議論展開したのは、イングランド医師ジョン・バルワー(1614-84)である。バルワーは読話書記言語習得重視しつつも、手話用いたろう教育についても著書の中で解説している。 18世紀後半になると、ヨーロッパでスペイン系のろう教育指文字利用し書記言語獲得重視する書記法とも呼ばれる)と、アンマン創始しイングランドフランス広がった口話法(読話口話重視する)とが併存するようになっていた。ただ、ろう教育家たちは自分教育法細部公開したがらなかったので、全体体系的な理論生み出されることはなかった。

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