贖宥状販売の歴史的経緯とは? わかりやすく解説

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贖宥状販売の歴史的経緯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 03:54 UTC 版)

贖宥状」の記事における「贖宥状販売の歴史的経緯」の解説

贖宥状は元々、イスラームから聖地回復するための十字軍従軍したものに対して贖宥行ったことがその始まりであった従軍できない者は寄進を行うことでこれに代えた教皇ボニファティウス8世時代聖年が行われるようになり、ローマ巡礼することで贖宥がされる説かれた。 後に教皇ボニファティウス9世時代に、教会大分裂という時代にあってローマまで巡礼できない者に、同等効果与えるとして贖宥状出された。これはフランスなどの妨害巡礼者難儀することを考えて措置であったその後も、様々な名目でしばしば贖宥状販売が行われていた。 教皇レオ10世サン・ピエトロ大聖堂建築のための全贖宥公示し、贖宥状購入者全免償与えることを布告した中世において公益工事推進のために贖宥状販売されることはよく行われることであったが、この贖宥状問題宗教改革引き起こすことになる。 詳細は「レオ10世による贖宥状」を参照 宗教改革ヨーロッパ全域の中で特に神聖ローマ帝国ドイツ)で起こったことには理由があった。ドイツで最も大々的贖宥状販売が行われたからである。この大々的販売当時マクデブルク大司教位とハルバーシュタット司教en:Bishopric of Halberstadt)位を持っていたアルブレヒトドイツ語版英語版)の野望端を発していた。彼はブランデンブルク選帝侯ヨアヒム1世の弟であり、兄の支援受けて選帝侯として政治的に重要なポストであったマインツ大司教位も得よう考えた。 だが本来、司教位は1人人間1つか持つことしかできないのである。そのためアルブレヒトは、ローマ教皇庁から複数司教保持特別許可を得るため多額献金を行うことにし、その献金ひねり出すため、フッガー家人間入れ知恵によって秘策考え出した。それは自領内サン・ピエトロ大聖堂建設献金のためという名目での贖宥状販売独占獲得して稼ぐというものであった。こうして1517年アルブレヒト贖宥状販売のための「指導要綱」を発布しヨハン・テッツェルというドミニコ会員などを贖宥状販売促進のための説教師任命したアルブレヒトにとって贖宥状多く売れれば自分の手元に収益入り献金によってローマ教皇庁心証良くなるという思惑であった贖宥状盛んに売られ人々テッツェル説教師周り群がった。 しかし、義化問題悩みぬいた経験を持つ聖アウグスチノ修道会マルティン・ルターにとって、贖宥状によって罪の果たすべき償い軽減されるというのは「人間善行によって義となる」という発想そのものであると思えた。そしてルター何より問題であると考えたのは、贖宥状販売宣伝されていた「贖宥状を買うことで、煉獄霊魂の罪の償いが行える」ということであった。本来は罪のゆるしに必要な秘跡授与悔い改め無しに、金銭贖宥状購入することのみで煉獄霊魂償い軽減される、という考え方ルター贖宥行為濫用であると感じたテッツェルのものとしてよく引用される贖宥状購入してコインが箱にチャリンと音を立てて入ると霊魂天国飛び上がる」という言葉は、この煉獄霊魂贖宥のことを言っている)。 この煉獄霊魂贖宥可否についてはカトリック教会内でも議論絶えず、疑問視する神学者多かったルターアルブレヒトの「指導要綱」には贖宥行為濫用みられるとして書簡送り1517年11月1日ヴィッテンベルク大学聖堂の扉にもその旨記した紙を張り出し意見交換呼びかけた(当時大学において聖堂の扉は学内掲示板役割果たしていた)。 ルターはこの一枚どれほど激動ヨーロッパもたらすかまだ知らなかった。これこそが『95ヶ条の論題』である。ルターはこれを純粋に神学的な問題として考えていたことは、論題一般庶民には読めないラテン語書かれていたことからも明らかである。しかし、その後神聖ローマ帝国諸侯たちの思惑によって徐々に政治問題化し、諸侯民衆巻き込む宗教改革巨大なうねりの発端、すなわちプロテスタント勃興となったカトリック教会ヨーロッパ諸国広がった宗教改革動き対し対抗宗教改革行って綱紀粛正図ったその結果トリエント公会議決議により贖宥状金銭による売買禁止されることになった。なお、贖宥状金銭での売買禁じられたが、発行そのもの禁止されておらず、以後行われた

※この「贖宥状販売の歴史的経緯」の解説は、「贖宥状」の解説の一部です。
「贖宥状販売の歴史的経緯」を含む「贖宥状」の記事については、「贖宥状」の概要を参照ください。

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