超電導電磁石とは? わかりやすく解説

超電導電磁石

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 04:59 UTC 版)

超電導リニア」の記事における「超電導電磁石」の解説

車両側浮上推進両用強力な磁界安定して得るため超電導電磁石が使用されている。超電導リニア使用されている超電導電磁石のコイルは、ニオブ・チタン (NbTi) 合金系極細芯線母材埋め込んだのである超電導とは電気抵抗ゼロになる現象で、この状態で閉ループ構成すれば電圧加えことなく永久に電流流れ続ける。これを永久電流と呼ぶが、これにより、外部からの電力供給をすることなく、約1 T(テスラ)の磁界発生する強力な電磁石構成することができる。コイル内を流れ電流700 A程度実験車両MLX01場合)である。 ニオブ・チタン系合金超電導状態を保持できる温度4K(-269)であり、常にこの温度以下に保つ必要がある超電導リニアでは、液化ヘリウム用いて超電導電磁石を冷却し超電導状態を維持する工夫なされている。具体的には、超電導電磁石は、外部からの熱進入抑えるため液化ヘリウム入った容器入っている。さらに内容器輻射シールド板が設けられ液化窒素で約77K(-196℃)に冷却される。内容器は外容器収めたのちに内部空気真空引きして、真空断熱態としている。仮に温度上昇によって超電導状態が解除される線材電気抵抗発生して大電流保持できなくなり急激に磁力失われるクエンチ現象)。 宮崎実験線使用されていたML-500では、浮上用と推進用の超電導電磁石を別々に用意していたが、その後大きな超電導電磁石が製作できるようになり、MLU001からは浮上用・案内用・推進用のすべての超伝導電磁石兼用となった。さらに、前述クエンチ現象回避のためコイル自体発熱抑える工夫なされている。宮崎での様々な工夫知見は、山梨実験線MLX01の超電導電磁石に結実しクエンチ皆無となり、即実用可能な状況となって久しい。この状況踏まえ新たにリニア高温超電導電磁石開発する動きとなり、大い成果上がっているが、その裏には、開業運転の重責を担うであろうニオブ・チタン (NbTi) 合金系の超電導電磁石の存在大きであろう2001年平成13年)に超電導になることが発見され二ホウ化マグネシウム (MgB2) による新しい超電導電磁石コイル開発が、JR東海独立行政法人物質・材料研究機構などの共同始まった。この新しコイルは、約20K(-253)で超電導状態の維持が可能であり、冷凍機による直接冷却が可能で、液化ヘリウムによる冷却の必要が無い。さらに電流低減1日あたり0.5%でロス少ない。 さらには酸化物超電導物質による高温超電導研究活発に行われている。特に、ビスマス超電導体イットリウム系超電導体線材による超電導電磁石コイル超電導リニアなどにも使える材料として研究されている。それらも寒剤液化ヘリウム等)が要らない直接冷却可能なため、配管穴あき加工をしたコイル締結金具等が要らないことや、約90K(-183)ほどで超電導状態を維持できる可能性があることで、実用化されれば、超電導電磁石にかかるコスト大幅に低減でき、軽量化にもつながる。一方現状ではニオブ・チタン系合金なみの長尺線が製造しにくいこと、線材価格比較高価であること等が指摘されている。実用化の面で、近年ビスマス線材による高温超電導電磁石進展目覚しくビスマス線材コイル液化ヘリウムおよび液化窒素といった寒剤無しで20Kで直接冷却をするタイプ高温超電導電磁石が、山梨実験線MLX01搭載され走行試験で553 km/h確認された。一方イットリウム系超電導体は、この高温超電導電磁石では永久電流スイッチ等に使われている。最近になってビスマス線材そのもの強度性能長尺化等が、その走行試験当時より飛躍的に向上してきている。

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超電導電磁石

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超電導リニア」の記事における「超電導電磁石」の解説

前述クエンチ現象発生する恐れがあるため、電磁石それぞれ独立したとなっており、仮に1つ電磁石クエンチ現象により急激に磁力失っても他のコイル波及しないようになっている。また磁力失った場合は、車両側接地ブレーキ軌道接地し制動補助支持車輪出して車体保持する。また磁気失ったコイル対になるコイル磁力消してバランスを取る。 仮にクエンチ現象発熱起きると、液化ヘリウム液化窒素気化して体積膨張するが、安全弁により大気中に放出されるため装置破裂することは無い。またヘリウムは、不活性ガスであり人体への影響はないが、空間充満する酸欠恐れがある

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